命に関わる事故を防ぐ!介護施設の誤薬防止策を徹底解説

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介護施設で注意しなければいけない誤薬。単なる職員の確認不足として処理していませんか? 誤薬は利用者様の命に関わる問題なため、しっかりと正しい対策を練る必要があります。本記事では、誤薬の事例を紹介したうえで、誤薬防止策や誤薬したときの対応について解説します。

介護施設の誤薬事例

薬の使用を間違えることを誤薬といいます。
一概に誤薬といっても

  • 服用する薬を間違えてしまう
  • 用法用量を間違えてしまう
  • 薬を飲み忘れてしまう
  • 使用前に床に落としてしまう
  • 違う人に飲ませてしまう

など、さまざまなケースが見受けられます。

では、具体的にはどのようなインシデントが発生しているのでしょうか。
過去に発生した事例を見てみましょう。

誤薬の事例
有料老人ホームにおいて、厳格な安全管理方策が必要なサリドマイド製剤(販売名:サレドカプセル100)について、サリドマイド製剤を服薬する患者である入居者とは別の入居者に対して使用の介助を行った事例が判明。
出典:厚生労働省|介護保険最新情報Vol.398 平成26年10月1日

薬は医師が効果と副作用を考慮したうえで処方しているため、指示通り正しく服用しなければその効果を発揮しません。

誤薬は最悪の場合、利用者様の命を危険に晒してしまう重大な事故につながるため、細心の注意が必要です。

>>>あわせて読みたい「介護現場でのリスクマネジメントとは?必要な理由や実践方法」

介護施設で誤薬が起こる原因


誤薬はなぜ起きてしまうのでしょうか。
以下では、誤薬を引き起こす原因について解説します。

職員の確認不足

誤薬の多くは、ヒューマンエラーによって引き起こされます。

服薬介助はルーティンワーク化してしまいがちですが、同じ作業の繰り返しだからといって確認をおろそかにしてはいけません。
「この確認が利用者様の命を守る」という意識を持つことが大切です。

服薬拒否

認知症の方は服薬を拒否する場合があります。

「薬を飲む理由がわからない」「薬を飲む気分ではない」
など理由はさまざまですが、自己判断で利用者様を尊重し、与薬を中止するのは危険です。

医師・薬剤師とも相談し、利用者様にあった与薬方法を検討しましょう。

落薬

服薬介助の際、薬を床に落としてしまうことを落薬といいます。

状況によっては落薬したことに気づかず、知らず知らずのうちに誤薬を引き起こしてしまう場合も。
たとえ後日、床から薬を発見したとしても、いつ・誰が落とした薬なのかを判断するのは困難です。

>>>あわせて読みたい「介護士が服薬介助するポイントを解説|どこからが医療行為?」

介護施設の誤薬防止策


誤薬を引き起こさないためには、どのようなことに注意したらよいでしょうか。
最低限抑えておきたいポイントについてまとめました。

介護士が薬についての基礎知識を持つ

薬を1回分ずつ個包装し、フルネームと与薬時間を明記する

配膳と同時に薬を配らない(配薬のタイミングを別に設ける)

利用者様が薬を飲み込むまで確認する

介護士2名体制でダブルチェックを行う

誤薬防止マニュアルを作成し、職員の研修を徹底する

しかし、上記の事項を守っていても、誤薬が起こってしまう場合があります。
以下では、原因によって異なる誤薬の防止策を解説します。

配薬時のミス

薬を飲ませる相手を間違えてしまった

服薬介助をする際、Aさんの薬を誤ってBさんに飲ませてしまうことがあります。
原因は介護士の確認不足ですが、本人確認そのものを怠ったというミスは少ないのではないでしょうか。

服薬介助を行う際は、利用者様の名前を呼んで本人確認するのが一般的です。
このとき、苗字だけでは同姓の方と取り違えてしまう可能性があるため、本人確認はフルネームで行いましょう。

しかし、認知症の方は別人の名前にも「はい」と返事してしまう場合があります。

  • 薬袋に性別や外見の特徴を書いておく
  • 薬袋か配薬トレーに利用者様の顔写真を貼っておく
  • 利用者様の顔と名前が一致している職員がダブルチェックを行う

上記のような工夫を取り入れることで、正確な本人確認を行うことが大切です。

落薬してしまった

落薬を防止するためには、受け皿となるトレーや容器を準備するのがおすすめです。
薬は小さく転がりやすい形状をしているため、ある程度の深さがある容器が望ましいでしょう。

利用者様が薬を口に含んだ後も、目を離してはいけません。むせて薬を吐き出してしまう可能性があるからです。
落薬を防止するためにも、1錠ずつ飲ませてあげることが大切です。

もし落薬してしまった場合は、たとえすぐに拾えたとしても破棄しましょう。

 

配薬準備のミス

薬のセットを間違えてしまった

基本的に薬の準備は看護師が行います。
誰が配薬業務を行ったか明確化するために、作業者の氏名を記載するというルールを設けるとよいでしょう。

介護士も、「セットしたときに確認しているはずだ」と思って確認をおろそかにしてはいけません。

利用者様の名前はもちろん、薬の種類や数まで必ず再確認するようにしましょう。

飲ませる薬の量を間違えてしまった

薬はその目的や効能にあわせて量や時間などが決められています。
用法用量を守らなければ、最悪の場合は命に関わるため注意が必要です。

介護士は医療の専門家ではないため、薬の知識を詳細まで把握するのは困難です。

だからこそ、できうる限りの確認は徹底するよう心がけましょう。

薬を飲ませるのを忘れてしまった

持病を患っている高齢者の方は、さまざまな薬を服用しています。
A薬を1日3回毎食後、B薬を1日2回、C薬を1日1回就寝前……というように内容が複雑化してくると、介護士の管理も難しくなるでしょう。

薬の管理には、一目見て日付や量が把握できるお薬カレンダーの活用がおすすめです。

>>>あわせて読みたい「【介護職員必見】介護事故が起こったときの対応方法、原因と対策」

介護施設で誤薬したときの対応は?

誤薬が起きたとき、経過観察するのは絶対にNGです。

「きっと大丈夫だろう」「なにも起こらないはずだ」
そういった判断は医師法上の診断にあたり、医師のみに許された医療行為です。

したがって、看護師にも誤薬後の対処に決定権はなく、勝手な判断で経過観察するのは違法行為となります。

誤薬が発覚次第すぐに受診し、医師の判断を仰ぎましょう。

まとめ

利用者様の命に関わる誤薬事故。

防止するためには、職員個人のミスとして処理せず、根本的な原因を探ることが必要不可欠です。

ヒューマンエラーは誰にでも起こりうるため、誤薬してしまった職員を責めるのはNG。
どの手順が難しかったのか、どのタイミングで確認が漏れてしまったのかなど、一つひとつていねいに改善点を洗い出しましょう。

施設形態や人員配置に合わせた防止策を模索し、リスクマネジメントを行うことが重要です。

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