潜在介護福祉士は多い?潜在介護福祉士の復職支援制度について

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潜在介護福祉士とは、介護福祉士国家資格を保有しているにもかかわらず、介護業界以外の別業界で仕事をしている方のことです。「介護の仕事に就職したい気持ちはあるけど、労働条件が合わない」などと悩む潜在介護福祉士も少なくありません。本記事では、潜在介護福祉士が復職するのにおすすめの支援制度についてご紹介します。

潜在介護福祉士とは?

高齢化社会により、要介護高齢者の急増と介護人材の不足が問題視されている現代社会。

潜在介護福祉士」と呼ばれる、介護福祉士の増加が目立っています。

そもそも潜在介護福祉士とは、どのような人のことを指すのでしょうか。

潜在介護福祉士とは、以下のような介護福祉士保持者のことを指します。

介護福祉士国家資格を保有しているにも関わらず、専業主婦や家事手伝いのため、どこの企業にも属していない

 介護福祉士国家資格を保有しているにも関わらず、介護分野以外の別業種・別業界の仕事に従事している

介護福祉士国家資格は、福祉系高等学校または介護福祉士養成施設を卒業するか、『介護の実務経験3年+介護福祉士実務者研修受講』の要件を満たした上で受験できます。

しかし、介護の専門スキルを有しているからといって、介護の仕事が適職とは限りません。

「介護の仕事は労働条件が合わないから」「他の業種・業界の方が給料が高いから」といった理由で、介護以外の仕事を選ぶ人は少なくない現状です。

潜在介護福祉士は年々増加している?

結論を述べると、潜在介護福祉士の数は減少傾向にあります。

社会福祉振興・試験センターの調査によると、2014年時点の潜在介護福祉士の割合は約4割と報告されていましたが、2020年報告では約2割と減少傾向にあることが分かりました。

しかしながら、超高齢化社会と呼ばれている現代の日本では、介護福祉士の人材不足が依然課題として挙げられています。

潜在介護福祉士のうち、7.0%の方は、介護分野以外の仕事に従事しています。
なお、13.8%の方は、どの業界でも就労していません。

介護福祉士有資格者の8割以上が女性。
結婚・出産・育児など、ライフスタイルの変化に合わせて退職し、専業主婦になる方も多いのです。

このように潜在介護福祉士が減少傾向にあっても、要介護高齢者の急増により、介護人材の確保が追いついていないのが現状です。

参照:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士 就労状況調査(令和2年度)結果報告書

介護福祉士が介護の仕事に復職しない理由

なぜ、介護福祉士の資格を保有しているにも関わらず、介護の仕事に復職しない介護福祉士が一定数存在しているのでしょうか。

ここでは、介護福祉士が介護の仕事に復職しない理由を3つご紹介します。

介護業界は給料水準が低いから

介護業界は別業種・別業界に比べ、内部留保額が高い傾向にあります。

介護施設の運営や修繕にかかる費用を貯金するため、介護職1人当たりの給料水準が低くなってしまうのです。

夜勤を含む不規則勤務や肉体労働を担う介護の仕事とは割に合わず、給料水準の低さに不満を感じて退職する介護職は少なくありません。

>>>あわせて読みたい「介護士が「給料が割に合わない」思う理由・原因について徹底解説」

職場の雰囲気や人間関係が合わないから

介護の仕事は無資格・未経験でも始めることができ、働きながら資格の取得が目指せます。

そのため、介護職一人ひとりの勤務年数や保持スキルにばらつきがあり、価値観の違いによるトラブルに発展しやすい傾向にあります。

また、介護業界では30代~50代の女性介護職が多く活躍しているため、「お局」と呼ばれる介護職が多いことも特徴です。

職場の人間関係に悩み、早期離職してしまう新人介護職は少なくありません。

>>>あわせて読みたい「介護士の悩み「人間関係」…解決策や人間関係が良い施設の探し方」
>>>あわせて読みたい「介護職はお局が多い?お局介護職との上手な付き合い方を解説」

