お役立ち情報
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介護施設で発生する事故のなかでも、最も多いといわれているのが転倒事故。利用者様が介護施設で転倒してしまうことには、どのような要因があるのでしょうか。今回は、介護施設での転倒事故の実情や転倒事故が起こる理由、ケアと環境設備の面から見た対策方法について解説します。
■目次
公益財団法人 介護労働安定センターの調査によると、介護施設で発生する事故で最も多いのが「転倒・転落・滑落」で、およそ65.6%を占めると報告されています。
その次には「誤嚥・誤飲・むせこみ」が13%、「ドアに体を挟まれた」が0.7%と続きます。
なお、事故による傷病分類では70.7%で「骨折」が最も多く、その次に19.2%が「死亡」という結果に。
このことから、介護施設で転倒事故が起こってしまう件数は決して少なくなく、それにより負傷する方も多いということが分かります。
転倒事故を全くゼロにすることは難しいですが、対策を講じて転倒事故を未然に防ぐ取り組みを行うことが必要不可欠です。
参照:公益財団法人 介護労働安定センター|「介護サービスの利用に係る事故の防止に関する調査研究事業」報告書
高齢の利用者様が転倒しやすいのは何故なのでしょうか。
転倒しやすい4つの理由について解説します。
加齢によって筋力が低下したり、視力が悪くなることで転倒しやすくなります。
自分の体重を支えられなかったり、視界や足元がふらつくことからふとした衝撃に耐え切れず、足元がすくんでしまうということも。
また認知症など脳障害により咄嗟の判断が難しくなることから、転倒しそうになった際に受け身を取れず、大きなケガにつながるような転倒をしてしまうこともあります。
動作が遅いことによる焦燥感や不安、緊張により心理的負担がかかり、イメージ通りの動きができないことから転倒してしまうこともあります。
過去に「動きが遅い」と指摘されたことのある利用者様の場合、「自分が動くのが遅いせいで人に迷惑をかけてしまう」という焦りから転倒してしまうことも。
また認知症の症状から何かしら急いでいたり逃げる・追いかけるイメージをしている場合、早く動きたいという心に実際の体力がついてこず、転倒につながることもあるでしょう。
利用者様が服用している薬によっては眠気やふらつき、立ちくらみ、内臓機能の低下など、さまざまな副作用が現れます。
この副作用により転倒してしまうことも少なくありません。
薬を服用することによって転倒などの事故の可能性がある場合、あらかじめ利用者様に副作用についてしっかりと説明することが必要です。
加齢により筋力が低下すると運動する機会が減り、それによって体がより鈍ってしまうことで転倒のリスクが高くなります。
また運動不足は認知機能の低下にもつながり、段差を判別できなかったりベッドの高さを見誤って転倒してしまうということも。
定期的な運動を取り入れるなど、利用者様が運動不足に陥らないような対策が必要です。
介護施設で転倒が起こってしまう原因には、どのような点が挙げられるのでしょうか。
家具や観葉植物など、利用者様の歩行の妨げになるものは転倒につながりやすくなります。
ぶつかりやすい場所に何か置いてあったり、視界の邪魔になるような障害物がないか、改めて確認してみましょう。
特に手すりやスロープ周辺は要チェックです。
置いてある障害物以外にも注意しないといけないものが、床に落ちてあるもの。
例えばコンセントのコードや掃除用のホース、延長コードは足が引っ掛かりやすく危険です。
コードは使用しない際はすぐに片付ける、使用する際は通路をさえぎる形では使わないなどの配慮を行いましょう。
廊下の手すりが途切れていたり、そもそも付いていない場所は転倒が発生しやすい場所です。
手すりがないと歩行にふらつきが出てしまう利用者様は少なくありません。
廊下やトイレなどはもちろん、利用者様が歩行する可能性のある場所にはしっかり設置するようにしましょう。
加齢で筋力が低下すると足を上げる力も弱まり、わずかな段差にもつまづいてしまうことがあります。
敷居やカーペットの端など、1~2cmのわずかな段差であっても転倒のリスクが高いのです。
施設内の床はなるべくフラットな状態になるよう、敷居の高さやカーペットを工夫する必要があるでしょう。
ベッドや椅子の高さが利用者様に合っていないと、移乗の際にバランスが取りづらく転倒につながります。
またベッドが高すぎる場合、転倒した際に大きく負傷してしまうことも。
ベッドや椅子は利用者様が移乗しやすい高さに合わせて調整することが大切です。
介護士が普段のケアできる転倒対策について解説します。
利用者様は「早くしなければ」という焦りから転倒してしまうこともあります。
そのため介護士は利用者様を急かさず、ゆっくりでいいことを伝えて余裕を持って行動してもらうことが大事です。
介護士からの圧力による不安感や緊張感も転倒のリスクを高める要因になるため、対応方法に注意しましょう。
利用者様が転倒を未然に防げるような健康的な体づくりを行うために、定期的に適度な運動を行うようにしましょう。
座ったままでも足腰を動かせるような体操がおすすめ。
運動が義務と化し「つまらないもの」になってしまわないように、日常のレクリエーションに上手く取り入れることがポイントです。
利用者様の靴や杖がしっかり安全を保障できるものか、今一度見直してみましょう。
靴やスリッパ、サンダルなどが脱げやすく滑りやすかったり、杖の長さが合っていない場合、転倒のリスクが高くなってしまいます。
靴や杖に不便な点はないか、利用者様に確認を取ることもポイントです。
利用者様がこれまでに転倒しそうになった場所や、危ないと感じた場所はないか、ヒアリングを行ってみましょう。
危険な場所を洗い出し、未然に対策を講じることで転倒を防ぐことができます。
またヒアリングを行うことで、足腰が健康な介護士目線では気づかないような箇所を見つけられるかもしれません。
介護施設での転倒を防ぐために、環境面ではどのような対策ができるでしょうか。
転倒しやすい場所別に解説します。
居室は利用者様が過ごす場所であり、一人で行動することもよくあります。
ベッドや出入り口の導線などをしっかり確認しましょう。
●ベッドや椅子の高さを利用者様に合わせる
●ベッドガードを設置する
●ベッドの周りに無駄なものを置かない
●出入り口付近に無駄なものを置かない
●コンセントのコードを露出させない
トイレなどの狭い空間での転倒は、思わぬケガにつながることも。
十分に手すりを設置していても認知症の利用者様だと掴み忘れてしまうこともあるため、転倒してしまった場合に被害を最小限に押さえるための対策を講じることも重要です。
●掃除などで地面を濡れたままにしない
●手すりを十分に設置する
●クッションマットを床に敷く
●トイレットペーパーなどの備品を床に置かない
●ドアが開けにくくないか確認
浴室や脱衣所は床が濡れてしまうことから、足を滑らせて転倒してしまうリスクが高いです。
足元の安全を確保できるような対策を重点的に行いましょう。
●床の水気はなるべくふき取る
●滑り止めマットを床と浴槽内に敷く
●段差のある部分は踏み台を設置する
●介護士も滑りにくいサンダルを履く
●脱衣所に棚などがある場合は角をクッションなどでカバーする
介護施設で高齢の利用者様が転倒してしまうことには、加齢による筋力の低下や薬の副作用などでなく、施設内の障害物や設備不備などが理由として挙げられます。
転倒事故を防ぐためには、利用者様への日常的なケアと施設内の生活環境の整備が必要不可欠です。
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