お役立ち情報
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介護記録で使ってはいけない言葉や、言い換え方を例文付きで紹介します。介護記録とは、利用者様お一人おひとりの生活状況を細かく記録するものです。介護施設で働く方の中には、毎日言葉遣いに注意しながら介護記録を書くことを、負担に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、介護記録で使ってはいけない言葉や適切な介護記録の書き方について、例文付きでわかりやすく解説します。
■目次
介護記録とは、利用者様お一人おひとりがどのような過ごし方をされていたか、どのような体調不良や急変を起こしたのかについて細かく記入するものです。
利用者様が20名いる場合、20枚分を毎日午前・午後に分けて記載する必要があります。
また、以下のように特別な体調不良・容態急変を起こした利用者様の情報は、日誌・日報にも記載します。
介護職によっては介護記録の作成が面倒になり、特変なし(特別な変化はないという意味)の記録だけで済ませてしまっていることも。
しかし、特変なしのみの記録では、利用者様がどのような過ごし方をしていたか、容態急変につながる言動はなかったのかについて確認できません。
介護記録や日誌・日報は、誰が読んでもわかりやすい言葉で、なおかつ利用者様への侮辱と捉えられない書き方をする必要があります。
介護記録で言葉遣いに注意する理由は、主に以下の2つです。
介護記録は、ただ利用者様の日常生活の様子や日々の体調の変化について記入するものではありません。
例えば、救急搬送が必要なほどの大ケガや意識不明などの重篤な体調不良が起った場合、看護師や訪問医、生活相談員、管理栄養士などの多職種が介護記録を確認します。
介護記録の内容によって、「もしかしたらこのときから調子が良くなかったのかも」という気づきや、体調不良・ケガなどの発生要因を得られる可能性があります。
そのため、「特変なし」や「特にお変わりなく過ごされる」という記載は避け、利用者様の様子やそのときどきの発言などをしっかり記入することが大切です。
ご家族との面会時に、「最近の様子を知りたい」と希望されることが多くあります。
しかし、対応した介護職員が利用者様1人にずっと付きっきりというわけではありません。
早出や夜勤など、シフト制による交代勤務をしている施設が大半なため、介護記録を見返さないと利用者様の最近の様子がわからないのです。
それにもかかわらず、介護職員一人ひとりの言葉遣いや表現が異なっていては、ご家族や面会に対応した介護職員が困ってしまいます。
ご家族が読んでも理解できるよう、誰が見てもわかるような内容や言葉遣い、表現を心がけることが大切です。
>>>あわせて読みたい「できる介護士の介護記録の書き方とは?上手く書くコツ6選」
介護記録で使ってはいけない言葉は、利用者様を侮辱していると捉えられる言葉や表現や、ご家族が理解できないような専門用語、医師が診断していない病名などです。
さらに、介護職員の主観的な表現もNGです。
介護記録では、利用者様を尊重する言葉で、誰が読んでもわかりやすい表現・客観的な表現で記載することが求められます。
ここからは、介護記録で使ってはいけない言葉と、言い換えの例をご紹介します。
介護職員が利用者様を侮辱するような言葉遣い・表現で介護記録を作成するのはNGです。
ここでは、具体的な侮辱表現と言い換えの言葉や表現の例をご紹介します。
使ってはいけない言葉 | 言い換えの言葉・表現 |
---|---|
認知症による暴力行為あり。 | 認知症によるパニック状態と、介護職員の 右肩付近を叩く行為あり。 |
しつこく徘徊しようとする。 | 頻回にトイレに行かれたり、「家に帰る」と言ったり、落ち着かない様子。 不潔行為あり。 |
不潔行為あり。 | おむつを外されており、便がついた手で服やベッド柵を触っていた。 |
勝手に立ち上がった。 | 自発的に立ち上がり、介護職員が声をかけたところ、「トイレに行きたい」と言われたため、トイレ介助を行う。 |
介護記録は、看護師や訪問医をはじめとした多職種間で情報共有をするために欠かせないものです。
また、行政職員やご家族など介護の専門用語に馴染みのない方が見ることもあります。
ここでは、使ってはいけない専門用語と、言い換えの言葉や表現の例をご紹介します。
使ってはいけない専門言葉 | 言い換えの言葉・表現 |
---|---|
