【介護の基本】新人介護士必見!寝返り介助の手順や注意点を解説

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寝返り介助は要介護度が高いご利用者様に対して行うケースが多いですが、力任せに行ってしまうとご利用者様・介助者双方に怪我などのリスクが発生します。本記事では、安全に寝返り介助を行うための手順や注意点を中心にお伝えします。寝返り介助の基本を見直して安心・安全に行えるようにしましょう。

寝返り介助とは?

寝返り介助とは、自力で寝返りが打てない方に対して、介助者が身体の向きや位置を変えることをいいます。

寝返り介助は体位変換とも呼ばれます。

寝返り介助の必要性

人は眠っている間などに無意識に身体の向きを変えて寝返りを打ちますが、高齢になったりなんらかの障害を持ったりすると自力ではできなくなる場合があります。

長時間同じ姿勢でいて血液の巡りが悪くなると、心臓や肺などの機能低下を誘発する原因になったり、褥瘡(床ずれ)が発生する原因になります。

ほかにも身体に痛みを感じたり関節が拘縮してしまうため、寝返り介助が必要になるのです。

褥瘡(じょくそう/床ずれ)とは
自分の体重の圧力が身体の同じ部分の皮膚にかかり続けることによって血液の巡りが悪くなり、皮膚が赤くなる・ただれる・傷ができるという状態を褥瘡(じょくそう)または床ずれといいます。

褥瘡は予防が大切であり、その中の1つに定期的な寝返り介助があります。

身体の骨が突出している部分に発生しやすく、最も多いのが仙骨部であり、ほかには尾骨部・後頭部・肩甲骨・大転子・かかと・ひじなどが好発部位です。

拘縮(こうしゅく)とは
身体を動かす機会が減少すると関節が硬くなってしまい、その結果身体の関節の動きが制限されてしまった状態を拘縮(こうしゅく)といいます。

痛みなどによって身体が緊張してしまうと拘縮が進む原因になります。

適切な介助方法や、寝ているとき・座っているときの姿勢を安心が感じられて楽な姿勢にすることが拘縮を予防する1つの方法です。

介護の基本!各体位の名称

主な4つの体位の名称と体位によって褥瘡が発生しやすい部位を解説します。

仰臥位(ぎょうがい)

あおむけで寝ている体勢をいいます。

仰臥位においての褥瘡の好発部位は仙骨部・後頭部・肩甲骨・かかとなどです。

側臥位(そくがい)

横向きで寝ている体勢をいいます。

右に向いていれば右側臥位、左に向いていれば左側臥位と呼ばれます。

側臥位においての褥瘡の好発部位は大転子・くるぶし・腸骨・耳などです。

腹臥位(ふくがい)

うつ伏せで寝ている体勢をいいます。

腹臥位においての褥瘡の好発部位は頬・ひざ・つま先などであり、女性の場合は乳房、男性の場合は陰部にも発生するケースもあります。

長座位(ちょうざい)

上半身のみを起こして、両足を伸ばして座っている体勢をいいます。

長座位においての褥瘡の好発部位は臀部です。

端坐位(たんざい)

