介護現場で行う臥床介助とは?就寝介助や起床介助との違いも解説

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介護現場で行われる臥床介助とは、どのような介助なのでしょうか。臥床介助とは、利用者様がベッドや布団に横になる動作の介助です。就寝介助や起床介助、離床介助など、似た介助もあるため、混在しやすいといわれています。本記事では、臥床介助の手順や注意したいポイントなどについて解説します。



臥床介助とは?

臥床介助とは、利用者様がベッドや布団に横になる動作を手助けする身体介護です。

「臥床」とは「がしょう」と読み、人がベッドや布団に横になる動作を指します

臥床介助は、利用者様のおむつ交換や休憩などのために行われます。

 

臥床介助を行う目的

臥床介助は、どのような目的で行われるのでしょうか。

臥床介助を行う目的の例をいくつかご紹介します。

座っている状態の利用者様のおむつを交換するため

ベッドで横になって休憩してもらうため

トイレやお風呂から戻った利用者様に横になってもらうため

床ずれや身体機能の低下を防ぐため

医師から安静にするよう指示されている方や、寝たきり状態の方でも、日中ずっとベッドで過ごしてもらうわけにはいけません。

褥瘡(床ずれ)や関節の拘縮が進み、さらに寝たきり度や介護度が進んでしまうからです。

寝たきり状態の方でも、利用者様の状態を見ながら離床を促し、しんどそうであれば臥床介助を行うことで、寝たきり状態の方の廃用性症候群を防ぐことができるのです。

 

