介護士が行う報連相とは?目的や具体例、上手く伝えるコツを解説

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介護現場では、利用者の情報共有を行う上で介護士同士の「報連相」が欠かせません。しかしながら、介護の仕事に慣れていない新人介護士は「報連相って、具体的に何を誰にどう伝えればいいの?」という悩みを抱えがちです。本記事では、介護士が情報を的確に伝えるための報連相のコツについて解説します。

介護現場で行われる「報連相」とは?

「報連相」とは「報告」「連絡」「相談」の略称で、介護業界以外の別職種でも必要とされている社会人の基本マナーです。

では、介護業界の報連相では、具体的にどのような内容を伝達するのでしょうか。

ここでは、介護現場で行われる「報告」「連絡」「相談」の具体例をご紹介します。

報告

報告とは、完了した仕事を相手に伝えることです。

【具体例】
今日主治医の往診があり、利用者Aさんの眠前薬が変更になりました。今まで飲んでいた抗不安剤は効き目がなかったため、睡眠導入剤に変更となっており、今までの薬と一緒に一包化されています。全職員に伝達するために、介護記録と日誌に記載しておきました。

連絡

連絡とは、今後の仕事の内容や流れを相手に伝えることです。

【具体例】
今日主治医の往診があり、利用者Aさんの眠前薬が抗不安剤から睡眠導入剤に変更となりました。Aさんの睡眠状況や寝つきに変化があるかもしれないので、夜勤者はAさんの様子をしっかり記録してください。

相談

相談とは、過去の課題や未来への対応を相手に考えてもらうことです。

【具体例】
Aさんの眠前薬が抗不安剤から睡眠導入剤に変更されてから、Aさんが朝7時の朝食時に起きられないことが今朝まで5日間続いています。日中もウトウトしており、2日ほど昼食を抜いています。このまま食事量が減り続けると体重も減ってしまうため、睡眠導入剤の調整について主治医に相談しようと思うのですが、いかがでしょうか。

「報告・連絡・相談」それぞれの定義と目的の違い

介護現場で行われる報連相の具体例を前述しましたが、「報告」「連絡」「相談」はそれぞれ行う意味や目的、タイミングが異なります。

そもそも、「報告」「連絡」「相談」は、どのような目的で行われるのでしょうか。

それぞれの目的は以下の通りです。

 目的
報告 ・報告を受ける人が報告内容を聞き、次に行うべき行動を判断するため
・上司が報告内容を聞き、部下の仕事の進捗状況を把握するため
・過去から現在の段階で完了したことをチーム内で共有するため
連絡 ・連絡を受ける人が連絡内容を聞き、内容の通りに行動するため
・部下が上司から連絡内容を聞き、その通りの業務を行うため
・未来で継続するべきことをチーム内で共有するため
相談 ・相談を受ける人が、相談をした人に対して助言を行うため
・上司が部下の相談内容を聞き、適切な助言やサポートを行うため
・過去の状況と未来で行うべきことをチーム内で共有するため

「報告」「連絡」「相談」はそれぞれ行う目的があり、その場その場の状況に合わせて使い分けることが大切です。

相談しなければならない場面で相談せず、全て終わってから報告をするといった、誤った対応をしてしまうと、重大なトラブルにつながってしまいます。 

「うまく伝わらない報連相」の具体例

介護現場ではこまめな報連相を行い、利用者の情報を共有するのが基本マナーですが、言葉遣いや受け手の捉え方により、うまく伝わらないということが起こります。

介護士同士で報連相がうまく伝わっていない状況の具体例は、以下の通りです。

日勤スタッフの昼休憩中に、早出スタッフが利用者Aさんをトイレに誘導しようとした。
しかし、Aさんの居室・共用フロア・廊下にAさんの姿がなく、早出スタッフがAさんを探したところ、Aさんは利用者Bさんの部屋の布団(床は畳)で寝ていた。
Bさんは車椅子で自走しており、居室に不在。

早出スタッフは休憩を終えた日勤スタッフに対し、この一連の出来事を「AさんがBさんの居室の布団で寝ていました」と報告した。
それを聞いた日勤スタッフは、何の疑問も持たずにそのまま午後の業務に入った。

Aさんは共用フロアの椅子に座っており、そこから一歩も移動することがないままおやつと夕飯を全部食べた。
しかし、夕食後、日勤スタッフがAさんを居室に誘導しようとしたところ、Aさんはふらつきがあり、椅子から立ち上がることができなかった。
日勤スタッフがAさんに「どうしましたか?」と尋ねたものの、Aさんは重度認知症のため、返事がない。
翌日、主治医の往診により、Aさんは左大腿骨頸部を骨折していたことが判明。

