高齢者が夏に寒がるのはなぜ?理由と介護士ができる対応方法とは

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介護施設を利用する高齢者が、夏なのに「寒い」と訴えることはめずらしくありません。高齢者が夏場に寒さを感じることには、どのような理由があるのでしょうか。また、介護士はどのように対応するべきでしょうか。今回は、高齢の利用者様が夏に寒がったときの理由や注意点、介護士の対応方法についてまとめました。

高齢者が夏に寒がる理由とは?

夏の介護施設で、高齢の利用者様に「寒い」と訴えられることは少なくありません。

高齢になると、さまざまな原因から夏でも寒さを感じることがあります。

高齢者が夏に寒がるのには、どのような理由があるのでしょうか。

体温調節機能の低下

加齢により臓器の機能が低下すると、同時に体温調整機能も低下していきます。

体温調整機能が低下すると、暑さや寒さを感じにくくなってしまうのです。

そのため夏であっても「寒い」と感じるようになることがあります。

筋肉量や基礎代謝の低下

運動量が低下すると筋肉量が減少します。

すると基礎代謝も徐々に低下し、体温が低くなるのです。

そのため体が冷えを感じ、夏でも「寒い」と感じるようになります。

また基礎代謝が低下することでうまく汗をかけず、体温を調整しづらくなることも一因であると考えられます。

食欲の低下

加齢により咀嚼や嚥下機能、消化機能が低下すると、食欲が落ち食べる量も減ってしまいます。

すると一度の食事で摂取できるカロリー量が減少し、体内でエネルギーを十分につくり出せなくなるのです。

それにより体温が下がり、夏でも寒さを感じる原因につながります。

また食欲の低下による低栄養状態も寒さの原因となるため、注意が必要です。

精神的な不安

精神的な不安があると自律神経のバランスが乱れ、体調不良を引き起こすことにつながります。

交感神経と副交感神経の交換がうまく働かないと、寒さを感じてしまうことも。

そのため、高齢の利用者様が夏に寒さを訴えたときは、メンタル面でのケアも視野に入れる必要があるでしょう。

認知症の周辺症状

認知症のさまざまな周辺症状により、夏に寒さを感じることもあります。

レビー小体型認知症の場合、自律神経のバランスをうまく取れずに先述のように寒さを感じることも。

アルツハイマー型認知症の場合は、見当識障害や判断力の低下により暑さと寒さの判断を正しくできなくなることがあります。

そのため夏でも着込んでしまったり、自分の服装が周りと合っていないことに気付かなくなってしまうことも、寒さを感じる一因として挙げられるでしょう。

空調が効きすぎている

利用者様の健康的な問題ではなく、施設内の空調が効きすぎていることも原因として考えられます。

空調の設定に問題はないか、今一度確認してみましょう。

室温は28度以下、湿度は50〜60%程度が理想とされています。

室温・湿度を視認できるよう工夫することで、常に快適な環境をつくることにつながるでしょう。

高齢者が夏に寒がったときの注意点

高齢の利用者様が夏に「寒い」と訴えられたとき、どのような点に注意するべきでしょうか。

3つの注意点について解説します。

熱中症に注意

加齢により体温調整機能が低下すると、「実際は暑いのにそこまで暑く感じない」という状態になることがあります。

「暑くないから」「寒いから」と必要以上に着込んだり、空調を切ってしまうと、実際の暑さに体が適応できずのぼせたり熱中症を引き起こしてしまうことも。

利用者様が実際の気温に対して正しい過ごし方ができるよう、注意して観察しましょう。

>>>あわせて読みたい「介護現場でできる熱中症対策とは?主な症状や熱中症対処方法まで」

脱水症に注意

寒さを感じていると、喉が渇かない・暑くないといった理由で水分補給が疎かになってしまうことも。

夏場は普段から利用者様の水分摂取量を気にかけることが大切ですが、寒さを訴える方の場合は特に気を付けましょう。

お茶やジュース、ゼリーなど、利用者様が摂取しやすい方法で促すこともポイントです。

>>>あわせて読みたい「高齢者が気を付けたい脱水症とは?症状や介護現場でやるべき対策」

本人のプライドを傷つけないよう注意

利用者様が実際は暑いのに着込んでいたり、あまり水分を摂取していない姿を見ると、介護士としては無理にでも対応したくなるところでしょう。

しかし、無理やりな対応で本人のプライドを傷つけないように注意が必要です。

「脱水症が心配なので、水分補給しませんか?」のように、あくまで相手の健康を気にかけていることを伝えて対応しましょう。

高齢者が夏に寒がったときの対応方法

高齢の利用者様が夏に寒さを訴える場合、介護施設としてどのような対応をするべきでしょうか。

以下では、介護士ができる適切な対応方法について解説します。

気温を常に確認できるように工夫する

施設の職員はもちろんですが、利用者様も気温が常に確認できるよう工夫することがポイントです。

暑さを数値として可視化することで、「あまり着込むべきではない」「水を飲むべきだ」と利用者様自身で気付くきっかけにもなります。

壁に「真夏日」「猛暑日」のイラストを掲示するなど、分かりやすく表示できるとなおいいでしょう。

こまめな水分補給

利用者様が寒さを感じていても、人間の体内からはどんどんと水分が放出されていきます。

脱水症を予防するために、こまめな水分補給を行いましょう。

寒さを訴える場合は、「暖かいお茶や紅茶などで休憩しませんか?」とひと声かけてみましょう。

エアコンはなるべく消さない

利用者様が寒がっているからといって、エアコンを消すことはなるべく控えましょう。

東京消防庁によると、熱中症の約4割は室内で発生しており、全体のなかで最も多い割合を占めていると報告されています。

つまり、熱中症はエアコン未使用の室内で発生するケースが非常に多いのです。

エアコンはなるべく消さず、温度設定を少し上げる、風向きや風量を変えるなど工夫をしましょう。

参照:東京消防庁|熱中症による救急搬送状況の概要

まとめ

加齢により体内のさまざまな機能が低下した高齢者は、夏場でも寒さを感じることがあります。

それにより必要以上に厚着をしたり、水分補給を怠ることも。

介護施設では、寒さを訴える利用者様により注意して観察する必要があります。

本記事を参考に、適切な対応を行いましょう。

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