お役立ち情報
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認知症になり介護が必要になった方には、日常生活の介護だけでなく適切な声掛けが必要不可欠です。介護者が普通に話しかけたつもりでも、認知症の方の捉え方次第では不機嫌になる可能性があり、それが原因で徘徊してしまうこともあります。今回は、認知症の方に適した声掛けの仕方についてご紹介します。
■目次
認知症の症状には中核症状と周辺症状(BPSD)の2つがあります。
特に中核症状は認知症になると必ず現れるもので、主な症状として以下のようなものがあります。
>>>あわせて読みたい「認知症のBPSD(行動・心理症状)とは?症状や対応方法を解説」
中核症状が起こることによって、認知症の方は常に不安感やいらつき、もどかしさを抱えているような状態になります。
そのため、無気力になる方や他者に攻撃的になる方も少なくありません。
ここからは、認知症の方に多い3つの症状・特徴をご紹介します。
認知症になると、これまでできていたことが急にできなくなる不安や、大事なことを忘れているのではないかという不安から抑うつ状態になります。
そのため、これまで好きだったことや趣味、習慣的に続けていたことに急に無関心になってしまいます。
しかし本人にとっては、今抱えている不安症状だけで手一杯です。
無理にこれまで興味があった物事を勧めないようにしましょう。
認知症になると実行機能障害という、料理や掃除、洗濯などこれまでしていたことの手順が分からなくなる症状が表れます。
そのため、食事や着替えなどのペースが極端に遅くなることが増えていきます。
また、見当識障害により、現在の時刻や今いる場所、一緒に居る人が分からなくなることも認知症の特徴です。
そのため、食事の時間には食べることを拒否し、夜中に「お腹がすいた」と冷蔵庫をあさるという行為も見られるようになります。
認知症になると、自分自身のできないことや介護者の介入にもどかしさを感じ、介護を拒否する方や攻撃的になる方もいます。
「認知症になってできないことが増えた自分をばかにしているのではないか」と被害妄想を持つ方も多いです。
そのため、認知症の方の暴言や暴力行為に悩む介護者も少なくありません。
介護現場や在宅介護などで認知症の方と関わる際、実際にどのように声掛けを行えばいいのでしょうか。
ここからは、認知症の方に声掛けをする際の基本的なポイントを3つご紹介します。
認知症の方に限らず、ご高齢者の多くは耳が遠く、声や音が聞き取りづらい傾向にあります。
そのため、声掛けの内容以前に声の大きさやトーンに気をつけることが大切です。
大きな声ではっきりと、ゆっくり優しい口調で声掛けを行うことで、認知症の方に関わらずご高齢者とのコミュニケーションが円滑化します。
介護の声掛けの基礎は、インフォームドコンセント(十分な説明と同意)です。
今から何をするのか説明し、今からとってもらう動作を伝える。そして、ご高齢者の了承・同意を得てから実際の動作に移ります。
しかし認知症の方には、このように長い流れや手順を踏むのは逆効果です。
途中で分からなくなり、混乱してしまいます。
認知症の方には、「今からお食事ですよ」「今からお風呂に入りませんか?」など短く簡潔に、分かりやすく伝えることが大切です。
介護者と認知症の方の心の距離が近づきすぎると、乱暴な言葉遣いやいい加減な態度になりやすいです。
しかし認知症の方は、自分自身にできないことが増えたことや、物忘れが増えたことで不安を感じています。
タメ口や命令口調、幼児言葉などの失礼な言葉遣いで声掛けをすると、尊厳を損なわれていると感じて怒ってしまいます。
声掛けをする際は、必ず敬語とタメ口を適度に混ぜた丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
>>>あわせて読みたい「【介護士必見】認知症への正しい対応方法|よくある悩みと解決法」
初めて認知症の方と接する際は、あいさつから始まり、介護ケアの最中や終了後など、場面ごとに適切な声掛けをする必要があります。
