介護職に支給される手当にはどんなものがある?種類を詳しく解説

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介護職には、基本給とは別で支給される数種類の手当があります。世間一般的に「給料が安い」というイメージがある介護職の仕事ですが、手当の中には通勤手当や住宅手当など、無資格者でも支給されるものが豊富にあります。本記事では、介護職がもらえる手当の内容を種類ごとにご紹介します。

介護職に支給される手当とは?

介護職は、世間一般的に「給料が安い」というイメージがあります。

それは、介護職が夜勤や早出、遅出などの不規則勤務や肉体労働をこなしているにも関わらず、それに見合う給料が支給されていないという課題があるからです。

介護職は、介護を必要とする高齢者の生活を支える、責任ある仕事。
そのため、日本では国全体で介護職の給料アップに力を入れています。

介護職に基本給度は別で支給される手当には、以下のような目的があります。

介護職の仕事を正当に評価し、仕事内容に見合った報酬を与えるため

 介護職の仕事に対するモチベーションを高め、質の高い介護サービスを提供するため

 介護職の早期離職を防ぎ、仕事の定着率を向上させるため

 資格手当を通じ、介護職の資格取得を促進するため

 住宅手当や通勤手当などを通じ、介護職の安定した生活基盤を保証するため

各種手当を支給することにより、介護業界全体の魅力を向上させ、介護人材を確保することが最大の目的です。

手当は介護職の給料アップとしての役割を果たすだけではなく、介護職や介護業界の魅力を向上させるという大事な役割を持っています。

介護職がもらえる手当の種類

介護職に支給される手当には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、介護職がもらえる手当の内容を種類ごとにご紹介します。

処遇改善手当

処遇改善手当とは、厚生労働省が2012年に制定した介護職員処遇改善加算に沿って支給される手当です。

介護職の待遇を改善し、介護サービスの質を向上させることを目的としています。

処遇改善手当は、処遇改善加算として利用者と行政が支払う介護サービス費に上乗せして請求されます。

処遇改善加算で得られた収益を、介護職の手当として還元する仕組みです。

介護職の仕事に対するモチベーションを高め、介護サービスの質を向上させることが処遇改善手当の大きな狙いです。

>>>あわせて読みたい「【介護業界の新しい補助金】介護職員処遇改善支援補助金について」

通勤手当

通勤手当とは、介護職が勤務先への出退勤をする際にかかる交通費を勤務先の介護施設・介護事業所が支給する福利厚生手当です。

しかし、通勤手当は全ての介護職に支払われるわけではありません。

自宅から勤め先までの距離が2.0km未満の場合は支給しないという介護施設・介護事業所もあるため、事前に確認するようにしましょう。

住宅手当

住宅手当とは、勤務先の介護施設・介護事業所が介護職の家賃や住宅ローンの一部を支給する福利厚生手当です。

毎月の家賃支払いや住宅ローンの支払いがあることで、安定した生活を送れず、仕事に支障をきたすことを防ぐ目的で支給されます。

介護職の経済的負担を軽減し、仕事に対するモチベーションを高めたり介護サービスの質を向上させたりすることが住宅手当の大きな狙いです。

残業手当

残業手当とは、時間外手当とも呼ばれ、各介護施設・介護事業所で定められた所定労働時間を超えて働いた場合に支給される手当です。

残業手当は労働基準法により、通常賃金の1.25倍に割増することが定められています。

さらに、休日の時間外労働は1.35倍、深夜帯の時間外労働は1.25倍に割増するよう、時間外労働を行う日時によって細かく定められています。

利用者の急な体調不良や容態急変による予期せぬ残業でも、介護職が誠心誠意対応できるよう、残業手当の支給を適切に行うことが重要です。

夜勤手当

夜勤手当とは、夜勤シフトに入った時間に応じて支給される手当です。

入居型施設等、24時間営業で夜勤シフトを取り入れている介護施設において導入されています。

日本医療労働組合連合会の統計によると、2交替夜勤の正社員の場合、夜勤手当の平均は6,632円と報告されています。

それぞれの施設によって業務や手当額に違いはありますが、日勤のみの勤務の場合に比べて多く手当をもらえる点はメリットといえるでしょう。

参考:日本医療労働組合連合会|2020年介護施設夜勤実態調査結果

扶養手当

扶養手当とは、扶養する家族を持つ介護職に支給される福利厚生手当です。

配偶者や子供などの扶養家族がいる介護職に対し、勤め先の介護施設・介護事業所が経済的なサポートを目的として扶養手当を支給します。

扶養家族を持つ介護職の経済的サポートを行い、家庭と仕事との両立を図ることを目的として、支給されます。

資格手当

資格手当とは、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修、介護福祉士などの専門資格を持つ介護職に対して支給される手当です。

