お役立ち情報
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訪問介護事業所の悩み事のひとつ、クレーム対応について解説します。近年、住み慣れた自宅で過ごしたいと希望する要介護高齢者が増加しています。近年の介護ニーズに合わせて需要が高まっているのが、訪問介護。その一方で、訪問介護事業所やヘルパーの対応についてのクレームが相次いでいるという現状があります。本記事では、訪問介護へのクレームの事例とクレーム対応の方法についてまとめました。
■目次
介護が必要な高齢者が入居する介護施設や、訪問介護士(以下、ヘルパーと称す)が利用者宅を訪問する訪問介護事業所など。
近年では、高齢化による要介護高齢者の増加により、さまざまなサービス形態の介護施設・介護事業所が整備されています。
その一方で、利用者様やそのご家族が介護施設・介護事業所に対し、クレームや苦情を訴える件数が増加しています。
そもそも、「クレーム」と「苦情」には、どのような違いがあるのでしょうか。
クレームと苦情の違いは、以下の通りです。
特徴・具体例 | |
---|---|
クレーム | 特徴 :購入した商品や依頼したサービスが 期待を下回っていたとき、返金や賠償金を求める 具体例:「商品が購入後すぐに壊れたから、返金してほしい」 「事前に聞いていたサービス内容と実際のサービス内容が 違うから、解約とサービス料金の返金を希望する」 |
苦情 |
特徴 :担当者の対応や態度」が期待を下回っていたとき、 |
クレームと苦情、いずれも商品の質や担当者の対応など、サービス提供に対して顧客側が不満を感じている点が共通しています。
クレームや苦情を受けた側は、顧客の不満を理解した上で、適切な対応をすることが求められます。
数ある介護サービスの中でも、利用者宅へ直接訪問し、介護サービスを提供する訪問介護のクレーム件数は多い傾向にあります。
東京都国民健康保険団体連合会が公表した「苦情の受付状況」の資料によると、平成28年度の介護サービスに対する東京都の苦情件数は、以下の通りです。
苦情件数 | サービス形態 |
---|---|
101件 | 訪問介護事業所 (居宅介護支援・介護予防支援・介護予防ケアマネジメントなど) |
77件 | 高齢者介護施設 (介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設など) |
苦情内容の内訳として最も多いのが、「介護サービスの質」に関する苦情です。
次いで、「管理者等の対応」と「ヘルパーの説明・情報の不足」に関する苦情が多く、訪問介護事業所では、サービスやヘルパー・管理職の質が問われています。
参照:東京都国民健康保険団体連合会|東京都全体における苦情の状況について
実際、訪問介護事業所には、利用者様やそのご家族からどのようなクレームが寄せられるのでしょうか。
ここでは、訪問介護でよくあるクレームの事例を3つご紹介します。
■ ヘルパーの訪問後、洗剤や調味料、トイレットペーパーなどの日用品がなくなっている
■ ヘルパーが掃除をした後、陶器の置物が割れていたため、ヘルパーに確認したら「私は落としたり、割ったりなどしていません」と言われた
■ ヘルパーの訪問後、タンス貯金の現金やキャッシュカード、宝石などの金目の物がなくなっていた
このように、「お金や物がなくなった」「物を壊された」などのクレーム・苦情を訪問介護事業所に訴える利用者様やご家族がいます。
しかし認知症の利用者様が「ヘルパーに物を盗まれた」と、物盗られ妄想で発言している可能性もあるため、事実確認が難しいことも実情です。
■ ヘルパーが駐車禁止の路上に訪問車両を駐車する
■ ヘルパーが指定のゴミ出し日以外に、地域のゴミステーションにごみを捨てる
訪問介護事業所に寄せられるクレーム・苦情は、利用者様やご家族からだけではありません。
近隣住民や自治体、警察などから、訪問車両の違法駐車や自治体ルールの違反を指摘されるケースもあります。
ヘルパーの非常識な訪問態度は、近隣住民や地域に迷惑をかけることになるのです。
■ ヘルパーから他の利用者様の愚痴を聞かされて不快な思いをいた
■ ヘルパーが訪問時間に無断で遅刻する、もしくは訪問時間外に勝手に訪問する
