介護施設で利用者様同士のトラブル…介護士ができることとは?

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介護施設では、利用者様同士がケンカをしたり、利用者様が別の利用者様に怪我をさせたり、認知症利用者様が他の利用者様の私物を持ち出す…といったトラブルが多く起こります。介護士は、利用者様同士のトラブルの原因や対処法を知っておくことが大切です。本記事では、利用者様同士のトラブルの原因や介護士ができることについてまとめました。

介護施設での利用者様同士のトラブルとは?

介護施設で起こる利用者様同士のトラブルは、「利用者様同士の価値観の違い」や「認知症が原因で起こる揉め事」のことを指します。

介護施設に入居する利用者様は、一人ひとり歩んできた人生や価値観が異なります。

60~100年の人生で、体験してきたこと・大切な思い出・苦労したことなど、全く同じだという利用者様はいないでしょう。

そのような利用者様ごとの価値観の違いにより、「この人とは相性が合わない」「この人と同じフロアにいたらイライラする」といったトラブルも生じます。

また認知症の方の場合、悪気がなくても相手が不快だと感じることをしてしまい、口論や喧嘩に発展することも。

しかし介護施設は交流ルームやサロン、フロアなどで顔を合わせることがあるため、利用者様同士の揉め事を完全に防ぐのは難しいことなのです。

利用者様同士のトラブルの原因

介護施設に入居する利用者様同士のトラブルには、どのようなものがあるのでしょうか。

また、トラブルの原因となっているのはどのようなことなのでしょうか。

ここでは、介護施設に入居する利用者様同士のトラブルとその原因を5つ解説します。

利用者様同士の相性が合わない

特に何かをされたわけではないけど、あの人と一緒にいるのが嫌
いつも偉そうにふんぞり返っていて、見ているだけで腹が立つ

介護施設では、閉鎖された環境で同じ利用者様と毎日顔を合わせます。

そのため、利用者様同士の相性が合わないと、陰口や無視などのトラブルが発生してしまいます。

相性や価値観が合わないことが原因で仲違いしている場合、これといった理由や対処法がないため、周囲が困惑してしまいがちです。

介護士への嫉妬

介護施設に入居する利用者様は、一人ひとり要介護度や必要な介護が異なります。

そのため「あの人ばっかり世話してもらって、私は放ったらかしだ」という不満を持つ利用者様も少なくありません。

介護士への嫉妬から、口論や仲違いに発展するケースが多いため、介護士は利用者様一人ひとりにできる限り平等に接することが大切です。

認知症の周辺症状

認知症の利用者様は今いる場所や目の前にいる人が分からなくなり、パニックを起こしてしまうことがあります。

そのため、突然大きな声で他の利用者様を怒鳴ったり、突然他の利用者様に殴り掛かったりという問題行動を起こします。

特に、認知症の利用者様が他の利用者様に暴力をふるい、怪我をさせてしまった場合、介護施設からの退去が必要になる可能性があるため要注意です。

騒音トラブル

利用者様は耳が遠い方も多く、大きな声で会話をしたり、テレビやラジオの音量を上げたりすることがあります。

そのため、耳が遠くない利用者様が「うるさい!」と怒り、口論になるケースがあります。

また、耳が遠いことから話が正確に伝わらず、相手が騒音で怒っていることに気づかないということもトラブルの要因です。

金銭や私物の紛失トラブル

介護施設では、「私の財布がなくなった」「私が大事にしていた指輪がなくなった」など、金銭や私物の紛失を介護士に訴える利用者様が存在します。

介護施設内での金銭・私物の紛失は、以下の2つのケースがあることが大半です。

認知症により「ここに財布が置いてあった」と実際にないものを勘違いしていたり、「あの人が盗んだんだ」と思い込んでしまう

 認知症により「これは自分のものだ」と思い込み、悪意なく他の利用者様の私物を勝手に使ってしまう

また、紛失したと訴えているものが最初から存在しないということも。

介護施設の入居時に介護士が現金を預かったり、私物には名前を記載したりするなどの対策が必要です。

利用者様同士のトラブルで介護士ができること

利用者様同士のトラブルが発生したとき、介護士が声かけや対処を間違えることで、さらなる不穏やトラブルの悪化につながってしまいます。

では、どうすれば穏便に利用者様同士のトラブルを解決に導くことができるのでしょうか。

利用者様同士のトラブルが生じたとき、介護士にできる対処法を3つ解説します。

利用者様の思いを傾聴する

介護施設に入居する利用者様同士のトラブルはさまざまですが、根本的な原因には「利用者様の寂しさ・精神的ストレス」があります。