担当した日勤スタッフは「早出スタッフから『AさんがBさんの居室の布団で寝ていました』と聞きましたが、転倒していたという情報は聞いていません」と主張。
担当した早出スタッフは「Aさんは布団で寝ていただけに見えました。それに、声かけをしたらフロアまで問題なく歩行できました」と主張。

しかし、AさんがBさんの居室の布団で寝ていたこと以外に、Aさんが骨折をしたと考えられる行動はない。
いずれにしても、早出スタッフの伝達ミスにより、Aさんの骨折に気づくのが翌日になってしまったことが問題として挙げられる。

上記の報連相がうまく伝わっていない原因として、以下の点が挙げられます。

本来、早出スタッフは「AさんがBさんの居室の布団で寝ていました。転倒した可能性があるため、Aさんの歩行の様子をしっかり記録してください」と連絡しなければならないところ、「AさんがBさんの居室の布団で寝ていました」と報告してしまっている

 日勤スタッフは「AさんがBさんの居室の布団で寝ていた」と文字通りに捉えてしまい、「なぜAさんがBさんの居室の布団で寝ていたのか」という疑問をスルーしてしまった

 その場の状況だけ伝わっているが、肝心な配慮事項や注意点が伝わっていない

介護士同士で報連相がうまく伝わらない理由

介護士同士で報連相がうまく伝わらないのには、言葉遣いや伝え方が適切でないということが考えられます。

ここでは、報連相がうまく伝わらない3つの理由をご紹介します。

伝え方が曖昧または中途半端

忙しい介護現場では報連相の手間を省くため、言葉を省略しがちです。

「Aさんが3日も便が出ていないって。後よろしくね」と伝えても、相手には「便が出ていないから、何をするべきなのか」が全く伝わりません。

「便が出ないときは温タオルをお腹に置くでしょ?」
「いや、看護師に相談して下剤の量を調整してもらうでしょ?」
という風に、それぞれが考えている対応が違う場合もあります。

曖昧または中途半端な伝え方は避け、具体的にしてほしい行動を伝えましょう。

早口で一方的に伝えてしまう

担当する業務量が多く、忙しいからと、早口で相手の反応も見ずに一方的に伝えてしまう介護士も少なくありません。

相手が聞き返す間も与えず、「以上です」と報連相を終わらせてしまい、後からとんでもない勘違いや伝達ミスが発覚する場合があります。

要点をまとめずダラダラと話す

話の要点をまとめるのが苦手で、「ですから~」「~で」「~なので」という接続詞を使い、長々と話してしまう介護士もいます。

変に中途半端だったり端的だったりするより伝わりやすいのではと思いがちですが、長すぎると受け手にはほとんど印象に残りません。

要点をまとめ、長すぎず短すぎない、適度な情報量を心がけましょう。

介護士がスムーズに報連相を行うためのポイント

介護士が利用者の情報を共有するのに報連相が欠かせませんが、間違った伝え方をしてしまうと誤解や勘違いが生じてしまいます。

ここでは、介護士がスムーズに報連相を行うための3つのポイントをご紹介します。

報連相は「早め」に行う

「利用者の薬が変更または追加になった」
「利用者が転倒して内出血ができたため、経過観察が必要」

こういった伝達事項が生じた場合は、なるべく早く、伝えるべき相手に伝えましょう。

また、始業時間ギリギリに手短に伝えてしまうと、焦る気持ちが勝って頭に入らないため、

時間に余裕を持って行うことが大切です。

こまめに「中間報告」を行う

例えば「利用者の補聴器が紛失した」というトラブルが生じた場合、補聴器がなくなったことをご家族に伝えても、見つかるまでの連絡を省いてしまいがちです。

しかし、連絡を受けたご家族は「あれから1週間経つけど、補聴器は見つかったのか」とずっと気になってしまいます。

紛失物が見つかってから連絡するのではなく、中間報告をしっかり行いましょう。

「結果報告」を忘れずに行う

例えば「利用者の補聴器がなくなった!」と焦っているときは、他の介護士や介護主任、看護師、ご家族などに一斉に報告しがちです。

しかし、見つかってホッとすると一斉に報告した人たちへの結果報告が抜けてしまいます。

「物がなくなった」という報告だけでなく、「見つかった」という結果報告も忘れずに行いましょう。

まとめ

「報連相が大切」というのは、介護業界以外の業界・業種にも共通していえることですが、特に介護業界では報連相が重要視されています。

介護士同士の報連相を密にすることで、質の高い介護サービスを一貫して提供できます。

こまめな報連相により、介護サービスの質向上や業務の効率化が実現できるでしょう。

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