臥床介助の流れ・手順

実際に臥床介助を行う際、どのような流れや手順で進めるべきなのでしょうか。

ここからは、臥床介助の流れ・手順について詳しく解説していきます。

臥床介助の前に「移乗介助」を行う

臥床介助を行う前に、椅子や車椅子に座っている利用者様をベッドまたは布団に移乗します。

移乗介助では、椅子や車椅子をベッドまたは布団にできる限り近づけ、利用者様に前かがみになってもらいながら移ってもらいます。

全介助で移乗する際は、介護士が腰を痛めないよう、スライディングボードを活用したり、ベッドの高さを調節したりすることが重要です。

>>>あわせて読みたい「介護職が知っておくべき移乗のコツを紹介!腰痛予防にも」

利用者様の身体を横たえる

介護士の腕で利用者様の頭を支えながら、ゆっくりと利用者様の身体を横たえます

利用者様の膝が浮いたら、介護士の腕を膝裏に差し入れ、お尻を軸にして身体を回転させます。

このとき、利用者様が壁やベッドの柵で頭を打つ可能性があるため、ゆっくり丁寧に介助を行いましょう。

利用者様の体勢を整える

利用者様の身体がベッドまたは布団の中央に来るよう、位置調整を行います。

スライディングシートを利用者様の身体の下に敷き、ベッドまたは布団の上方に滑らせるようにすると、簡単に位置調整をすることができます。

利用者様の頭から足にかけてねじれがないか、服やシーツにシワがないか、楽に休んでいただくために細かな点もチェックしましょう。

機能訓練指導員からポジショニングの指示を受けている場合は、それに合わせてポジショニングを行うことが大切です。

>>>あわせて読みたい「【介護の基本】新人介護士必見!寝返り介助の手順や注意点を解説」

就寝介助・起床介助・離床介助との違い

臥床介助と混在しやすい介助として、以下の3つの介助が挙げられます。

就寝介助

起床介助

離床介助

それぞれの介助の違いを理解し、必要に応じた適切な介助を行うことが大切です。

ここからは、臥床介助と「就寝介助」「起床介助」「離床介助」、それぞれの違いについて解説します。

臥床介助

臥床介助とは、利用者様が日中疲れてしまって横になりたいときや、おむつ交換をする際、ベッドまたは布団に横たえる動作を指します。

利用者様が夜寝る前に横になる動作を介助するのは、就寝介助に含まれるため臥床介助ではありません。

就寝時以外で利用者様が横になる動作を介助するのは、すべて臥床介助です。

就寝介助

就寝介助とは、利用者様が就寝する前に行う介助を指します。

就寝前に行う口腔ケアや排泄介助、パジャマへの更衣、服薬、移乗など、就寝前の準備全般を「就寝介助」といいます。

就寝前に行われる臥床介助も就寝介助に含まれるため、混在しないようにしましょう。

起床介助

起床介助とは、利用者様が起床する際に行う介助を指します。

起床を促す声かけや体調確認、普段着への更衣、移乗、洗顔など、起床して日中活動を始めるまでの準備全般を「起床介助」といいます。

起床時に行われる離床介助も起床介助に含まれるため、混在しないようにしましょう。

離床介助

離床介助とは、ベッドまたは布団に横たわっている利用者様に起きた状態になってもらう介助を指します。

ベッドまたは布団から椅子や車椅子に座ってもらうだけでなく、自分自身で歩行できる利用者様を離床介助する場合もあります。

離床時以外で利用者様に起きてもらう介助をするのは、全て離床介助です。



臥床介助を行う際のポイント3選

安全に臥床介助を行うためには、いくつか注意しておきたい点があります。

ここからは、臥床介助を行う際のポイントを3つご紹介します。

全介助で臥床介助をしようとしない

臥床介助では、安全に介助をしようと意識するあまり、移乗や臥床の動作を全てサポートしてしまう介護士もいます。

しかし、全介助で臥床介助を行うことは介護士の負担になるだけでなく、利用者様の残存能力を損ねてしまう可能性があります。

利用者様の筋力低下を防ぐためにも、声掛けを行って利用者様に動いてもらうことが大切です。

腰痛やぎっくり腰に注意する

臥床介助を行う際、中腰の状態で身体をひねってしまうと、腰痛やぎっくり腰を起こしてしまう可能性があります。

介護士の身体的負担を防ぐためにも、臥床介助ではスライディングボードやスライディングシート、介護リフトなどを積極的に活用するようにしましょう。

また、腰への負担を軽減するためにも、身体全体で利用者様を支えることが重要です。

>>>あわせて読みたい「介護職が悩む「腰痛」原因は?対策法や改善できるストレッチ方法」

利用者様が無理な体勢になっていないか確認する

臥床介助を終えた後も、利用者様が無理な体勢になっていないか、痛みやしんどさがないか、しっかりと確認する必要があります。

利用者様がベッドまたは布団に横たわっている状態を「臥位状態」といい、身体の向きや体勢によってそれぞれ呼び方が変わります。

臥位状態の種類は以下の通りです。

仰臥位(ぎょうがい) 仰向けで、足を伸ばした状態です。
背殿位(はいでんい)

仰向けで、膝を立てた状態です。

この姿勢をとるときは、膝裏に細長いクッションか丸めたタオルを挟むようにしましょう。

側臥位(そくがい)

右向きまたは左向きで、横向きに寝た状態です。

身体の支持面積が仰向けよりも狭いため、胸の前でクッションを抱えてもらうようにしましょう。

腹臥位(ふくがい)

腹部を下にした、うつぶせの状態です。

高齢者の場合は胸部や腹部が圧迫され、窒息してしまうリスクがあるため、ほかの姿勢をとることをおすすめします。

半座位(はんざい)

ファーラー位

仰向けの姿勢で、上半身を45度背上げした状態です。

肺への負担を軽減するため、呼吸がしやすくなったり、痰が排出しやすくなったりします。


上記の中から、利用者様の姿勢や身体の形状、状態に合わせて適切な臥位姿勢を選ぶようにしましょう。

利用者様に合った臥位姿勢やポジショニングについては、看護師や機能訓練指導員と相談のうえ、決定することが大切です。

特に、片麻痺・骨折・関節拘縮・筋萎縮・円背があり、特別な配慮が必要な方は、独断で臥床介助を行ってはいけません。

また、自力で寝返りが打てない方が長時間臥位姿勢をとる場合は、定期的に体位交換を行うことを忘れないようにしましょう。

 

まとめ

臥床介助とは、日中、おむつ交換や休憩で利用者様をベッドや布団に横たわらせる動作のことです。

介護現場では行う頻度が多い介助のため、正しい手順をよく理解しておくことが大切です。

また、臥床介助では同時に移乗介助やポジショニングを行うため、それぞれの介助の手順についても改めて確認することをおすすめします。

 

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