介護職は無資格・未経験でも仕事をすることができますが、専門資格があればより専門性の高い介護サービスを提供することができます。

そのため、各介護施設・介護事業所では、介護職の資格取得を促すとともに、資格を取得した介護職には、基本給とは別で資格手当を支給しています。

処遇改善手当の支給額

処遇改善加算とは、介護職の給料アップによるモチベーション向上」と「介護人材の確保」を目的として、介護職の基本給に上乗せして支給される手当です。

介護施設・介護事業所が、介護職に処遇改善手当を支給するには、5段階あるうちのいずれかの要件を満たす必要があります。

勤め先の介護施設・介護事業所が満たしている要件に応じて、介護職に支払われる処遇改善手当の金額が異なります。

加算要件ごとに支払われる介護職の処遇改善手当の金額の一例は、以下の通りです。

加算要件(5段階)介護職1人当たりに支給される処遇改善手当(月額)の金額
加算Ⅰ 約37,000円
加算Ⅱ 約27,000円
加算Ⅲ 約15,000円
加算Ⅳ 約13,500円
加算Ⅴ 約12,000円

上記の支給額はあくまで目安です。

実際の金額は勤め先の介護施設・介護事業所ごとに異なります。

処遇改善手当の金額については、勤め先の上司または事務職員に確認しましょう。

資格手当がもらえる介護資格

介護職に支給される「資格手当」は、無資格者には支給されません。

資格手当は、どのような資格を持つ介護職に支給されるのでしょうか。

ここでは、取得することで「資格手当」がもらえる介護資格を4つご紹介します。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修とは、基礎的な介護知識・介護技術を有していることが証明できる介護の入門資格です。

利用者に安全かつ適切な介護サービスを提供するために、必要最低限の介護知識・介護技術を習得することができます。

介護職員初任者研修修了者は、月額平均約3,000円の資格手当が支給されます。

>>>あわせて読みたい「介護職員初任者研修とは?受けるメリットや取得する方法について」

介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修とは、介護職員初任者研修よりも応用的かつ実践的な介護知識・介護技術を有していることが証明できる資格です。

無資格の介護職が働きながら介護福祉士の国家資格取得を目指す場合、受験資格として介護福祉士実務者研修の修了が必要です。

介護福祉士実務者研修修了者は、月額平均約7,000円の資格手当が支給されます。

>>>あわせて読みたい「介護福祉士実務者研修とは?資格の特徴と取得方法を徹底解説!」

介護福祉士

介護福祉士とは、数ある介護資格の中で唯一の国家資格です。

認知症や片麻痺、難聴、視覚障害など、さまざまな病気や障害を持つ利用者に適した介護サービスの提供に欠かせない専門スキルを身につけることが可能です。

介護福祉士が行う業務は通常の介護業務だけでなく、利用者やご家族の相談対応や新人育成、フロアリーダーとしての業務など、多岐に渡ります。

介護福祉士の有資格者は、月額平均約10,000円の資格手当が支給されます。

>>>あわせて読みたい「介護福祉士とは?資格の特徴や魅力をわかりやすく解説!」

介護支援専門員(ケアマネージャー)

介護支援専門員(ケアマネージャー)とは、介護を必要とする高齢者が介護サービスを利用するにあたって、必要なケアプランを作成する専門職です。

ケアプラン作成以外にも、介護保険申請の手続き代行や給付管理、介護サービス利用後の利用者へのモニタリングなど、介護支援専門員が担う業務は数多くあります。

介護支援専門員の資格を取得するには、介護福祉士として5年以上の実務経験が必要です。

介護支援専門員の有資格者は、月額平均約15,000円の資格手当が支給されます。

>>>あわせて読みたい「ケアマネージャーとは?仕事の魅力や働き方を具体的に解説!」

手当により介護職の給料は上がっている?

年々高齢化が進行する日本では、介護人材の不足問題を抱えており、介護人材確保のためのさまざまな取り組みが行われています。

介護人材確保のためには、介護職の給与アップや各種手当の整備は非常に重要です。

厚生労働省の調査によると、各種手当の支給により、平成25年~令和4年の10年で介護職の平均給与は上昇傾向にあると報告されています。

平成25年 約276,940円
平成26年 約274,250円
平成27年 約287,420円
平成28年 約289,780円
平成29年 約297,450円
平成30年 約300,970円
令和元年 約300,120円
令和2年 約315,850円
令和3年 約316,610円
令和4年 約317,540円

今後も、日本の高齢化の進行が予測されています。

それに伴い、介護職の需要は今後ますます高まっていることが予測されるため、介護職の平均月収・手当額は共に上昇していくでしょう。

参照:厚生労働省|介護従事者処遇状況等調査結果

まとめ

介護職の平均月収は20万円~30万円、初任給の場合は約17万円。

介護職は夜勤や早出、遅出などの不規則勤務と肉体労働をこなすため、仕事内容に対して給料が見合っていないと感じがちです。

しかし、さまざまな手当を加算することで介護士の給与アップを図ることも可能です。

キャリアアップによる資格手当などを活用しつつ、昇給を目指しましょう。

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