お役立ち情報
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介護現場における事故報告書の書き方について解説します。介護現場では、利用者様の転倒やベッドからの転落、内出血や腫れといった外傷など、さまざまな介護事故と呼ばれる事故が起こります。いくら慎重に介護業務を行っても、完全に防ぐことは難しい介護事故。今回は、介護事故を起こしてしまった場合の、事故報告書の書き方やポイント、記載例などについて詳しく解説します。
■目次
介護現場で活躍する介護職員が日々警戒し、慎重に業務を行うきっかけとなっている介護事故。
介護事故を起こすことで、利用者様が命を落とす可能性や、骨折・脱臼などの重傷を負う可能性があります。
また、場合によってはご家族の方から訴訟を起こされるということも。
ここからは、介護現場で起こりがちな介護事故を5つご紹介します。
要介護者の多くは、咀嚼(噛む)・嚥下(飲み込む)などの口腔機能が低下しています。
そのため、食べものや飲みものが気管や肺に入り込み激しくむせ込んでしまうことや、誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。
また、食事中に窒息を起こし、呼吸困難や意識不明状態になり、そのまま亡くなるというケースも。
なお、ほかの利用者様の食事や薬を誤って飲み込んだ場合も介護事故となってしまいます。
>>>あわせて読みたい「【介護士必見】誤嚥はなぜ起こる?リスクと食事介助時の注意点」
浴室内の床は滑りやすく、転倒の恐れがあります。
入浴用車椅子や入浴用リフトからの転落事故にも要注意です。
また、浴槽内に入ったからといって介護事故が起こらないわけではありません。
姿勢が崩れて浴槽内で溺れてしまう可能性や、介護職の温度確認ミスでやけどをおってしまう可能性があるため注意が必要です。
>>>あわせて読みたい「【介護士必見】入浴介助時に起こりうる事故を防ぐ4つのポイント」
寝たきり状態の方であればおむつ交換を行いますが、自力歩行が可能な場合、自立支援としてトイレでの排泄を促します。
その際、トイレ内でよろけて手すりで頭を打つ、車椅子や便座から転落するなどの介護事故が起こる可能性があります。
利用者様が自分で起こした事故でも、介護職員の監督不行き届きが原因で起きた介護事故と認定されます。
居室では利用者様が自分でトイレに行こうとした際に、ベッドから転落するという事故が起こりかねません。
また、廊下であれば、徘徊や散歩をしていた際に転倒して外傷を負うという事故が起こる可能性があります。
デイサービスやショートステイなど、利用者様を施設からご自宅に送迎する送迎業務では、利用者様の転落・転倒などの介護事故に加えて、交通事故のリスクもあります。
実際過去には、訪問美容師が専用車両に利用者様を乗せようとしたところ、車椅子ごと転落し、利用者様が死亡したという事故も起きています。
そのため、介護職だけでなく、福祉車両のドライバーや訪問理美容師などの職種も介護事故への注意が必要です。
事故報告書とは、介護事故が起きた際に記載する書類のことです。
事故報告書には、以下のような内容を記載することが一般的です。
以前は、事故報告書には決まった書式やフォーマットがありませんでした。
しかし、令和3年から厚生労働省によって、介護施設・介護事業所での事故報告書のフォーマットが統一されました。
以下のリンクからダウンロードして印刷し、使用することが可能です。
事故報告書のフォーマットのダウンロードはこちら(Excel)
介護現場で介護事故が起こった際、なぜ事故報告書を書く必要があるのでしょうか。
ここからは、事故報告書を記載する目的や、介護事故をほかの職員へ周知・共有する目的について3つご紹介します。
1、再発防止 |
・介護事故が起きた原因や経緯を明らかにし、適切な再発防止策を考える |
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2、ほかの職員への周知 |
・ほかの職員が同じ介護事故を起こさないために、事故の様子や原因、対応などの詳細情報を共有する |
3、介護事故の隠ぺい防止 |
・事故報告書を記載するというルールを設けることで、介護事故の隠ぺいを防止する |
