嚥下食は姿勢と観察が命!介護職が押さえるべき介助ポイント

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介護現場では当たり前に目にする嚥下食。安全面にも配慮された食事形態ではありますが、介助方法を誤ると危険なことも。介護職の方が正しい介助方法を知り、ちょっとした工夫を取り入れることで、食事の時間がより楽しくなります。今回は、嚥下食を介助する際のポイントと注意点、さらに楽しい食事にするためのコツを紹介します。

嚥下食とは

嚥下食とは、噛む力・飲み込む力などの嚥下機能が低下した場合に、その人ごとに合わせた食事形態に変えて提供するものです。

では、嚥下食とはどのような嚥下機能の人に適しているのか。

また、どのような形態のものを嚥下食と呼ぶのかを見てみましょう。

嚥下食を必要とする人

嚥下食は、嚥下障がいのある方に提供する食事形態です。

嚥下障がいは、口の中で十分に咀嚼ができなかったり、飲み込んで胃に送り込む過程で問題があるような状態です。

例えば、咀嚼が十分にできない人に固い食べ物を食べさせてしまうと、窒息したり誤嚥性肺炎になるリスクがあります。
また、適切な食事形態にすることで、経口摂取(口から食事を摂ること)の継続ができ、食事を楽しむこともできるでしょう。

さらに、段階的に食事形態をレベルアップすることで、リハビリが可能なケースもあります。

そのため、一人ひとりの嚥下機能を分析し、その人に合った食事形態で提供する必要があります。

嚥下食とはどのようなものか

嚥下食は、食べる人一人ひとりの嚥下機能に合わせ、食事形態を変えて提供するものです。

嚥下障がいの程度に合わせ、柔らかめの食事や、ゼリー状・ミキサーでペースト状にしたりと内容はさまざま。

また、嚥下障がいの方にとって水分はむせやすく、誤嚥性肺炎のリスクがあります。
そのため、水分や汁気の多い食事であればとろみをつけてスムーズに飲み込みやすくします。

