介護現場の食事介助で役立つ!片麻痺の方の食事介助方法・コツ

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片麻痺とは、脳卒中や脳梗塞などの脳血管障害の後遺症で生じる身体の麻痺のことです。左右どちらかの手足や体幹に麻痺があり、「食事が上手く口に運べない」「食事をしていると姿勢が崩れて身体が傾いてしまう」といった困難が生じます。本記事では、片麻痺の方の症状にあった介護施設での食事介助の方法やコツについてご紹介します。

片麻痺とはどんな状態?

片麻痺とは、脳梗塞や脳卒中などの脳血管障害による後遺症で、身体の左右どちらかの上下肢に麻痺が生じている状態をいいます。

片麻痺では、手足が麻痺して日常生活動作に支障が出るだけではありません。
麻痺側の口腔内の感覚がないため、麻痺側に食べ物や汚れが溜まって虫歯になったり、上手く飲み込めずにむせたりしてしまいます。

また、片麻痺の状態には個人差があり、重度の場合は食事中に姿勢が崩れてしまい、自分で食べ物を口に運ぶことも難しいという状態の方も。

そのため片麻痺の方の食事介助は、十分な配慮が必要です。

できる限りご自身で食べてもらうための姿勢調整や自助食器の使用、患側に配慮した食事介助など、適切なサポートを行うことが求められます。

【片麻痺の方の食事介助方法】椅子・車椅子の場合

片麻痺の方の食事介助を行う際は、できる限りベッドからの離床を促し、椅子や車椅子に座って食事を摂ってもらうようにしましょう。

寝る場所と食べる場所を区別することを寝食分離といいます。

重度の片麻痺で座位保持が困難な方はベッド上で食事介助を行いますが、可能であれば椅子や車椅子に座った状態で食べてもらうことが食事介助の基本です。

ここでは、片麻痺の方の椅子と車椅子、それぞれの食事介助の方法をご紹介します。

片麻痺の方が椅子で食事をする場合の介助方法

軽度片麻痺で杖歩行ができる方の場合、自身で居室からフロアまで歩行してもらい、フロアにある椅子に座って食事を摂ってもらいます。

椅子に座って食事をする片麻痺の方の食事介助の手順は以下の通りです。

食事中、身体が麻痺側に傾かないよう、背中と椅子の背もたれの間にクッションを挟み、体感を固定する。

利用者の足底が床についているか確認し、足底が床についていない場合は足台を置く。

介助者は利用者の健側に座り、自力摂取するよう声かけと見守りを行う。

姿勢の傾きや背部へののけぞりがあれば都度姿勢を整え、嚥下がしやすいよう、利用者の顎を少し引いた状態にする。

利用者の顔色や嚥下状態などを確認しながら、見守りや一部介助を行う。

片麻痺の方が車椅子で食事をする場合の介助方法

中~重度の片麻痺があり、車椅子を使用している方の場合、車椅子に座った状態で食事を摂ってもらいます。

車椅子に座って食事をする片麻痺の方の食事介助の手順は、椅子に座って食事をする片麻痺の方の手順とほぼ同じです。

車椅子に座った状態で食事介助を行う際の配慮事項は、以下の通りです。

車椅子が身体のサイズや形状にフィットしているかを確認する。もしフィットしていないようであれば、座面シートや背面シートの張り調整を行い、必要に応じて車椅子自体の変更も検討する。

