お役立ち情報
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あなたが勤務する介護施設には、介護士や介護に依存している利用者様はいませんか?介護依存とは、介護士に「常に自分を優先してほしい」と言ったり、介護士が思い通りに対応しなければ理不尽な暴言を吐いたりするような状態を指します。今回は、介護依存する利用者様の心理と、介護士にできる対処方法について解説します。
■目次
夫婦や親子、恋人関係など、「介護士と利用者様」という関係以外にも、お互いに依存し合い、共依存状態になっている人が多くいます。
共依存状態になっている人の特徴として、妻や子供などの社会的地位や力が弱い側が、夫や親などの社会的地位や力が強い側に精神的に頼っています。
そして、頼られている側もまた、「自分がいなければこの人は何もできない」と思い、過保護になって余計なお世話をしてしまうのです。
介護サービスを利用している利用者様の多くは、「自分1人でトイレに行けない」「自分1人で入浴できない」などのハンディキャップを抱えています。
そのため、介護士に対してさまざまな要求をし、気づけば依存状態になってしまうケースが多いのです。
また、介護士側も利用者様の自立支援が大切だと理解していても、利用者様に頼まれるとついつい断れずに要望に応えてしまうことがあります。
できないことが多い利用者様と、できることが多い介護士とでは必然的に力関係の差が生じ、共依存状態になってしまうのです。
介護士に依存する利用者様には、どのような考えや思いがあるのでしょうか。
ここでは、介護士に依存する利用者様の心理を3つ解説します。
認知症になって、これまで迷わなかった道でも迷うようになった。
脳血管障害の後遺症による片麻痺で、歩行や1人でのトイレや入浴ができなくなった。
このように、介護サービスを利用する利用者様の多くは、加齢や病気、障害により、これまでできていたことができなくなってしまったという悩みを抱えています。
脳梗塞を発症し、片麻痺になったばかりの頃は入院先の病院でリハビリを頑張っていた利用者様でも、回復の見込みがないことで諦めてしまうケースが多いです。
また、認知症が軽度の頃は認知症が進行しないよう、脳トレに励んでいた利用者様でも、認知症の進行に伴い、脳トレに取り組むことすら難しくなってしまいます。
こういった、「できないことが増えるジレンマ」から介護士に救いを求め、依存状態に陥ってしまっていることが考えられます。
介護の基本は、利用者様の自立支援です。
できない部分は介護士が介助しますが、できる部分は利用者様にご自身で行ってもらうことで心身機能や認知機能の低下を防ぎます。
しかし、それができていない介護士がいるのも現状です。
頭では自立支援が大切だと分かっていても、利用者様に頼まれるとついついやってしまう。
多忙を極める介護現場では、「利用者様がするのを待つより介助をした方が早い」と思い、ついつい手出ししてしまうという場面が多いです。
そのせいで、利用者様は「介護士が身の回りのことを何でもしてくれる」と勘違いし、介護士に甘えるようになってしまいます。
>>>あわせて読みたい「自立支援介護とは?介護士が知っておきたい基本となる4つのケア」
利用者様の多くは、自らの強い希望で介護施設での生活を送っているわけではありません。
認知症を患ったり、脳血管障害を発症して片麻痺になったりしたことで、家族では介護が難しいと判断され、介護施設への入居に至ったケースが大半です。
そのため、「なんでこんなところにいなければならないんだ」と思い、介護施設の外に出ようとする利用者様が多くいます。
しかし、徘徊や脱走をしてもすぐに家族や職員に見つかり、介護施設に戻るため、次第に介護施設の外に出ることを諦めていくことが多いです。
そのような心理状態の変化の中で、「なんで知らない人の世話にならないといけないんだ」という葛藤も生まれます。
利用者様本人の意に反した介護サービスを受ける不安や葛藤から介護士に反発心を抱き、「自分の思い通りに対応してほしい」とワガママを言ってしまう。
そのことが日常化し、気づけば依存状態になってしまうのです。
>>>あわせて読みたい「介護施設の利用者の「わがまま」にどう向き合う?対応方法を解説」
介護依存する利用者様の対応には、介護士も日々悪戦苦闘しています。
