看取り介護とは?増えた背景や流れ、介護職の役割について解説

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近年では「自分らしく最期を迎えたい」という方が増えていることから、延命治療を行わず自宅や介護施設で過ごす看取り介護のニーズが増加しています。看取り介護では、どのようなケアを行うのでしょうか。今回は、看取り介護とは何なのか、増えた背景、介護職の役割や看取り介護の流れについて解説します。

看取り介護とは?

看取り介護とは、病気の回復が見込めない利用者様に対し無理な延命治療を行わず、自然に息を引き取るまで自宅や介護施設にてケアをし、見守る介護を指します。

死期が近くなった利用者様とそのご家族の意思を尊重し、「自分らしく最期を迎える」サポートをしながらケアを行います。

身体・精神的な苦痛を削減するケアを行うことがメインです。

なお死期が近い方への治療を中心としたターミナルケアや、がんなどの病気の治療を行う緩和ケアとは異なります。

看取り介護が増えた背景

近年では超高齢化社会が進んでいることから、病院での病床数の不足や価値観の多様化により「最期は病院で迎えるもの」という認識も変わりつつあります

2030年代になると死亡者数は年間160万人を越える「多死社会」になるといわれており、一方で全国の病院での病床数は減少傾向にあります。

また死に対する人々の意識も変わりつつあり、投薬や手術での延命治療が主流だった数年前に比べて、「自分らしく全うする」ことを尊重されるようになりました。

こういった背景から、近年では最期を自宅や介護施設で自然に迎えることを望む人が増えており、看取り介護のニーズが高くなっているのです。

参照:日本総研|多死社会 一人ひとりが「死に方」を考え、それを実現する仕組みが必要
   厚生労働省|医療施設動態調査(令和2年11月末概数)

看取り介護での介護職の役割

看取り介護において介護職は、どういった役割を持つのでしょうか。

利用者様への基本的なケア

食事や入浴、排泄といった基本的なケアはもちろん、身体的苦痛を和らげるためのサポートを行います。

病気のある方の場合は食が細くなりがちですが、そういった場合は栄養士と相談し、無理せずしっかり栄養が摂れるような工夫を行いましょう。

また入浴ができない場合は体のふき取りなどを行い、常に清潔にしておくことで感染症などを防ぐことができます。

寝返りが打てない方に対しては、褥瘡(床ずれ)を防止するために体位交換を定期的に行いましょう。

メンタル面でのケア

看取り介護を受けている方であっても、死に対する不安や恐怖心を感じることは多くあります。

そういった際にメンタル面でのケアを行うことも介護職員の役割です。

普段から利用者様の気分が落ち込んでしまうことのないように、積極的なサポートを行うことがポイント。

利用者様を孤独に感じさせないような気遣いを心がけましょう。

コミュニケーション

看取り介護を行っている間、介護職員は利用者様の良いコミュニケーション相手となることも重要な役割です。

利用者様の話に耳を傾けながらときにはおしゃべりしたり、利用者様が穏やかに過ごせるよう工夫しましょう。

ご家族へのケア

看取り介護中に不安を感じているのは、利用者様だけでなくご家族の方々も同じ。

介護職として看取りまでにどのようなサポートを行っていくか、ご家族の方々にしっかりお話をしましょう。

また中には、大切な利用者様の看取りを前に精神面で落ち込んでいる方も少なくありません。

利用者様とご家族の方々の間に立つ介護職員として、ご家族の方々のお話にもしっかり耳を傾けてケアを行っていきましょう。

状態の観察

利用者様の状態を定期的に観察し、経過記録としてまとめることも介護職員の役割です。

医師からの診断内容や一日の様子などを細かく記録し、ご家族の方に丁寧に説明しましょう。

介護職員だけでなく、医師や看護師、栄養士などさまざまな職種のスタッフと連携することがポイントです。

エンゼルケア

エンゼルケアとは、利用者様が亡くなった後にご遺体をきれいに整える死後処置のこと。

身体をふき取ったり、お化粧を施したりします。

またご家族の状況に応じて、介護職員が利用者様の荷物整理や葬儀の調整などを行うこともあるでしょう。

臨機応変に対応することが大切です。

看取り介護の流れ

看取り看護にはステージがあり、それぞれ適した介護を行う必要があります。

入所期

看取り介護のために入所してきた方への説明や、ケアプランの作成などを行います。

またご家族に施設の方針や今後の介護の流れについて説明します。

適応期

入所から約1か月間までを適応期といい、この間で利用者様やご家族の方々に看取り介護についての説明を行います。

利用者様の意見を最大限尊重することを伝え、看取り介護に安心感を持ってもらうようにしましょう。

安定期

安定期に入ると、利用者様やご家族の気持ちが落ち着いてきます。

より一層コミュニケーションを取り信頼関係を深めましょう

不安定・低下期

利用者様の体調が変化したり食が細くなるなど、身体的な衰弱が見られる時期を不安定・低下期といいます。

こまめに利用者様の状態を確認し、容体の悪化にそなえて医師と連携しましょう。

看取り期

医師よりご逝去間近であると診断される時期から看取り期に入ります。

利用者様が穏やかに最期を迎えられるために、看取りの方法などについて改めて整理しましょう。

ご家族の方々へのケアも行うことがポイントです。

看取り後

看取り後は医師・看護師と連携しながら、エンゼルケアや葬儀会社への連絡業務などを行います。

ご家族の方々に寄り添いながら、最後までしっかり対応しましょう。

まとめ

近年増加傾向にある、介護職員による看取り介護。

覚悟の必要なケアではありますが、利用者様の尊厳のある死を尊重する大切な仕事です。

ご家族の方々の心情を理解しながら、丁寧に対応していきましょう。
 

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