日中、傾眠あり。 | 日中、フロアで車椅子に座った状態で、うとうとされていた。 |
夕方から不穏になり、徘徊しようとする。 | 夕方から「子どもたちが家に帰ってくるから、ご飯の準備をしなきゃ」と言い、施設内を歩き回っていた。 |
嚥下・咀嚼・誤嚥 | 噛む力と飲み込む力が低下している様子で、食事中、何度もむせていた。 |
Ns | 看護師・ナース |
医師の診断がない状態で、介護職員が勝手に病名を記載してはいけません。
しかし、利用者様から腰痛や頭痛の訴えがあれば、体調不良を現す表現として記載できます。
ここでは、介護記録で使ってはいけない病名・診断名と言い換えの言葉・表現をご紹介します。
診断のない病名・診断名thead タイトル | 言い換えの言葉・表現 |
---|---|
左肩関節に内出血と腫れがあり、左肩関節亜脱臼になっている様子。 | 左肩関節に内出血と腫れがあり、翌朝10時に介護職同伴で整形外科受診予定。 |
急に歩行困難になり、立ち上がると強い痛みを訴えるため、大腿骨頸部骨折を起こしている可能性あり。 | 急に歩行困難になり、立ち上がると強い痛みを訴えるため、翌日14時に長女さんと一緒に整形外科受診予定。 |
介護記録における主観的な表現とは、介護職員が独断と偏見で判断した内容を介護記録に記載することです。
例えば、「イベントをとても楽しまれている様子」と記載しても、実際に楽しかったかどうかは利用者様ご本人に確認できていません。
「今日は久しぶりのカラオケで、たくさん歌えて楽しかったわ」と利用者様がおっしゃっていたのであれば、客観的な事実として捉えられます。
>>>あわせて読みたい「介護職が気をつけたいNGワードとは?使ってはいけない理由は?」
使ってはいけない言葉を避け、わかりやすく読みやすい文章で作成した介護記録の例を、状況別に3つご紹介します。
介護記録を作成するときはぜひ参考にしてみてください。
朝から日中まで車椅子に座ったままうとうとされており、朝食介助を行った夜勤者からは「朝食は全介助ですべて召し上がった」と報告されていた。
しかし、昼食時はテーブルに顔がつくほどうとうとされており、昼食の声かけを行ったとき、一度は目を開けてもしばらくすると再び目を閉じてしまう。
30分かけて小スプーンで小鉢を3口ほど食べたが、口の中にため込んでしまうため、食事の提供を中止し居室のベッドで休んでもらう。
その旨を、看護師に報告。寝る前に飲んでいる睡眠導入剤の処方量が多すぎる可能性があるため、訪問医に薬の処方量について看護師から相談することとなる。
13時にトイレの声かけをするが、「今は行きたくない」と拒否された。
15時のレクリエーションの時間になり、頻回に車椅子から立ち上がろうとするためトイレ誘導を行ったところ、多量の下痢便が紙おむつから漏れていた。
トイレ内で便器に座った状態で、紙おむつとパッド、ズボンの履き替えを行う。
パット交換後、1時間ほどで再び車椅子から立ち上がろうとするためトイレ誘導を行ったところ、多量の泥状便がパット内に見られた。
その旨看護師に報告し、夕食時に服用予定だった下剤を中止することになった。
夕食後のナイトケア後、すぐに入眠されていることを確認した。
しかし深夜2時近くになり、何度も居室からフロアに出てこられていた。
「どうされましたか?」と声かけを行うと、「娘がいないの」と不安な様子で話される。
本日は泊まりであることと明日帰宅予定であることを伝え、白湯100mlを提供し不安時の頓服薬を飲んでもらう。
その後、10分程度で落ち着かれたようで、「ありがとうございます。今日は寝ますね」と言いながら居室に戻って行った。
しかし、ベッドに横になっても眠れないのか「娘を返して!」「この人さらい!」など大きな声での独語あり。一睡もしていない様子で朝を迎えた。
介護記録で使ってはいけない言葉を理解するだけでは、わかりやすく読みやすい文章を作成することができません。
使ってはいけない言葉を理解したうえで、次に読む人がわかりやすい文章を書くことを意識する必要があります。
特に、以下の3点に注意して介護記録を作成してみてください。
介護記録は看護師や訪問医、管理栄養士などの多職種間で情報共有を行う際に用いられます。
また、ご家族との面会の際や行政職員が実地指導をする際に、介護記録の提示を求められる場合もあります。
そのため、介護記録で使ってはいけない言葉を理解し、適切な介護記録を作成することが重要です。
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