新人介護職の方や、初めて事故報告書を記載する介護職員は、「どうやって書けばいいの?」「具体的に何を書けばいいの?」と迷ってしまいがちです。
事故報告書には、介護事故の様子や原因分析、再発防止策をしっかり記載することが重要です。
ここからは、事故報告書を分かりやすく記載するための3つのポイントをご紹介します。
事故報告書は、起こった介護事故の詳細を知らないほかの職員や、行政機関の職員が読むため、事故当時の様子を分かりやすく記載する必要があります。
そのため、以下の5W1Hを意識して書くことで、誰が読んでも分かりやすい内容にすることができます。
介護事故を起こしてしまうと、その焦りから「〜だと思った」「〜だと判断した」などの主観的な表現で事故報告書を記載しがちです。
しかし、介護事故が起こった際の様子や原因、経緯などを記載するときは、できる限り客観的な事実を記載することが大切です。
見たものや聞いたことをそのまま書き、事実と憶測は分けて記載することをおすすめします。
いくら介護職員が細心の注意を払っても、介護事故を起こしてしまう可能性があります。
できる限り介護事故を繰り返さないよう、原因と今後の予防策を明確に記載することが大切です。
特に原因においては、介護事故を起こした職員についてだけでなく、利用者様やほかの職員、介護現場の環境など、さまざまな視点から分析することが重要です。
再発防止策は理想論ではなく、現実的に実行できるような内容を記載するようにしましょう。
>>>あわせて読みたい「介護施設で多い転倒事故…起こる原因や介護士ができる対策は?」
事故報告書は、具体的にどのように記載すればいいのでしょうか。
ここからは、利用者様が転倒したケースの介護事故を例に挙げ、事故報告書の記載例をご紹介します。
介護事故発生の日時 | 令和〇年〇月〇日 午前〇時〇分頃 |
---|---|
介護事故の対象者 | 田中太郎さん・男性・84歳・要介護3 |
介護事故が発生した場所 | 田中さんご本人の居室内(201号室) |
介護事故の概要 | ベッドに横になっている田中さんに、「フロアでお茶しませんか?」と声掛けを行い、田中さんはご自身で身体を起こしてくださった。 少しふらつきながら立ち上がったが、前のめりの姿勢になってしまい、対応した介護職員が支えきれずにそのまま転倒してしまった。 転倒後には意識があり、右ひじ付近に内出血と腫れが見られている。 |
そのときの対応 | 別の職員を呼び、2人がかりでベッドへ移す。 その後、長女の△△さんに連絡し、△△さん同行のもと、▢▢整形外科を受診。(午前〇時〇分頃・担当医:佐藤様) 打撲傷との診断を受け、湿布を処方される。 |
なぜ起きたのか | ・事前の声掛けや、介助をする際の声掛けが不十分だった ・体格差のある女性介護職が1人で介助していた ・田中さんへの体調確認を怠った |
今後の対策 | ・声掛けを行った後、利用者様の介助に対する同意とその日の体調を必ず確認する ・体格が大きい男性利用者の介助は2人介助で対応する ・自立歩行ができる方でも、転倒の可能性があるため、十分な注意を払う |
事故報告書は、介護事故が起こった日から5日以内に書くのが目安です。
また、以下のような介護事故では、行政機関への報告が必要とされています。
上記の事例に該当するにもかかわらず、行政機関への提出を怠った場合、介護施設・介護事業所は行政指導を受け、場合によっては指定取り消しの処罰を受ける可能性があります。
また、介護事故を起こした介護職員による事故の隠ぺいや虚偽の報告が発覚した場合、懲戒解雇などの処分がくだされることが多いです。
介護事故の内容によっては、刑事事件として扱われ法的処罰を受ける可能性もあるので、介護事故が起きたことは必ず正直に報告しましょう。
>>>あわせて読みたい「介護現場のヒヤリハット報告書とは?目的・事例・記入例について」
事故報告書は、同じような介護事故を繰り返さないために記載します。
介護事故の様子を目撃しなかった職員も、事故報告書を読むことで当時の様子が把握でき、事故防止への意識が高まります。
事故報告書を記載することで介護事故の再発を防ぎ、安全な介護サービスの提供を実現させましょう。
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