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東京都の介護士の給与や転職市場について解説します。東京都で介護のお仕事をお探しの方の中には「求人数が多すぎてどの求人が良いのか分からない」「何を重視して求人を探せば良いのか分からない」といったお悩みをかかえている方も多いのではないでしょうか。今回は、東京都で介護の仕事をお探しの方にぜひ知ってもらいたい、介護士の給与や転職事情などについて解説します。
■目次
はじめに、東京都の介護事情について解説します。
総人口(千人) | 65歳以上人口(千人) | 高齢化率(%) | |
---|---|---|---|
2023年(令和5年) | 14,086 | 3,205 | 22.8 |
2030年(令和12年) | 14,349 | 3,385 | 23.6 |
2040年(令和22年) | 14,507 | 3,957 | 27.3 |
参照:日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)|国立社会保障・人口問題研究所
参照:人口推計(2023年(令和5年)10月1日現在)|総務省統計局
東京都の2023年の総人口は約1,400万人です。
そのうち65歳以上の高齢者が占める割合は、22.8%となります。
そして、高齢者の割合は今後も上昇し、2040年には27.3%に達すると予測されています。
東京都では、総人口が緩やかに増加している一方で、高齢化率も着実に上昇しています。
これにより、社会保障制度や医療、福祉サービスの需要がますます高まることが予想されます。
そのため、高齢化社会に対応するための適切な対策を講じる必要があるでしょう。
必要介護職員数 | 推定介護職員数 | |
---|---|---|
2025年(令和7年) | 223,022人 | 192,073人 |
2040年(令和22年) | 263,741人 | 191,403人 |
参照:第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数(都道府県別)|厚生労働省
2025年、東京都で必要とされる介護職員数は約22万人とされているのに対し、推定される介護職員の数は約19万人であり、約3万人の不足が予想されます。
そして、高齢者の割合が今後も上昇し続けることで、2040年には、必要な介護職員数は約26万人に増加すると見込まれています。
しかし、推定される介護職員数は2025年と大きな差はなく、約19万人です。不足人数はさらに拡大し、約7万人となります。
東京都では、介護現場での人手不足が年々深刻化し、サービスの質の低下や職員の負担増加が懸念されます。
介護職員の確保や育成、労働環境の改善などが必要になるでしょう。
ここでは、厚生労働省が発表しているデータをもとに、東京都の介護士の給与事情について男女別に解説します。
男女計 | 男性 | 女性 | |
---|---|---|---|
全国平均 | 263,600円 | 282,400円 | 252,600円 |
東京都 | 291,800円 | 306,700円 | 271,900円 |
参照:令和5年賃金構造基本統計調査|政府統計の総合窓口(e-Stat)
東京都の介護士の給与は、全国平均と比較して約3万円高いです。
また、男女別でみても約2.5万円高いことから、東京都では全国的にみてもかなり高い給与が支給されていることがわかります。
この平均給与の高さは、東京都において必要な介護士人材を確保するための重要な要素の一つです。
男女計 | 男性 | 女性 | |
---|---|---|---|
全国平均 | 263,600円 | 282,400円 | 252,600円 |
東京都 | 291,800円 | 307,700円 | 279,300円 |
神奈川県 | 289,100円 | 312,200円 | 273,700円 |
千葉県 | 284,700円 | 306,700円 | 271,900円 |
埼玉県 | 279,000円 | 282,600円 | 276,900円 |
茨城県 | 286,700円 | 315,400円 | 272,200円 |
栃木県 | 274,000円 | 303,500円 | 260,100円 |
群馬県 | 260,100円 | 275,800円 | 250,900円 |
参照:令和5年賃金構造基本統計調査|政府統計の総合窓口(e-Stat)
関東地域の介護士の平均給与について比較してみましょう。
上記の表から、東京都の給与は関東地域のなかで最も高いことがわかります。
