介護業界では管理職が不足している?管理職不足の現状について

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介護業界では、介護現場で活躍する介護職員が不足しているだけでなく、介護施設の管理を行う管理職の不足も問題となっています。管理職が不足してしまうことにはどのような原因があり、管理職不足を回避するにはどのような取り組みができるでしょうか。本記事では、介護業界の管理職が不足している原因と、対応策についてご紹介します。

介護業界では管理職が不足している?

高齢化が進行している日本では、年々要介護高齢者の数が増加しています。

それに伴い、介護人材の不足が問題視されていますが、不足しているのは要介護高齢者の介護を担う介護職員だけではありません。
介護施設の「人員・物品・経費」に関する管理業務を担う管理職も不足しているのです。

現在、日本では介護人材の不足を解消するため、「介護人材確保のための介護報酬改定」「介護職員の転職支援」「外国人労働者の雇用」に力を入れています。

しかし、管理職の確保に関する取り組みは、あまり積極的に行われていないのが現状です。

介護職員が管理職になるには10年以上の勤続が必要なため、一般的な介護職員よりも人材確保が難しいという課題があります。

介護業界で管理職が不足している理由・原因

介護人材の不足だけでなく、管理職の不足問題も抱えている介護業界。

なぜ、介護業界では管理職の不足が問題化しているのでしょうか。

ここでは、介護業界で管理職が不足している理由・原因を3つご紹介します。

早期離職者が多いため

管理職の不足が介護職員の不足よりも深刻化している原因として、管理職になるまでに退職してしまう人が多いことが挙げられます。

介護の仕事は無資格・未経験でも始めることができるため、就職へのハードルが比較的低いですが、その分介護の仕事への熱意が弱い人が多いです。

介護労働安定センターが行った「2018年度介護労働実態調査」の結果では、約64.2%の介護職員が3年以内に退職していると報告されています。

管理職になるには勤務年数や経験を積む必要があるため、管理職に育つ前に退職してしまう介護職員が多いことが、管理職不足の一因となっているといえるでしょう。

女性介護職員が多いため

介護業界では、従業員の約70~80%が女性だといわれています。

そのため、結婚や出産、育児などのライフスタイルの変化により、退職する介護職員が多い傾向にあります。

また、24時間体制で利用者の介護を行う介護施設の場合、夜勤や早出、遅出などの不規則勤務のため、育児との両立が難しいことが課題です。

このように結婚生活や育児との両立が難しいことから、管理職になる前に離職する女性介護職員が決して少なくないことが現状です。

介護職員の昇進制度が未整備のため

介護業界では介護職員のキャリアアップとして、介護資格の取得やリーダー職・管理職への昇進が推奨されています。

しかしながら、リーダー職や管理職の昇進においては、具体的な要件が決められておらず、介護施設によって、リーダー職・管理職の経験年数が異なります。

5~9年の勤続年数で管理職を任される人もいれば、10年以上で管理職を任される人もおり、明確な勤務年数の要件は定められていません。

そのため、「自分はいつになったら管理職に昇進できるのだろう」と不安を感じ、退職や別業種への転職を決意する介護職員も多いのです。

介護業界の管理職不足を防ぐための取り組み

介護業界の管理職の不足を防止するには、どうすればいいのでしょうか。

ここでは、介護業界の管理職不足を防ぐために、行政が行っている主な取り組みを2つご紹介します。

介護現場のリーダー級の職員を育成する方針

介護業界で管理職の人員を確保するには、ベテラン介護職員・リーダー職の育成が重要になります。

そのため厚生労働省は、介護職員をリーダー職・管理職のリーダー級へと育てる取り組みとして、「介護現場のリーダー級の職員を育成する方針」を定めました。

2020年から30ヵ所の自治体で試験的にスタートし、2021年以降からは全国規模で施策を展開しています。

具体的には、リーダー職・管理職へのキャリアアップに必要な研修や勉強会にかかる費用を、自治体が支援するという施策です。