ベッドの端や車椅子などで足を床に下ろして座っている体勢をいいます。

端坐位においての褥瘡の好発部位は臀部です。

車椅子などに座っている場合、背もたれやひじ掛けがあるため、背中・ひじなどにも褥瘡が発生する場合があります。

寝返り介助の手順

介護の現場でも実際によく行われる仰臥位から左側臥位の寝返り介助の手順をご紹介します。

ご利用者様に仰向けから横向きになることを伝え、ベッドの高さは介助者が介助しやすい位置に調整する。

枕の位置を横向きになったときに頭を置く位置に移動させる。そして、身体を向ける側にご利用者様の顔を向ける。

身体を動かしたときに腕が身体に巻き込まれないよう、ご利用者様の両腕を胸の前で組む。

ご利用者様の両ひざを立てて、かかとはお尻に近づける。

ご利用者様に左を向いてもらう場合、左手は腰に置き左ひじはひざに当てておく。右手はご利用者様の右肩を持つ。

左ひじでご利用者様のひざを手前に倒しつつ左手で腰を回転させ、右手で肩を手前に引くように起こす。

ご利用者様の身体が左に向いたら背中にクッションなどを置いて、身体を安定させる。

ベッドに接している左側の肩を少し浮かせて除圧する。

お尻を少し引き、かがむような楽な姿勢にする。

適切な位置にクッションを入れ、筋肉が緊張しないようにする。腕や足の間などに入れるが、褥瘡などが発生していたり身体に痛みがある場合は注意が必要。

寝返り介助時の注意点

寝返り介助を行うときにはどのような点に注意が必要なのでしょうか?

ご利用者様に対してこまめに声掛けする

寝返り介助は身体を頻繁に動かします。

ベッドなど床から高さがあるところで自分の身体を動かされることは、恐怖を感じる場合もあるでしょう。

声掛けをせずに急に身体を動かすと、不安を感じて身体がこわばってしまい介助者・ご利用者様双方の負担になったり、予想外の怪我につながるおそれがあります。

そのため身体を動かすときの声掛けはこまめに行い、不安の軽減に努めましょう

皮膚状態を観察する

それぞれの体位によって褥瘡が発生しやすい部位があります。

排泄介助時や入浴時など日頃から皮膚状態を観察しつつ、寝返り介助をするときもクッションが当たる位置などの皮膚状態を確認してから、クッションを当てる必要があります。

麻痺や痛みに配慮する

ご利用者様によっては麻痺や痛みを抱えている方もいるため、配慮が必要です。

麻痺について
脳梗塞などによって身体に麻痺が残っている場合、なるべく麻痺側は下にせずベッドと接しないように配慮します。

麻痺側は血液やリンパの流れが悪くなることにより臓器や組織に障害が起こりやすく、筋肉や骨などがもろいためです。

また麻痺側は感覚がないため、怪我や皮膚状態の異常を自覚しにくい傾向があります。

そのため、介助者が配慮して寝返り介助を行う必要があります。

痛みについて
ご利用者様によって身体の痛みがある部位は異なります。

痛みがあるにもかかわらず無理に身体を動かしてしまうと痛みが強くなったり、介助に対して拒否感を感じてしまう原因になる可能性があります。

そのため痛みがある部分は事前にアセスメントし、痛みが生じないように注意しながら寝返り介助を行いましょう。

体調に配慮する

急に身体の向きなどを変えると、起立性低血圧やめまいが引き起こされる可能性があります。

ご利用者様の中にはご自身で体調不良を訴えられない方もいるため、表情や発語などに注意を向ける必要があります。

寝返り介助を行うときには「体調は大丈夫ですか?」「めまいはありませんか?」などの声掛けも行うようにしましょう。

衣類やシーツにしわが残らないようにする

寝返り介助を行うと、ご利用者様が着ている衣類やベッドのシーツにしわができてしまいます。

衣類やシーツのしわによって皮膚に摩擦や圧迫が起き、褥瘡の原因にもなるため、寝返り介助後にしわが残らないように直しましょう。

ご利用者様の残存機能を活かす

ご利用者様ができる範囲でできる動作を行っていただくと、身体機能の維持・向上が期待できるうえに、介助者の負担軽減にもつながります。

身体に痛みがある場合でもご利用者様自身のペースで動いてもらうため、介助するよりも痛みが軽減できるでしょう。

まとめ

寝返り介助には褥瘡を防ぐなどのご利用者様の体調を維持する役割があり、実施時はご利用者様への声掛けや麻痺や痛みに対して配慮などが必要です。

本記事で紹介した手順や注意点を踏まえ、安心・安全に寝返り介助を行いましょう。

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