特に女性の給与が高く、男性の給与も神奈川県の平均給与をやや下回るものの、他県と比較すると高くなっています。
東京都の平均給与が高い理由として考えられるのは、以下の3点です。
しかし、給与が高いにもかかわらず、東京都では依然として介護士の不足が問題となっています。
介護士の転職市場について解説します。
全国平均 | 3.63倍 |
---|---|
東京都 | 4.91倍 |
東京都における介護士の有効求人倍率は約5倍と、全国平均よりもかなり高い結果になりました。
これは、1人に対して約5件の求人があることを示しています。
東京都における求人の過多や求職者の不足は深刻化しているため、対策を講じるとともに、介護士を確保・定着させることが重要な課題です。
関東地域の介護士の有効求人倍率データから、東京都は関東地域の他県と比較しても、介護士の需要が非常に高いことがわかります。
全国平均を大きく下回る栃木県と比較すると、1人当たりの求人数が2件も多いことから、東京都の介護士不足が深刻であることが浮き彫りになるでしょう。
一方、東京都の数値と大きな差はない埼玉県や茨城県でも、介護士の需要が非常に高いことがわかります。
これらのデータから、人口や介護施設の数が多い東京都では、その数に見合った介護士の確保ができていないことが予測できます。
今後の高齢化率上昇に向けた労働環境の改善が課題です。
男女計 | 男性 | 女性 | |
---|---|---|---|
全国平均 | 44.4歳 | 41.8歳 | 45.9歳 |
東京都 | 44.9歳 | 44.4歳 | 45.3歳 |
参照:令和5年賃金構造基本統計調査|政府統計の総合窓口(e-Stat)
東京都における介護士の平均年齢は全国平均よりやや高いです。
男性の平均年齢は全国平均と比べても特に高く、年齢を問わずに活躍できる環境を整えることが求められます。
また、全国・東京都ともに女性の平均年齢が高いことから、介護士不足を解消するためには女性が働きやすい職場環境を整える必要があるでしょう。
休暇制度や育児支援制度など、女性の労働環境について日々見直しアップデートすることが重要です。
男女計 | 男性 | 女性 | |
---|---|---|---|
全国平均 | 8.2年 | 8.2年 | 8.2年 |
東京都 | 7.6年 | 8.0年 | 7.2年 |
参照:令和5年賃金構造基本統計調査|政府統計の総合窓口(e-Stat)
東京都における介護士の勤続年数は、全国平均と比較してやや短いことが分かります。
特に女性の平均勤続年数が全国平均よりも短いことが特徴です。
これは都市部特有の労働環境や生活環境が影響している可能性があり、介護士の定着率向上が課題とされています。
そのために、福利厚生や休暇制度などを充実させることが大切です。
東京都では、介護業界の人手不足解消に向けた取り組みを行っています。
ここでは、東京都が行っている取り組みを3つご紹介します。
初任者研修等資格取得支援事業は、介護職員初任者研修や生活援助従事者研修の講座を無料で開講し、介護業務における基本的な資格の取得を支援するものです。
対象者は、都内で介護業務への就労を希望する求職者や学生(高校生以上)、主婦・主夫、元気な高齢者など幅広く、無料という点から気軽に受講することができます。
居住支援特別手当事業は、東京都の介護職員・介護支援専門員を対象に、居住支援特別手当の補助金として1万円~2万円を給付する制度です。
この制度は、介護職の給与水準が低いことや、住宅コストが高いという東京都の特性を考慮し、介護人材の確保・定着に向け支援することを目的としています。
居住支援特別手当は、所定労働時間が週20時間以上または月80時間以上であれば、雇用形態にかかわらず受け取ることができます。
参照:東京都介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当事業|東京都福祉局
離職介護人材再就職準備金貸付事業は、介護業界で再就職する際に必要な費用を貸し付ける制度です。
介護職員として、東京都内の事業所に2年間継続して従事した経歴がある場合は、転居費をはじめとした再就職に必要な費用が全額免除されます。
参照:離職介護人材再就職準備金貸付事業|東京都社会福祉協議会
今回は、東京都の介護士の給与事情や転職市場について解説しました。
年々高齢化が進む東京都では、今後も介護士の需要が高まることが予測されます。
そのため介護士の人材確保に向け、さまざまな施策に積極的に取り組んでいます。
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