特定処遇改善加算

介護職員ならびにリーダー職・管理職の人材確保を目的とし、給与アップを図る「特定処遇改善加算」が2019年10月1日付けで施行されました。

具体的には、リーダー職・管理職の月給を約8万円加算するという施策です。

しかし、実際には約2万円の昇給しか実現しておらず、当時の計画通りに「約8万円の昇給」が実現していません。

介護業界は、施設や事業所の内部留保額(貯金)に当てる額が多い傾向にあるため、介護職員個人の昇給があまり実現していないことが現状です。

参照:厚生労働省|介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進について

介護業界の管理職は別業種よりも若年世代が多い?

厚生労働省が公表した「令和2年賃金構造基本統計調査の概況」によると、一般企業で管理職に就ける平均年齢は以下の通りです。

係長 約45歳(男性:44.8歳、女性:45.7歳)
課長 約49歳(男性:48.5歳、女性:49.0歳)
部長 約52歳(男性:52.9歳、女性:52.2歳)

しかし、管理職の不足が問題視されている介護業界では、20代や30代の若い世代が管理職に抜擢されるケースも多くあります。

例えば、高卒新入社員で介護職員として入社した場合、勤務年数5年でリーダー職、勤続年数10年で管理職になると、28歳で管理職を担うことが可能です。

しかしながら、介護業界では管理職への昇進前に3年未満で早期離職する介護職員が多いため、管理職は常に不足している状態です。

管理職としての昇進・キャリアアップを希望する方は、介護施設または介護事業所での勤務経験を積んだり、介護資格の取得を目指してみましょう。

>>>あわせて読みたい「介護士におすすめの資格21選|キャリアアップできる資格は?」

介護業界の管理職が担う役割

ここまで、介護業界での管理職不足の現状やその原因、管理職の不足を防止するための取り組みについて解説してきました。

早期離職者や結婚・出産・育児などのライフスタイルの変化により、管理職になる前に辞めてしまう人が多いですが、管理職になるとどのようなメリットがあるのでしょうか。

介護現場の管理職が担う仕事内容・役割は、以下の通りです。

介護士の人員配置
 新人介護士の採用と育成
 介護施設・介護事業所の運営業務
 介護施設・介護事業所の広報活動
 利用者やご家族の相談・苦情への対応
 提供している介護サービスの管理
 外部委託業者や備品の製造メーカー営業者への対応
 備品の管理や補充
 業務改善や福利厚生の整備などの労働環境改善
 介護施設・介護事業所の収支管理

管理職に昇進すると、これまで担っていた介護現場での介護業務よりも、人員や収支、運営に関わる事務業務がメインになります。

そのため、「介護の仕事は好きだけど、肉体労働がキツイ」という方にとっては、身体を酷使せずに介護の仕事に携われるため、最適の職種となるでしょう。

また、管理職になることで、以下のような利点もあります。

 自分自身や他の介護職員にとって、働きやすい労働環境に変えられる

 介護現場の職員として働くだけでは得られなかった、マネジメントノウハウが身につき、スキルアップが実現する

 介護サービス全体の質向上の一助となれるため、やりがいが大きい

管理職が担う業務は数多くあり、最初は「仕事が覚えきれない」という戸惑いや混乱を感じることでしょう。

しかし、仕事に慣れてくることで、介護現場の職員として働いていた頃よりもワンランク上のやりがい・達成感を感じられるようになります。

介護業界の管理職は若い世代の活躍も期待されているため、興味がある方は是非、管理職への昇進を目指してみましょう。

まとめ

介護業界の管理職は、必要な資格や勤務年数などの要件が定められておらず、適性があれば、20代や30代などの若い世代でも管理職を任されるケースがあります。

そのため、介護業界は管理職への昇進が目指しやすいといえます。

仕事での昇進を目指したい方は、ぜひ介護業界での管理職の仕事を検討してみましょう。

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