■ 1時間の滞在訪問であるところ、40分で切り上げて帰ってしまった
■ ヘルパーが洗った食器の汚れがまったく落ちていない
■ 残飯やおむつなどの臭いがするゴミを部屋に放置したまま帰ってしまった
■ 「掃除や洗濯で忙しいから」と利用者様が声をかけても無視をする
このように、ヘルパーの質やサービスの質の低さから利用者様やご家族の信頼を失い、クレーム・苦情に発展するケースは少なくありません。
利用者宅への訪問を行うため、今一度、ヘルパーの接遇マナーや態度、身だしなみなどを改善する機会を設けることが大切です。
利用者様やご家族からクレームを受けたとき、訪問介護事業所はどのような対応を行えばいいのでしょうか。
ここでは、訪問介護事業所がクレームを受けたときの責任者の対応をご紹介します。
まずは、訪問介護サービスのクレームを訴える利用者様やご家族の話をじっくり傾聴します。
利用者様やご家族に不満や怒りを吐き出してもらうと共に、利用者様やご家族が何に不満を感じているのか、事業所にどのような対応を求めているのかを把握します。
また、利用者様やご家族の話を一通り聞いた後は、謝罪を行い、具体的にどのような対応・改善を行うのかについて、しっかり伝えることが大切です。
「金銭がなくなった」「物が壊された」などの苦情を受けた際は、なくなった金銭の額や、壊れた物をどこに置いていたのかを確認します。
また、その日訪問したヘルパーに事実確認することも重要です。
事業所やヘルパーに非があることが確認できた場合、必要に応じて警察や弁護士へ相談し、弁償やヘルパーの懲戒処分などの対応を行うことが求められます。
事業所が行った事実確認や調査の結果、刑罰の対象にはならないものの、ヘルパーの悪質な対応が確認できた場合、対応策や再発防止策を提示する必要があります。
これは、今後同じことを繰り返さないためや、利用者様・ご家族の信頼を取り戻すために欠かすことができない最低限の対応です。
具体的に、どのような対応や改善を行い、今回クレームとして上がった問題の再発防止に取り組むのか、利用者様やご家族に口頭と書面で提示・説明するようにしましょう。
利用者様やご家族からクレームを受けた責任者は、どのような姿勢や接遇マナーに気を付けてクレーム対応を行うべきなのでしょうか。
ここでは、クレーム対応を行う際の基本姿勢・基本マナーを3つご紹介します。
利用者様やご家族からクレームを受けたときに、責任者がとりがちなのは、「とにかく謝る」という行動です。
しかし、利用者様やご家族がクレームを全て話し終えていないのに謝るのはNG。
クレーム対応では、利用者様やご家族の不満・怒りが収まるまで、話を途中で止めたり割り込んだりしてはいけません。
適度に相槌を打ちながら、相手の話や訴えに耳を傾けることが大切です。
利用者様やご家族からクレームを受けると、慌ててしまい、とにかく謝ることや、対応策・改善策を早々に提示することをしてしまいがちです。
しかし、その場しのぎで謝って解決に導こうとする、いわゆる「事なかれ主義」な対応は、利用者様やご家族の怒りをさらに大きくしてしまいます。
「すぐに不満のお気持ちに気づけず、大変申し訳ございません」
「介護サービスの品質向上のきっかけを与えてくださり、ありがとうございます」
こういった謝罪と感謝の言葉を伝え、誠意を示すことが大切です。
利用者様やご家族が不満や怒りを一通り話し終えたら、どのような改善・対応を求めているのか、相手の要望や意見を確認しましょう。
あまりにも理不尽な要望や意見は、丁重に対応できない理由を伝えるべきですが、事業所側ができると判断した対応においては、積極的に行います。
相手をクレーマー扱いせず、丁重に要望や意見を尊重することで、相手の怒りを静めることにつながります。
訪問介護サービスは施設サービスとは異なり、利用者様の自宅に訪問し、利用者様の私物に触れる機会が多い介護サービスです。
そのため、ヘルパーや介護サービスの質が重要視されます。
クレームを受けやすい訪問介護の現場では、クレーム対応をマニュアル化し、一貫した対応を行うことが大切です。
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