ここからは、認知症の方への適切な声掛けの例を場面ごとに3つご紹介します。
あいさつは初対面の時にしたからもういいだろうと思わず、毎日顔を合わせるたびにきちんと行いましょう。
特に、認知症の方は相手がどんな人だったか忘れてしまいがちです。
「〇〇さん、おはようございます。ヘルパーの〇〇です」と、相手の名前を呼んであいさつすると共に自己紹介も都度行いましょう。
毎日の自己紹介を怠ってしまうと、「この人誰だったかな?」と不信感を持たれてしまう可能性があります。
食事や入浴、排泄や着替えなどすべての介助において、行う前には声掛けを行います。
その際は短く簡潔に「今からお手洗いに行かれませんか?」「今からお風呂に入りませんか?」と声掛けします。
「~しますね」と介護者の意思を伝えるのではなく、「~してもいいですか?」「~していただけますか?」と認知症の方の意思を確認しましょう。
また、認知機能の低下により、介護者が伝えたはずの言葉が伝わっていないこともよくあります。
そのため、必ず認知症の方の目や表情を見て声掛けし、実際に介助を行う際も表情の変化に敏感になることが大切です。
認知症の方は、嫌だった体験や痛かった出来事などの記憶は残りやすい傾向にあります。
そのためケア終了後は、ポジティブな内容の声掛けを行うことが大切です。
否定的な声掛けや嫌な顔はせず明るくポジティブな内容の声掛けを行うことで、認知症の方にもプラスの感情が残ります。
認知症の方への声掛けに明確な正解はありませんが、絶対にしない方が良い声掛けというものは明確に存在します。
ここからは、認知症の方へのNGな声掛けの例を2つご紹介します。
認知症の方は最近起きた出来事などの短期記憶を失いやすく、昔あった出来事などの長期記憶は残りやすい傾向にあります。
そのためよくあるのが、「ご飯まだ?」など同じ質問を1日に何回も繰り返してしまうことです。
同じ質問の繰り返しにいらいらした介護者が、強い口調で「さっき言ったでしょ!」「何度言えば分かるの!」と返すのはNGです。
何度聞かれても、「お昼ご飯は12時なのであと2時間ほど待ってくださいね」などと丁寧に返しましょう。
認知症の方は16時〜18時頃の夕暮れ時になると、そわそわする・徘徊するなどといった夕暮れ症候群を起こすことがあります。
介護者が「今日はここにお泊まりですよ。ご家族さんには連絡してますから」と伝えても、その言葉が記憶に残りません。
そのため、「早く家に帰らなきゃ」「娘と旦那が帰ってくるの!私も帰るわ」と何度も言い、外に出ようとしてしまいます。
「今日は泊まりだってさっきも言ったでしょ!」「家には帰れないの!」と、介護者がいらいらした様子で返すと、認知症の方の不穏症状がさらに悪化するでしょう。
今日は介護施設に泊まることを何度も丁寧に伝えるか、それでも外に出ようとする場合は介護者が付き添って近くを散歩することがおすすめです。
>>>あわせて読みたい「認知症による「夕暮れ症候群」とは?介護士にできる対応法を解説」
認知症の有無にかかわらず、介護をする側・される側の間でのコミュニケーションや信頼関係は非常に大切です。
しかし認知症があることで、介護者のことを忘れてしまうことや、聞いた説明を忘れてしまうことがあります。
また、自分自身にできないことが増えたことに対する不安や、大事な記憶を忘れてしまう不安を抱えている方が多いです。
認知症の方への介護では、症状や特性、抱えている不安や悩みなどに寄り添った対応が必要になります。
認知症の方に適した声掛けやコミュニケーションを行うことで、暴力行為や介護拒否などの問題を防ぐことにもつながるのです。
認知症の方が1日に同じことを何度も尋ねてくるのは、わざとでも嫌がらせでもありません。
それこそが認知症の症状です。
介護者は怒らずに、人としての尊厳を保った対応をすることが求められます。
認知症の方の声掛けは、気長に丁寧に、じっくりと行うことが重要です。
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