お役立ち情報
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人が生きる上で欠かせない食事ですが、高齢者の食事には誤嚥のリスクや注意点が数多くあります。誤嚥のリスクを減らし安全に食事をするには、どのようなポイントに注意すべきなのでしょうか。本記事では、誤嚥のリスクと食事介助時に介護士が注意すべきポイントを解説します。
■目次
食事を食べるという一連の動作には5つの段階があります。
段階別に特徴を解説します。
視覚・嗅覚等で食べ物を認識する段階。
食べ物を口に入れて噛み砕いて、食べやすいような形にする段階。
舌・頬を使って細かくなった食べ物を口の奥から咽頭へ送る段階。
咽頭に食べ物が来ると嚥下反射が起こり、喉から食道へ食べ物が送られる段階。
食べ物が食道に入ると、蠕動運動によって胃に到達する。
食べ物や飲み物が声門を越えて器官に入ることを誤嚥(ごえん)といいます。
咀嚼機能の低下など嚥下機能の低下によって引き起こされます。
誤嚥には咳やむせを伴う顕性誤嚥と、咳やむせを伴わない不顕性誤嚥があります。
通常は、食べ物などが器官に入ると咳やむせによって自力で器官から出そうとします(顕性誤嚥)。
しかし加齢により嚥下筋力や感覚が低下した高齢者は、咳やむせができず不顕性誤嚥の状態になることも。
このため、咳やむせがなかったとしても誤嚥している可能性があるのです。
高齢者の嚥下機能が低下する原因は以下の通りです。
●舌の運動機能や味覚の低下
●虫歯や歯周病によって歯を失った状態
●咀嚼機能の低下
●唾液の分泌量の低下
上記はいずれも老化が原因です。
ほかには、脳血管障害やパーキンソン病等が原因となって嚥下機能の低下が起きることがあります。
口腔や咽頭、食道などの摂食嚥下に必要な器官の運動に問題が起こるため、食べ物を上手く送り出せない状態に陥ります。
誤嚥によって引き起こされるリスクは以下の通りです。
誤嚥性肺炎は、食べ物・水分・唾液などを誤嚥したときに口腔内の細菌も器官から肺へと入り込むことで引き起こされます。
口腔内の清潔が保たれていないと肺炎の原因となる細菌が増殖し、誤嚥性肺炎のリスクは上がります。
一般的な症状は、咳・発熱・痰・呼吸困難がありますが、症状には個人差があり、人によって症状がほとんど出ない場合もあるでしょう。
窒息は、食べ物が器官に入ってしまう部分的気道閉塞と、咽頭や喉頭の入口で食べ物が止まってしまう完全気道閉塞があります。
窒息時のサインは以下の通りです。
●チアノーゼが見られる
●呼吸・咳が弱い又は全くできない
●急に黙り込む・動きが止まる
●意識がなくなる・ぐったりしている
●声が出せない
●苦しそうな様子がある(手で首をわしづかみにするチョークサインが見られる場合もある)
個人差がありますが、窒息に陥ってしまった場合はおおよそ5分~8分程度で呼吸停止し、その後、数分~数十分で心停止になるといわれています。
このため、窒息時には適切な対応が必要です。
窒息時に反応がある場合の代表的な対応方法は、以下の通りです。
背部叩打法
ご利用者様の後ろから、手のひらで左右の肩甲骨の真ん中あたりを力強く何度も叩く。
腹部突き上げ法(ハイムリック法)
❶ご利用者様の背後からウエスト付近に手を回す。
❷一方の手でへその位置を確認する。
❸もう一方の手で握りこぶしを作り、親指側をご利用者様のへその上側で、みぞおちより十分下側に当てる。
❹へそを確認した手で握りこぶしを握って、素早く手前上側に向かって圧迫するように突き上げる。
腹部突き上げ法を実施した場合は腹部の内臓を痛める場合があります。
救急隊に腹部突き上げ法を実施した旨を伝えるか、すみやかに医師の診察を受けましょう。
食事介助時に誤嚥を防ぐには、どのようなポイントに注意すべきなのでしょうか。
認知症などで認知機能が低下している方の場合は、食べ物を食べ物だと認識できずに誤嚥してしまう可能性があります。
また、脳梗塞の後遺症などで身体に麻痺がある方の場合は、麻痺側の口が開けづらかったり口の中に食べ物が残りやすくなります。
心身機能を事前に把握することで、ご利用者様に適した声掛けや食事介助が実施できるでしょう。
食事に適した姿勢になっているか確認が必要です。
椅子に座っている場合、椅子に深く座り両足は床につけ、顎を引きます。
顎が上がってしまい頭が後屈した姿勢だと、嚥下に必要な筋肉が伸びきってしまうため、誤嚥の原因になります。
身体が安定しない場合は、クッションや枕などを使用して姿勢が傾かないように配慮します。
食事を開始する前に、意識はあるか・眠気はないか・いつもと変わった様子はないかなどを確認します。
覚醒状態が悪い場合は時間を置いてしっかり目覚めてから食事を始める必要があります。
口元を温かいタオルで拭いたり、頬や顎下などをマッサージすると刺激になり、覚醒する場合もあるでしょう。
活気があっても興奮状態の場合は、食べ物を認識できなかったり急いで食べ物を口に入れたりして誤嚥してしまう可能性もあるため、状況に応じた対応が必要です。
食事形態は主に普通食・刻み食・ソフト食・ミキサー食などがあり、ご利用者様の心身機能に合わせて選択します。
例えば、噛む力・飲み込む力が弱い方や消化器官が衰えてきている方にはミキサー食が適している場合があります。
食事の時は、ご利用者様が食べづらそうにしていないか、むせ込んでいないかなど様子を常にチェックし、気になる点があった場合は他スタッフや多職種に相談しましょう。
食事の前に口腔体操をすることで、覚醒を促したり唾液の分泌を促し、誤嚥の予防が期待できます。
口の中にある唾液腺の1つである顎下腺をマッサージすると、唾液の分泌を促します。
❶顎下腺は、あごの骨内側のやわらかい部分にあります。
❷耳の下からあごの下まで5回ほどに分けて、マッサージします。指の腹を使い、優しく行いましょう。
❸5回×1〜2セットをめやすに行いましょう。
顔の表情筋には働く咬筋や頬筋、大頬骨筋があります。
マッサージすると、食べ物を噛む動作をする準備ができます。
❶頬骨に手の母趾球(親指の付け根辺りの筋肉)を当て、時計回りにマッサージする。
❷5回×1〜2セットをめやすに行いましょう。
大きく口を動かして声を出すことで、嚥下機能の維持・向上や脳の活性化に効果的です。
大きく口を開けて「パ、タ、カ、ラ」と遠くまで届くような大きな声で言います。
パタカラ体操と同様に、大きく口を動かして声を出します。
季節ごとに内容を変えると見当識障害の方へのアプローチにもなります。
●隣の客はよく柿食う客だ
●となりのきゃくはよくかきくうきゃくだ
●生麦生米生卵
●なまむぎなまごめなまたまご など
比較的長い文章になるため、ご利用者様の反応を確認し、全員が参加しやすい内容を選ぶ必要があります。
誤嚥には誤嚥性肺炎や窒息などの重大なリスクがありますが、介護士が注意することにより防げる場合もあります。
ご利用者様の状態の観察や、食事介助時に注意するポイントを守ることで誤嚥を防止し、安全な食事介助を心がけましょう。
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