介護施設の利用者の「わがまま」にどう向き合う?対応方法を解説

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介護施設の利用者様・入居者様で、わがままばかり言う方と遭遇したことはありませんか?介護士として、利用者様の希望に快く応えたいという思いがあるものの、わがままの内容があまりにも無茶で、応えきれないということもあります。本記事では、わがままを言う利用者様の心理やわがままへの対応方法について解説します。

利用者様がわがままを言うのはなぜ?

あなたが勤務する介護施設では、わがままを言う利用者様はいませんか?

「部屋に連れて行って」といい、部屋に連れて行くと1分もしないうちに「寂しい!」と叫んだり、コールを何度も押したりする。

就寝時間に「お腹が空いた!何か食べたい!」と、介護職員に何度も訴える。

こういった利用者様のわがままには、思わぬ理由やわがままを言う原因が隠されています。

ここでは、利用者様がわがままを言う理由や原因を3つご紹介します。

認知症や精神疾患などの病気・障がい

認知症になると、自分自身が今いる場所や目の前にいる相手が誰なのかが分からず、介護職員を家族や家政婦だと勘違いしてしまうことがあります。

また、精神疾患や精神障害がある利用者様の場合、些細なことですぐに感情的になったり、正常な物事の判断ができなくなってしまいます。

このような脳・脳神経系に関する病気・障がいが原因で、本来言わないようなわがままを言ってしまうのです。

環境の変化による戸惑いや不安

人は誰しも、家族との離別や引っ越しなどの環境の変化が生じると、不安や戸惑い、寂しさを感じます。

特に高齢者の場合は、自分自身が老いていく不安や、介護施設への入居により、家族と離れてしまう寂しさを1人で抱え込みやすいものです。

介護職員にわがままを言う利用者様の心理状態として、自分自身が抱える不安や戸惑い、寂しさなどの精神的ストレスを、介護職員に八つ当たりしていることが考えられます。

元々の性格・生活歴による影響

利用者様には60~100余年の人生で、築き上げられてきた性格や価値観が人それぞれあります。

「元々寂しがりな性格で、仕事よりも家族との時間を優先する人だった」
「幼い頃、母親にあまり構ってもらえなかったようで、その反動として、妻や子どもに精神的に依存している一面がある」

わがままを言う利用者様には、こういった元々の性格や価値観、生活歴が影響している可能性も考えられます。

>>>あわせて読みたい「【介護士必見】老人性うつってどんな症状?特徴や支援方法を解説」

わがままな利用者様に困ったときの基本的な対応方法

無茶な要求をされたり、対応できない理由を伝えても分かってもらえなかったりと、介護現場ではわがままな利用者様への対応に困る場面が多くあります。

ここでは、わがままな利用者様に困ったときの基本的な対応方法を3つご紹介します。

利用者様の病気・障がいを理解する

認知症やうつ病・不安障害などの精神疾患を抱える利用者様の介護を担う介護職員には、高齢者に多い病気や障がいに対する理解があることが求められます。

介護福祉士の資格取得や研修会への参加により、高齢者への理解を深めましょう。

認知症や老人性うつ、不安障害など、高齢者に多い病気・障がいを理解することで、わがままを言う利用者様の心理状態や適切な対応方法が分かるようになります。

利用者様の性格に合わせた対応を考える

利用者様の性格や考え方は十人十色で、介護職員にわがままを言ってしまう理由も、利用者様ごとに異なります。

「1人でいるのが寂しいから、わがままを言うことで介護職員の気を引こうとしてしまう」
「わがままを言って、自分のわがままや無茶な要望を聞いてくれる介護職員を探している」

