利用者様から介護職員への暴力…一体なぜ?原因や対処法を解説

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介護施設で利用者様から暴力・暴言を受けたことがある介護職員は、実はかなり多い傾向にあります。これが原因で退職に至る職員も後を絶たない現状ですが、このような暴力・暴言はどうして起こってしまうのでしょうか。今回は介護職員が実際に受けた暴力・暴言の実態や種類、原因、対処法について解説します。

利用者様からの暴力・暴言の実態

介護施設で働く介護職員のうち、利用者様から暴力・暴言を受けたことがあるという人は多数にのぼります。

厚生労働省の調査によると、サービス種別により違いはあるものの、暴力・暴言を受けたことがある人は4~7割という結果に。

最も割合が高い結果となった介護老人福祉施設では71%、他にも認知症対応型通所介護・定期巡回、随時対応型訪問介護看護・特定施設入居者生活介護では6割を越える職員が暴力・暴言を受けたと回答しています。

さらに同調査によると、この暴力・暴言を原因にケガや病気になった職員は1~2割、仕事を辞めたいと思った職員は2~4割にのぼるという結果も。

利用者様による職員への暴力・暴言は、深刻な問題として問題提起されています。

参照:厚生労働省|介護現場におけるハラスメント対策マニュアル

利用者様からの暴力・暴言の種類

介護職員が利用者様から受ける暴力・暴言には、どのようなものがあるのでしょうか。

殴る・蹴るなどの暴力

職員の体を殴る、蹴る、つねる、引っ掻く、噛むなどの身体的な攻撃が該当します。

他にも物を投げつけられたり、唾を吐かれる、服を強く引っ張られるなどの行為も報告されています。

これにより職員がケガをし、介護業務を行えなくなる可能性もあります。

理不尽や悪口などの暴言

職員を傷つけるような暴言やいやがらせ、威圧的な態度などがこれに該当します。

特定の職員に対してあからさまな批判をしたり、介助のたびに無差別に怒鳴られるなどの行為が報告されています。

他にも介助に対して理不尽な要求をし土下座を求める、できないサービスを要求するなどの行為も。

ハラスメント

介護施設でのハラスメントとしては、主にセクシュアルハラスメントが報告されています。

不必要に職員の体に触れたり抱きつく、卑猥な言動を繰り返すなどの行為が報告されています。

この行為が特定職員の場合にのみ見られる場合は、担当職員を変えるなどの早急な対応が必要となるでしょう。

暴力・暴言が起こってしまうのはなぜ?

介護施設で利用者様から暴力・暴言が起こってしまうのはなぜなのでしょうか。理由について解説します。

認知症の周辺症状

認知症を患っている利用者様の場合、その周辺症状として暴力・暴言が出てしまっていることが考えられます。

認知症になると感情をコントロールする脳の前頭葉という部分が委縮し始めることから、本人の意思や性格に関係なく暴力・暴言といった行為を起こしてしまうことがあるのです。

また幻覚の症状がある方の場合、錯乱状態となって突発的に職員を攻撃してしまっているということも考えられるでしょう。

介護職員への不満

介護施設の職員への不満がある場合、感情が高ぶって興奮状態になり暴力・暴言が出てしまうことも。

言葉で上手く伝えることができない場合に手が出てしまったり、怒りの感情が暴力・暴言となってあらわれていることが考えられるでしょう。

体調不良やストレス

利用者様の体調が良くない、ストレスが溜まっていることも原因の一つとして考えられます。

体のどこが悪いのか、どう機嫌が悪いのかを伝えられない利用者様の場合、「こんなに体調が悪いのに何をするんだ」「なぜ今動きたくないのに動かなければいけないんだ」という反抗心から暴力・暴言が出てしまうことも。

利用者様の様子をしっかり確認して対応する必要があります。

ハラスメント意識の低さ

高齢の方々は「ハラスメント」という言葉や概念に馴染みがあまりなく、「この行為はハラスメントにあたる」という意識が低いことからハラスメント行為に及んでしまうことも考えられます。

相手が不快に感じていることや「やってはいけない」ことであることを理解していない方が多いため、やめていただけるまでしっかり説明する必要があるでしょう。

利用者様からの暴力・暴言への対処法

利用者様から暴力・暴言を受けてしまった場合、どのように対処するべきでしょうか。

しっかり意思表示をする

されて嫌なことや不快なことは「やめてください」「痛いです」と、しっかり意思表示をすることが大切です。

利用者様を咎めることに抵抗がある職員も多いですが、お互いが気持ちの良いケアを行うためにもしっかり伝えましょう。

無意識のうちに暴力・暴言を行っていた利用者様に「やってはいけなかった」と理解していただく機会にもなります。

しかし咎めることで逆上し悪化してしまう可能性のある場合は、むやみに意思表示をせず、距離を取ることからはじめることがポイントです。

利用者様の体調をチェック

利用者様が暴力・暴言を行ってしまうことには、利用者様の体調の変化が隠れていることもあります。

体のどこかに痛いところはないか、風邪などの症状がないかなどをチェックするようにしましょう。

自分では体の不調に気づけない方も多いため、念入りなヒアリングがポイント。

「どこを触れられたら痛いですか?」と聞いてみるなど、暴力・暴言をされたときの利用者様の体調を振り返って確認してみましょう。

暴力・暴言の傾向を把握する

利用者様が暴力・暴言を行うときの傾向を知ることも解決へのポイントにつながります。

傾向を把握する項目には、以下の点があります。

  • どういうシーンでするのか
  • 誰にするのか(特定の職員なのか、無差別なのか)
  • どういう暴力・暴言をするのか
  • その後の利用者様のご様子

傾向を把握することで、利用者様が暴力・暴言を行う引き金となる部分を見つけることもできるでしょう。

個人ではなく施設の問題として捉える

利用者様と職員という個人間の問題ではなく、施設全体の問題として捉えることが大切です。

利用者様からの暴力・暴言が原因で働けなくなってしまったり、仕事を辞めてしまう職員は決して少なくありません。

職員の職場環境改善を図り、利用者様に安心していただける施設をつくるためにも、施設としての解決策を講じることがポイントです。

また、いち職員の言葉よりも、管理者や責任者を通した方が利用者様に伝わりやすいこともあるでしょう。

周りの人に相談する

利用者様からの暴力・暴言について一人で悩まず、周りの人に相談することは大切なことです。

ふさぎこんで辛くなってしまう前に、誰かに悩んでいることを打ち明けましょう。

また自分に起こった暴力・暴言は他の職員にも起こりえることであり、情報共有することで解決の糸口が見えるだけでなく、再発防止にもつながります。

まとめ

介護施設で起こってしまう利用者様からの暴力・暴言には、必ず何かしらの原因が隠れています。

まずは職員が冷静になって、どうして起こってしまったかについて考えることが大切です。

職員の労働環境改善、安全な施設づくりのために、施設の職員が一丸となって対策を考えることが解決・再発防止につながるでしょう。
 

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