 姿勢が崩れて前すべりになっていないかを確認し、深く腰掛けてもらう。

 クッションや丸めたタオルを使用し、体と車椅子の隙間を埋める

 足を車椅子のフットレストからおろし、足底を床につける。もし足底が床につかない場合は足台を置く。

【片麻痺の方の食事介助方法】ベッド上の場合

重度の片麻痺があり、座位保持が困難な方の場合はベッド上で食事を摂ってもらいます。

椅子や車椅子に座った状態で食事を摂ってもらうことが基本ですが、健康状態やベッド上での座位の保持が困難な場合にのみ、ベッド上での食事介助を行います。

ベッド上で食事介助を行う際の手順は、以下の通りです。

利用者が咀嚼・嚥下がしやすくなるよう、健側を下にした側臥位にする。

側臥位の姿勢が崩れないよう、クッションで背中と頭の下を支え、膝の隙間にクッションを挟む

利用者がスムーズに咀嚼・嚥下できるよう、健側の口に食べ物を運ぶ

利用者がしっかり口を閉じてからスプーンを引き抜き、「ごくん」という嚥下音を確認する。

適宜、麻痺側に食物残渣(食べ物の残りカス)がないか確認しながら、利用者のペースに合わせて次の食事を運ぶ。

片麻痺の方の食事介助を安全に行うポイント

片麻痺の方に食事を楽しんでもらうためには、介助者が安全かつ円滑な食事介助を行うことが重要です。

ここでは、片麻痺の方の食事介助を安全に行うためのポイントを3つご紹介します。

食事介助をする環境を整える

片麻痺の方は杖や手すり、車椅子を使って食事をするフロアに移動します。

そのため、移動しやすい十分なスペースを確保することはもちろん、手すりに洗濯物をかけたり、転倒したときに頭をぶつけやすいものを周囲に置くことは避けましょう。

食事介助を行うフロアは利用者が食事を楽しめるよう、清潔にしておき、季節感のある花や絵などを飾るなどの工夫が必要です。

基礎的な食事介助の手順を守る

片麻痺の方に限らず、食事介助には以下のような基礎的な手順があります。

食事を始める前にお茶や汁物で喉を潤す

ひと口の量は「スプーン3分の2程度」または「ティースプーン1杯程度」を目安とし、一度に多い量を口に運ばない。

ひと口ごとに「口の中に食べ物が残っていないか」「しっかり飲み込めたか」を確認してから次の食事を口に運ぶ。

食後は口腔ケアを行う

片麻痺の方は麻痺側の口腔内に食物残渣(食べ物の残りカス)が残りやすく、放置することで虫歯や歯周病などの口腔トラブルが起こります。

また、口腔内に溜まった食物残渣や細菌が気管や肺に入ることで、肺炎を起こします。

そのため、片麻痺の方の食事介助を行った後は、必ず口腔ケアをしましょう。

片麻痺の方の食事介助の注意点

片麻痺の方の食事介助では、ただ単に手順通りに介助をするだけでなく、注意点を理解して利用者の観察を行いながら介助することが重要です。

ここでは、片麻痺の方の食事介助の注意点を3つご紹介します。 

食事中の姿勢を適宜確認する

片麻痺がある方に限らず、重度身体障害の方や寝たきり状態の方は椅子や車椅子に座ると頭部が後ろにのけ反ったり、身体が左右どちらかに倒れたりすることがあります。

そのような姿勢で食事介助を行うと、誤嚥や窒息を起こしてしまいます。

食事介助では、介助前や介助中に適宜姿勢を確認することが重要です。

特に、以下の点には細心の注意を払いましょう。

  • 身体が前後左右に傾いていないか
  • 顎が上がり、食べ物が気管に入りやすい状態になっていないか
  • テーブルの高さや椅子・車椅子のサイズが利用者本人の身体に合っているか

顔色・呼吸状態を適宜確認する

片麻痺の方は麻痺側の身体や口腔内の感覚がないため、食べ物がしっかりと咀嚼・嚥下しにくい傾向にあります。

そのため、自力摂取をしている方でも、介助者が少し目を離した間に食べ物が気管に入り、激しいむせ込みや窒息を起こす可能性があります。

特に、以下の点には細心の注意を払いましょう。

  • 顔色や呼吸状態の変化なく、しっかりと咀嚼・嚥下ができているか
  • ひと口で食べる量が多すぎないか(目安はスプーンの3分の2程度)
  • 口の中に食べ物をため込まず、しっかり飲み込めているか

適切な声かけを行う

片麻痺の方に限らず、食事介助では利用者が口を開けてくれない場合があります。

食事を拒否する利用者に対して、無理やり口の中に食べ物を入れることはNGです。

また、「口を開けてください」という声かけは、利用者に「自分の意思に反した指示をされている」という不快感を与えます。

食事を楽しむためにも過度な声かけは避け、利用者の意思を尊重することが大切です。

片麻痺の方が食事を拒否する場合、以下の方法を試してみてください。

  • 利用者が食べたいものや好きな食べ物を積極的に勧めてみる
  • 自身でスプーンを持ってもらったり、手づかみで食べてもらうようにする
  • 料理の味や香り、食事の環境などを再確認し、改善する

まとめ

片麻痺の方の食事介助は、麻痺側に配慮しながら食べ物を口に運ぶだけではありません。

食事介助を行う前の環境整備や、食事が摂りやすい姿勢へのポジショニングなどの準備を行い、介助中も適切な声かけ・見守りを行う必要があります。

適切な姿勢・声かけで片麻痺の方が楽しい食事の時間を過ごせるようにしましょう。

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