お役立ち情報
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介護施設で行う非薬物療法のひとつに、芸術療法(アートセラピー)があります。芸術療法はQOLの向上や認知症予防・改善などの効果が期待できるため、介護にも役立つ活動といえるでしょう。しかし、介護施設に芸術療法を導入するためには、どうすればよいのでしょうか。本記事では、芸術療法の方法や効果、必要な資格について解説します。
■目次
芸術療法(アートセラピー)とは、芸術活動によって五感を刺激し、脳の活性化や精神の安定を促す非薬物療法のこと。
創作活動を通して利用者様の潜在的な能力を引き出すため、認知症ケアとしての効果も期待されています。
では、芸術療法にはどのような種類があるのでしょうか。例としては、以下が挙げられます。
◆絵画療法
利用者様に絵を描いてもらうことで、言葉で表現できない心の状態を調べるもの。
絵具やクレヨン、粘土などさまざまな画材を使用し、描くテーマは状況に応じて異なる。
◆音楽療法
音楽によるリラックス効果やストレスの軽減、身体・精神機能の活性化などを促すもの。
音楽を聴く受動的音楽療法と、歌を歌ったり楽器を演奏したりする能動的音楽療法がある。
◆箱庭療法
箱庭の制作で、現実的あるいは非現実的なイメージを表現してもらうもの。
砂の入った箱の中にミニチュア玩具を置き、何かを表現したり遊んだりする。
◆詩歌療法
俳句や短歌などの詩の読み書きによって、利用者様の感情を解き放つもの。
詩を作る過程で自然や環境などへ目を向けることができ、内面の思い込みから解放される。
◆ダンス・ムーブメント療法(ダンスセラピー)
歌詞のない音楽でダンスを行い、言葉を介さない身体の動きから心に働きかけるもの。
指導者の動きを真似してもらう方法や、振付を決めず自由に表現してもらう方法がある。
◆コラージュ療法
雑誌やチラシなどの切り抜きを、1枚の紙に自由に貼り付けるもの。
切り貼りの選択に個性が現れ、個人の願望や価値観などを読み取ることができる。
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芸術療法を取り入れることで期待できる効果について解説します。
絵画・音楽・ダンスなどを用いた芸術療法は、言葉を介さない自己表現を可能とします。
そのため、会話が苦手な方とも非言語コミュニケーションという形で交流できる場合があります。
また、芸術療法が刺激となり、日常生活での感情表現が豊かになったり、利用者様同士の交流が盛んになったりする効果も期待できるでしょう。
もともと芸術が好きで、芸術療法に取り組むこと自体が生活の楽しみになる利用者様もいます。
楽しみや目標が生まれると生活の質が向上し、精神的に安定した毎日を送れるようになるでしょう。
また、自分でも気づいていなかった潜在能力や本心に気づくことで自己肯定感が育まれ、自信につながることもあります。
芸術療法は頭や身体を使う活動のため、必然的に脳や身体機能のトレーニングになります。
活動を行う際、上手くいかず不機嫌になる利用者様がいるかもしれません。
利用者様の脳はストレスを感じていますが、それもまた脳が活性化している証拠。楽しいだけの活動よりも効果が期待できるため、心配する必要はありません。
先述の通り、芸術療法では利用者様が内に秘めた感情やイメージなどを表現します。
そのため、心がすっきりしたり、解放されたような感覚を覚えることがあります。
心にたまったモヤモヤや苛立ち、思考の癖や制限などをデトックスすることで、以前よりもポジティブになったり、笑顔が増えたりする利用者様もいるでしょう。
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芸術療法はレクリエーションで行う制作活動とは趣旨が異なるため、専門家に依頼する必要があります。
作品から心理状態などを読み取るためには、知識が必要だからです。
以下では、芸術療法を行える専門家について解説します。
作業療法士が行うリハビリテーションの一環として、芸術療法を取り入れることができます。
しかし、作業療法士はあくまでもリハビリテーションを目的としたアプローチを行う専門家。
目指す目的が異なるため、作業療法士なら誰でも芸術療法を実施できるわけではありません。
芸術療法が目指す効果を最大限引き出すためには、やはり芸術療法の専門家に依頼するのがよいでしょう。
>>>あわせて読みたい「作業療法士ってどんな資格?活躍する場所や他の専門職との違い」
芸術療法を実施できる資格には、どのようなものがあるのでしょうか。
芸術療法を実施できる専門家は下記のとおりです。
これらは、海外では国家資格として認められている国もありますが、日本では認定資格となっています。
介護施設はもちろん、医療機関や学校などでも活躍できる資格です。
芸術療法は精神的な部分にアプローチする活動のため、上記のような資格を持つ方でも実施できます。
しかし、必ずしも芸術療法を行えるわけではないため、依頼する場合はしっかりとリサーチしなければなりません。
介護施設に芸術療法を取り入れる際、注意しなければいけないポイントについて解説します。
芸術療法を取り入れる際は、対象の利用者様の状態に合ったものを選ぶことが大切です。
足腰が弱っている方を対象にダンスセラピーを実施するなど、リスクがある選択は避けるようにしましょう。
また、認知症の方は異食してしまう可能性があるため、職員が目を離さない、食べてしまっても害のないものを使うなどの工夫が必要です。
芸術療法はあくまでも手段のひとつであり、上手な作品を作ることが目的ではありません。
そのため、あまり上手とはいえない作品が出来上がったとしても、心配したり、咎めたりするのはNGです。
作品のクオリティではなく、利用者様の制作中の様子や、芸術療法が終わった後の変化などに目を向けるようにしましょう。
芸術療法は利用者様の個性が現れる活動のため、当然上手い、下手が出てきてしまいます。
しかし、先述の通り芸術療法に作品のクオリティは関係ないため、利用者様同士を比べたり、上手な方だけを褒めたりしてはいけません。
また、利用者様が「上手にできない」と落ち込んでしまった場合は、前向きな声掛けを行うようにしましょう。
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今回は、介護現場で役に立つ芸術療法(アートセラピー)について解説しました。
芸術療法は、利用者様の自己肯定感を高めたり、認知症の進行を遅らせたりする効果が期待されています。
実施するためには、芸術療法士などの資格を持つ専門家に依頼するのがよいでしょう。
本記事を参考に、介護施設で芸術療法を取り入れてみてください。
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