嚥下機能によって最適な食事の固さ・とろみは異なりますので、日々の観察が欠かせません。

介助する中で些細な変化があればチームで相談し、食事形態が最適なものになっているかを確認しましょう。

嚥下食を介助する際のポイント3つ

嚥下食を介助する際のポイント3つを紹介します。

簡単な内容ながらどれも重要なことのため、介護職として押さえておきましょう。

一口ごとの量

食事の際の「一口サイズ」は、利用者様ごとに異なります。

特に、一口が多すぎる場合、むせやすくなってしまうため要注意です。

利用者様に声をかけながら、食べづらそうにしていないか、口から溢れてこないかなど確認しながら介助しましょう。

また、スプーンの大きさも食べやすさに大きく影響します。

最適なサイズのものになっているか、チェックしてみましょう。

飲み込んだか確認

利用者様が咀嚼して飲み込んだものが、のど元を通る様子を観察します。

のどぼとけ付近が動き、咀嚼をしなくなったことを確認してから、次の一口を介助しましょう。

まだ食事が口の中に入っている状態で、矢継ぎ早に介助されると利用者様は焦ります。

落ち着いて食事ができないと、むせる原因になったり、食事が辛くなってしまうことも。

利用者様のペースに合わせた介助を心がけましょう。

観察・アセスメント

目の前で食事している利用者様の様子を、しっかりと観察しましょう。

  • いつもと変わりはないか
  • 普段よりむせやすくなっていないか
  • どのような表情で食べているか

異変があればすぐに周りの職員に相談します。

実は、食事形態のレベルを落としすぎて食べづらいケースもあります。
考えられる理由は以下の2つ。

  • アセスメントが正確ではなかった
  • 利用者様の機能が回復した

このような場合、看護師・管理栄養士などを含めたチームで相談し、食事形態のレベルアップを検討する必要があります。

利用者様にとって安全・楽しい食事ができるよう、日々の観察は怠らないようにしましょう。

些細な変化を見逃さないことが、介護職に求められるスキルです。

嚥下食の介助で注意するポイント2つ

嚥下機能の低下している利用者様は、食事をきっかけに誤嚥性肺炎になったり、食に対するマイナスイメージがついたりすることがあります。

本来、楽しい時間になるはずの食事が苦痛な日課とならないよう、注意点を押さえておきましょう。

食事中の姿勢

嚥下食の介助・見守りをする際は、利用者様の姿勢に注意しましょう。

不適切な姿勢で食事を摂ることは、食べづらいだけでなく、むせやすいため誤嚥のリスクが高まります。

食事シーンに合わせて、各利用者様に適した環境が整えられているか、確認しましょう。

姿勢①椅子・車椅子で食べる場合

テーブルと椅子の高さが利用者様に合っているか、必ず確認しましょう。

腕が自然な高さでテーブルに置けるか、足はかかとが床にしっかり届いているか確認します。

特に姿勢が後傾になっている場合、むせやすいため要注意です。
上体を起こしてもらい、食事が摂りやすい姿勢に整えましょう。

車椅子の場合は、リクライニングの角度を起こすことで、お尻の位置がズレて気持ち悪いことがあるため、声かけしながら微調整しましょう。

また、ステップの足つきもチェックしてください。

姿勢②ベッド上で食べる場合

ベッドのリクライニングは45〜60度の角度を起こします

最適な角度は、利用者様の自立度や普段の食事の様子から決めていくと良いでしょう。

口から食事がこぼれやすい利用者様の場合は、30〜45度に設定することもあります。

上手に食事介助ができない・食べづらそうと感じたら、リクライニングの角度を見直してみましょう。

また、姿勢保持が困難な利用者様であれば、クッションを使用します。

安定した姿勢で食事ができるよう、サポートしましょう。

時間を意識しすぎない

お勤めの事業所によって食事の時間には、ある程度の制限があると思います。

しかし、時間を意識しすぎて利用者様のペースを無視して食事介助をしたり、焦らせるような声かけは厳禁です。

無理して食べようとすれば誤嚥になり、利用者様を危険にさらすことになります。
また、食べる時間に焦りを感じることで、食事の時間そのものが辛く感じてしまうかもしれません。

利用者様ごとに身体機能が異なれば、食事の時間も変わってきます。

決まった時間に収めることが難しい場合は、チームで対応を相談しましょう。

嚥下食の介助が難しい場合は

嚥下食の介助は難しいこともあります。

  • 上手く口に入れられない
  • 時間がかかりすぎてしまう
  • 食事のペースがわからない

そのような場合は、先輩・同僚職員の食事介助のやり方を聞く、もしくは見せてもらうと参考になります。

また、職員会議の場などで、困りごととして議題にあげてみるのも一つの手です。

介護の基本はチームケア。
職場全体で検討したという根拠があることで、自信を持って介助できます。

当然ですが、利用者様も人間です。
不慣れ・信頼関係のない職員には冷たくしたり、ペースが合わないこともあります。

時間が解決する場合もあるため、焦らずに食事以外のところから関わりを増やしていくことも、介助が上手くいく近道になるでしょう。

楽しい食事にするには

嚥下食に対して悲観的に捉えられる利用者様もいます。

「普通のご飯が食べたい」
「何を食べているかわからない」
「あなたには私の気持ちがわからない」

このような場合、利用者様の思いを傾聴することが大切です。

例えば、専門機関と相談してリハビリが可能であれば、口腔体操から始めてみましょう。
前に進む道筋が見えることで、意欲的に食事ができるかもしれません。

また、悲観的ではない利用者様についても、何を食べるのかなどは伝えながら介助することがコツです。

何を食べているのかがわかるだけでなく、声かけによってリラックスして食事ができます

雑談も弾みやすく、楽しい食事になりますよ。

まとめ

嚥下食は、嚥下障がいの方でも経口摂取が継続できたり、リハビリによって次のステップに進む可能性もある食事形態です。

介護職の方が適切に介助することで、安全であることはもちろん、日々の食事が楽しみになり、利用者様の生活にハリがでるでしょう。
 

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