労働条件が希望と会わない

介護職の勤務形態は正社員と非正規雇用の2つに大別されます。

パート・アルバイトなどの非正規雇用の場合、『週2日~・1日3時間』といった短時間労働を選ぶことが可能です。

しかし正社員であれば、『週5日・1日8時間+16時間夜勤』といった夜勤を含む不規則夜勤で勤務することも。

「給与が安定しているものの、勤務時間が不安定な正社員」か「勤務時間は自由なものの、給与が不安定な非正規雇用」を選ぶ必要があります。

勤務時間や給与の希望条件が合わないという理由で、介護分野以外の仕事を選ぶ人も少なくないでしょう。

介護福祉士が働きやすい職場環境づくりの取り組み

介護の仕事に復職しない潜在介護福祉士を減らすために、全国の介護現場では、介護職が働きやすい職場環境づくりを行っています。

ここでは、全国の介護現場で行われている「働きやすい職場環境づくり」の取り組みを3つご紹介します。

介護職員処遇改善加算

介護職の給与水準が低いという現状を改善するために、各介護施設では政府が制定した処遇改善加算を取り入れています。

2012年から開始された介護職員処遇改善加算は、介護職の月収を平均3.7万円賃上げする制度です。

また、1989年から開始された介護職員等特定処遇改善加算では、実務経験のある介護福祉士の月収を平均8万円賃上げします。

介護福祉士有資格者であれば、平均8万円の月収アップが期待できるため、潜在介護福祉士の復職に最適な制度です。

>>>あわせて読みたい「【介護業界の新しい補助金】介護職員処遇改善支援補助金について」

介護現場におけるハラスメント対策

厚生労働省が発表した『介護現場におけるハラスメント対策』を基に、介護現場では介護職が働きやすい職場環境を心がけています。

例えば、「上司からパワハラを受けた」「先輩に悪口を言われて精神的なストレスを感じた」といった場合、以下の相談窓口の利用が可能です。

  • 自身が勤務する介護施設・介護事業所内にある相談窓口
  • 労働基準監督署のハラスメント被害相談窓口
  • 民間の弁護士事務所 など

また、介護職がハラスメント被害に遭わないよう、各介護施設・介護事業所でハラスメント防止マニュアルの作成を行っています。

もし、職場のハラスメントが改善しないという場合でも、介護業界は別部署への異動や転職などの選択肢が豊富なため、安心して働けます。

参照:厚生労働省|介護現場におけるハラスメント対策

介護福祉士に向けたキャリアプラン

介護業界での仕事は、介護現場で利用者の身体介護をすることだけではありません。

実務経験が豊富な介護福祉士であれば、生活相談員や介護支援専門員(ケアマネージャー)へのキャリアチェンジも可能です。

利用者の身体介護や夜勤が体力的にきついと感じる方でも無理なく働けるよう、各介護施設で介護福祉士に向けたキャリアプランを用意しています。

行政が実施している介護福祉士の復職支援とは?

潜在介護福祉士を少しでも減らすために、行政が実施している対策があります。

ここでは、行政が実施している介護福祉士の復職支援の一例をご紹介します。

東京都『離職介護人材再就職準備金貸付事業』

東京都では、離職した介護職の再就職にかかる準備金の貸付を行っています。

以下の要件に当てはまる方が対象です。

介護職としての実務経験が1年以上ある

 介護職としての直近の離職日から1年以上経過している

 介護福祉士・介護福祉士実務者研修・介護職員初任者研修などの有資格者

1人につき1回限りで、40万円以内の貸付を無利子で受けることができます。

また、東京都内の介護施設・介護事業所で2年間継続して従事した場合、貸付金の返還が免除されます。

参照:東京都社会福祉協議会|離職介護人材再就職準備金貸付事業

大阪府『潜在介護福祉士等再就業支援事業』

大阪府では、潜在介護福祉士の復職に向けて、以下の支援を行っています。

 無料で参加できる研修会の開講
 受講内容の一例:介護業務の現状・介護過程の展開・生活支援技術(介護技術)・電子カルテの操作方法・福祉用具の活用方法 など

 再就職準備金貸付事業の案内

 職場体験できる介護施設・介護事業所の案内

過去に介護の従事経験がある介護福祉士・介護職員初任者研修修了者・介護福祉士実務者研修修了者が対象です。

大阪市立淀川区民センターや大阪府社会福祉会館、大阪市立西成区民センターなどで実施されています。

参照:大阪府|潜在介護福祉士等再就業支援事業

まとめ

介護福祉士は、介護資格の中で唯一の国家資格です。

介護の専門スキルがあることを証明できる資格でもあります。

介護の専門スキルを、介護を必要としている方へと活かしてみませんか?

都道府県が実施している再就職支援制度を活用することもおすすめです。

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