住み慣れた自宅から介護施設に生活の場を移すことで、家族と離れる寂しさや生活環境の変化によるストレスが生じます。

利用者様同士のトラブルが起こったとき、介護士は焦らず落ち着いて「何があったんですか?」「どうされましたか?」と話を聞くことが大切です。

上司やベテランの先輩に相談する

利用者様同士の喧嘩を「やめてください」と止めようとすると、利用者様が「否定された」という思いになり、さらに怒ってしまいます。

利用者様同士のトラブル・喧嘩が生じ、「どうすればいいのか分からない」と思ったら、即座に近くにいる上司またはベテランの先輩に相談しましょう。

上司やベテランの先輩が行っている対応を見て、適切な対処法を学ぶことが大切です。

家族の協力を得る

人手不足の介護現場では、介護士の配置人数が限られており、利用者様同士のトラブルに対応できない場合があります。

そういった場合には、介護士にできるトラブルの対処法を無理に考える必要はありません。

ご家族に連絡をして状況を伝え、対面での面会やリモート面会などで利用者様本人とのコミュニケーションをとってもらうことが大切です。

寂しさや精神的ストレスが紛れ、トラブルが発生する頻度を減らすことにもつながります。

利用者様同士のトラブルを防ぐには

利用者様同士のトラブル・喧嘩が発生してから対応すると、間に合わずに利用者様が怪我をしてしまったということにもなりかねません。

利用者様同士のトラブルを根本から防ぐ方法を3つ解説します。

日頃から利用者様とのコミュニケーションを大切にする

利用者様同士のトラブルは、利用者様が他の利用者様に対して感じている「不満」があることが大前提です。

介護士が日頃から利用者様とのコミュニケーションを図っていれば、利用者様が抱える不満や悩みを聞き出すことができます

そして、聞き出した利用者様の不満や悩みをトラブルの前兆として捉え、居室やフロアの移動で両者を離すといった対応を行うことが非常に重要です。

過去に起きた利用者様同士のトラブル事例を把握しておく

ただ、「利用者様同士のトラブルが起こらないように見守っておこう」と思っているだけでは、トラブルを防ぐことはできません。

まずは、過去の介護記録を確認し、過去にどんなトラブルが生じたのかを知るということが重要です。

過去に起きた利用者様同士のトラブル事例を把握しておくことで、「もしかしたらトラブルが起きるかもしれない」という予測がしやすくなります。

介護施設・介護サービスへの理解を深めておく

近年、少人数制で個別ケアを行うユニット型の介護サービスが主流になっています。

ユニットケアとは、10人以下の利用者様を1つの生活グループに分け、完全個室で利用者様一人ひとりに合った個別ケアを行うケア方針です。

ユニットケアでは完全個室でプライバシーが保たれているため、従来型介護サービス(多床室)よりも利用者様同士のトラブルが起こりにくいです。

介護士は介護施設や介護サービスへの理解を深め、利用者様の性格・特性に合った住み替えの提案をすることが求められます。

必要に応じて家族の協力を得ることが大切

介護士が利用者様同士のトラブルを完全に防ぐことが難しい理由には、以下のような点が挙げられます。

介護現場の人手不足により、介護士の配置人数が限られている

 介護士は無資格・未経験でも仕事ができるため、利用者様同士のトラブルが発生したときの対処方法を知らない介護士も多い

 食事・入浴・排泄などの介護業務に追われ、利用者様同士のトラブルや喧嘩への対応が遅れることが多い

上記の理由から、利用者様同士のトラブル・喧嘩は介護士だけでは防ぐことが難しく、ご家族の協力を得ることが必要になります。

利用者様のご家族には、具体的に以下のような協力を求めましょう。

 まめな対面面会もしくはリモート面会を行う

 利用者様本人の希望があれば、外食・外出・外泊を行い、気分転換を図る

 利用者様本人とのコミュニケーションを図り、日頃の愚痴や不満、悩みなどを聞く

介護施設で生じる利用者様同士のトラブルは、介護士だけでは完全に防ぐことができません。

日頃からご家族への報告・連絡・相談を行い、ご家族と協力しながら利用者様同士のトラブルを予防していくことが重要になります。

まとめ

利用者様同士の「相性が合わない」「認知症が原因の揉め事」「騒音・金銭紛失のトラブル」などは、利用者様に全ての問題があるわけではありません。

介護士がトラブルに悩む利用者様に、適切な対応を行っていないことが根本的な原因であることも。

利用者様同士の揉め事は放置せず、適切な対応法を考えるようにしましょう。

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