このように、利用者様がわがままを言う理由や、心理状態は多種多様です。

まずは利用者様とのコミュニケーションや観察を通じて、利用者様の性格を理解しましょう。

利用者様の性格や考え方が理解できれば、職員間で情報を共有し合い、適切な対応方法を考えていくことが可能になります。

利用者様と接する時間に「区切り」を設ける

わがままを言う利用者様の多くが、丁寧に対応してくれる介護職員に依存してしまいます。

「この人なら、私の言うことを何でも聞いてくれる」という考えになり、わがままの内容が日に日にエスカレートするのです。

わがままを言う利用者様と接する時間は5分だけと決めたり、できることとできないことをルール化したりという「区切り」を設けることが大切です。

「本当に困った…」利用者様の過剰なわがまま事例

介護施設に入居する利用者様が言う「わかまま」にはさまざまな内容がありますが、時には対応が非常に難しいようなわがままを言われることがあります。

介護職員が「本当に困った…」と感じる、利用者様の過剰なわがまま事例には、以下のようなケースが挙げられます。

自分の思い通りにならないと、他の利用者様の悪口を言ったり、他の利用者様に対して暴力を振るったりなど、他の利用者様に矛先を向ける

 「自分を最優先してほしい」と言い、介護職員の対応が少しでも送れると激しく怒る

 「インスリン注射を打ってほしい」「友達に会いたいから、友達の家まで送ってほしい」など、介護職員の管轄外の業務を無理やり頼んでくる

介護職員にわがままを言うだけでなく、他の利用者様に怒りの矛先を向けたり、他の利用者様に危害を加えたりする場合は、介護施設が退去を要求することもあるのです。

できないことは「できない」とハッキリ伝え、それでも理解してもらえないようであれば、すぐに上司や同僚に相談するようにしましょう。

利用者様の行き過ぎたわがままへの対応方法

「自分の思い通りにならないと、他の利用者様に危害を加える」
「介護職員の管轄外の業務を無理やり頼んでくる」など。

利用者様の行き過ぎたわがままには、どう対応するべきでしょうか。

ここでは、行き過ぎたわがままを言う利用者様への対応方法を3つご紹介します。

他の利用者様の身の安全を確保する

介護職員が自分の要望を叶えてくれないからと、他の利用者様に怒りの矛先を向けたり、八つ当たりする場合は、他の利用者様の身の安全を最優先しましょう。

  • フロアでは椅子やテーブルの配置を変えて、他の利用者様と距離をとるようにする
  • 他の利用者様へ危害を加えないよう、介護職員の見守りを強化する

このような対応を行った上で、わがままを言う利用者様とのコミュニケーションを図り、わがままを言う理由や心理状態について、深掘りすることが大切です。

毅然とした態度で「集団生活のルール」を伝える

利用者様同士が集団生活を送る介護施設では、「1人の利用者様を最優先する」「1人の利用者様の要望を全て叶える」という理不尽な対応はできません。

そのため、利用者様が「本当にしてもらいたいこと」と「諦めても大丈夫なこと」を話し合い、納得した上で折り合いをつけるようにしましょう。

「寂しいからとコールを何度も押すのは控え、トイレに行きたいときはコールを押す」など、集団生活を送る上で大事なルールを利用者様と一緒に考えることが大切です。

「できること」と「できないこと」を理由を交えて伝える

介護施設では、家族が持参した植物や金魚、メダカなどの世話や、友人宅への送迎など、介護職員の管轄外の業務を無理やり頼んでくる利用者様も。

また、介護職員にできないインスリン注射や摘便などの医療行為を頼まれるケースもあります。

その際は、「介護職員ができる業務とできない業務があること」や「介護職員が医療行為を行うことは法律で禁止されていること」をしっかり伝えましょう。

毅然とした態度で、できないことは「できない」と伝えるだけでなく、できない理由についてもしっかり説明することが大切です。

>>>あわせて読みたい「介護士は医療行為ができる?認められている行為と条件について」

利用者様にわがままを言われたときに絶対してはいけないこと

「わがままを言う利用者様にできないことを『できない』と伝えても、分かってもらえなかったり、激しく怒り出したりしてしまう」
「利用者様のわがままや要望に一生懸命応えたら、日に日に利用者様のわがままがエスカレートしてしまって困っている」

このように、わがままを言う利用者様への対応はうまくいかないものです。

わがままを言う利用者様と上手に付き合っていくためには、以下の言動をしないようにしましょう。

利用者様のわがままを聞こえないふりして、無視をする

 利用者様のわがままや要望をどんなことでも飲む

 わがままを言う利用者様に我慢をしながら接し、ストレスを溜めてしまう

「無視をする」「否定する」といった対応は、利用者様の不安症状や認知症を悪化させてしまうリスクがあるため、避けるようにしましょう。

また、介護職員が我慢をすることでストレスが溜まり、利用者様への虐待のリスクが高まってしまいます。

利用者様とのコミュニケーションを図りながら、適切な対応を見つけていくことが大切です。

>>>あわせて読みたい「介護職で注目されているアンガーマネジメントとは?」

まとめ

介護施設では、認知症や精神疾患、環境の変化による不安・戸惑いなどから、介護職員にわがままを言ってしまう利用者様が一定数存在します。

利用者様のわがままに振り回されて頭を抱えてしまうのではなく、利用者様がわがままを言う本当の理由や原因に目を向けることが大切です。

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