利用者様が介護依存になることで、介護士にどのような苦労があるのでしょうか。
ここでは、利用者様の介護依存に対する介護士の悩みを3つご紹介します。
介護依存の強い利用者様に対して、介護士の対応や意見が一人ひとり異なることが介護士最大の悩みです。
介護士Aは「利用者様の依存心が強くなってしまうから、できないことを頼まれても『それはできない』とハッキリ伝えた方が良い」と言います。
しかし、介護士Bは「利用者様は寂しいから介護士に依存していると思う。もっと話を聞いてあげたり、できることはしてあげたりするべきだ」と言います。
新人介護士は先輩介護士たちの意見を聞いて、混乱するでしょう。
介護依存する利用者様への対応には正解がないため、頭を抱えてしまいがちです。
「フロアに行きたい」と言い、数分後「部屋に行きたい」と介護士にお願いをする。
さらにその数分後には「トイレに行きたい」とナースコールを鳴らす。
1日中、日常生活動作の全てを介護士に手伝ってもらおうとする利用者様に、介護士は困惑してしまいます。
しかし、きっぱりと断ることができず、利用者様に頼まれるとついつい動いてしまい、心身に負担を感じる介護士が多くいます。
1日に同じ利用者様から何度も声をかけられ、居室からトイレ、トイレからフロア、フロアから居室と介助を繰り返していると、ほかの利用者様の介護に手が回りません。
しかし、断ると介護依存の利用者様に不快な思いをさせてしまうと思い、何も言えなくなってしまうのです。
介護現場では状況に応じて優先順位を判断して動く必要がありますが、介護に依存する利用者様がいることで優先順位の判断がしにくくなってしまいます。
>>>あわせて読みたい「介護士の声掛けとは?テクニックややってはいけないNG例を解説」
依存心が強い利用者様には、どのように対応するのが正解なのでしょうか。
ここでは、依存心が強い利用者様への対応方法を3つご紹介します。
依存心が強い利用者様の要望を聞いていると、キリがありません。
できることとできないことを明確に区別し、適宜利用者様に伝えるようにしましょう。
また、寝たきり状態になることや認知症を予防するためにも、自立支援が重要であることを利用者様に分かってもらえるまで根気強く伝え続けることも大切です。
>>>あわせて読みたい「スピーチロックとは?介護士の現場実例と言い換え表で簡単改善」
介護士Aは利用者様の要望を何でも聞き、介護士Bは毅然とした態度で「できない」と断る。
このように、職員ごとに対応の差があると、利用者様は自分の要望を何でも聞いてくれる介護士に対して集中的に声をかけるようになってしまいます。
介護士や看護師、ケアマネジャーなど、多職種連携のチームで話し合いを重ね、職員全員で同じ対応をするようにしましょう。
「寂しい」「不安」といった気持ちを抱え、他者に依存してしまうという利用者様には、安易に距離を縮めすぎてはいけません。
一度、長時間にわたって話を聞いてしまうと、「もっと聞いてほしい」と要望がエスカレートし、ほかの仕事ができなくなってしまいます。
話を聞くのは5分だけと決めて、きちんとその場を離れる理由を伝えてからほかの業務に移るようにするなど、距離感を意識した対応が大切です。
介護に依存する利用者様への対応に困った時は、介護士や看護師、ケアマネジャーなど、多職種連携でチームを組み、今後の対応について話し合う必要があります。
話を聞く方が、寂しさが紛れて依存状態がましになるのか。
はたまた、依存状態が強くなってしまうから、距離を置いた方が良いのか。
介護現場での勤務経験が豊富な上司や先輩の意見を聞きながら、依存の原因や対応方法について考えることが大切です。
また、対応に困った時は誰に相談すれば良いのか、チーム内での話し合いの中で、相談相手を見つけることも大切です。
さまざまな経験やスキルを持つ多職種が連携を図りながら、ケアや対応の方向性について話し合う機会を設けるようにしましょう。
介護に依存している利用者様への対応をずっと1人で行っていると、介護士の心身の負担につながってしまいます。
利用者様の依存心を自立心に変えるためには、適切な関わりや対応が重要です。
対応に困った時は1人で抱え込まず、積極的に周囲に相談するようにしましょう。
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