介護現場で重要な非言語コミュニケーションについて解説

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介護現場では、しぐさや表情などの言語を使用しない非言語コミュニケーションが大切だと言われています。なぜ介護現場では、非言語コミュニケーションが重要なのでしょうか?今回は、非言語コミュニケーションとはどういうものなのか、なぜ介護現場で重要なのかについて詳しく解説します。

非言語コミュニケーションとは?

非言語コミュニケーションとは、言葉・文字・言語を使用しないコミュニケーションのことです。

相手の見た目やしぐさ、表情など、主に視覚から得られるコミュニケーションのことを指します。

また、声のトーンやボリュームなども非言語コミュニケーションに含まれます。

介護現場では、利用者様に安心した気持ちで介護サービスを受けていただくためにも、介護職員と利用者様の間での信頼関係が欠かせません。

信頼関係を築くために重要となるのはコミュニケーションです。

しかし、コミュニケーションと聞くと「何か話さなきゃ」「何か面白い話題はないかな?」と言語でのコミュニケーションをイメージしがちです。

安心した雰囲気の中、介護職員も利用者様も落ち着いてコミュニケーションを図るためには、非言語コミュニケーションの活用が重要です。

 

言語コミュニケーションとの違い

非言語コミュニケーションとは逆に、言語コミュニケーションというものも存在します。

言語コミュニケーションとは、「こんにちは」「今日は暑いですね」などの言葉でのコミュニケーションや、手話でのコミュニケーションのことです。

手話は一見、発語がないため非言語コミュニケーションと思われがちですが、聴覚障がいのある方にとっては欠かせない重要な言語コミュニケーションとなります。

非言語コミュニケーションの特徴は以下の通りです。

・言語コミュニケーション以上にその場の雰囲気や空気感を楽しめる
・相手の表情の変化やしぐさなどを目で見て楽しめる
・言葉で「楽しい」と言っていても実際には暗い顔をしているなど、相手の本音を察することができる

介護で非言語コミュニケーションが重要視される理由

在宅介護や施設介護など、介護現場では場所を問わず非言語コミュニケーションが重要視されている傾向にあります。

なぜ、介護では非言語コミュニケーションが重要であると言われているのでしょうか。

ここからは、介護で非言語コミュニケーションが重要視される理由を3つご紹介します。

利用者様やご家族の方との信頼関係を築くため

非言語コミュニケーションは、ただ言葉を発するだけの言語コミュニケーションとは異なり、表情やしぐさ、声のトーンなどに意識を向けなければなりません。

介護職員が笑顔ではきはきと、明るく丁寧に説明してくれる様子を見ると、利用者様やご家族は安心感を感じます

そのため、利用者様やご家族との信頼関係を築くには、非言語的コミュニケーションの活用が必要不可欠です。

利用者様やご家族との信頼関係を築き、安心した気持ちで介護サービスを受けてもらうためにも、非言語コミュニケーションを意識しましょう。

利用者様の体調や心身状態の変化に気づくため

非言語コミュニケーションは、ただ介護職員が自分自身の表情やしぐさ、声のトーンなどを意識をするものではありません。

利用者様の様子にもしっかり着目することが大切です。

ただ声かけを行うだけでなく、利用者様の表情やしぐさ、声のトーンに日ごろから着目していると、変化があった際にすぐ気づくことができます

利用者様の体調不良や心身状態の悪化に、早急に気づいて対応するためには、日ごろから利用者様との非言語コミュニケーションを行うことが大切です。

>>>あわせて読みたい「介護士は知っておきたい!高齢者の体調不良のサインとは?」

認知症ケアに活用するため

言語コミュニケーションは、認知症の方のケアにも最適です。

重度認知症の方は、認知機能の著しい低下により、会話や発話が難しい場合があります。

また、脳卒中や脳梗塞などの脳血管障がいの後遺症により「言語障がい」が残っている方は、うまく会話をすることができません。

そういった利用者様の気持ちを汲み取るためにも、非言語コミュニケーションは欠かせないのです。

表情やわずかな発語、しぐさなどをじっくり観察し、利用者様の意思や気持ちに気づけるようにしましょう

 

非言語コミュニケーションの種類5つ

非言語コミュニケーションと一口に言っても、その種類はさまざまです。

非言語コミュニケーションには大きく分けて5つの種類があり、それぞれを状況に応じて使い分けることでコミュニケーションが成り立ちます。

ここからは、非言語コミュニケーションの5つの種類についてそれぞれ解説します。

表情

基本的に、利用者様やご家族とコミュニケーションを図る際は、安心感を与える穏やかな笑顔を意識します。

マスクをしていると表情が分かりづらいため、特に目元の表情を意識しましょう

笑顔や憂い顔など、話の内容によって表情を変えることで「この人は私の話を聞いてくれている」と感じてもらえます。

姿勢

コミュニケーションを図る際の姿勢はとても大事なものです。

例えば、猫背で足や腕を組みながら話を聞いているとどうでしょうか。

いい加減な態度と捉えられてしまい、利用者様やご家族に不快感を与えてしまいます。

コミュニケーションの基礎である傾聴は、利用者様やご家族のお話をじっくり聞くことを指します。

腕や足を組んだりせず、利用者様やご家族に顔や身体を傾け、「あなたのお話をしっかり聞いていますよ」と態度で示すことが大切です。

視線

非言語コミュニケーションの中で、視線は特に重要です。

利用者様やご家族と目を合わせすぎる・目をそらしすぎると、「話しにくいな」と不快感を与えてしまいます。

また、「話をする際には絶対に目を見て聞いてほしい」と希望する方もいれば、「人と目を合わせるのが苦手」という方もいます。

コミュニケーションを図る対象の方が、視線に対してどのような考えを持っているか、最初は分かりません。

そのため、コミュニケーションを図りながらゆっくりと視線を合わせていくことが大切です。

身だしなみ

介護職員の身だしなみも、非言語コミュニケーションの一種です。

大きすぎる服の着用やフケの付着は、「この人とは話したくない」と思われる原因になります。

お互いに快くコミュニケーションを図るためにも、日ごろから清潔感のある身だしなみを意識しておくことが大切です。

>>>あわせて読みたい「介護職に求められる服装とは?服装に求められる特徴や機能を紹介」

スキンシップ

非言語コミュニケーションにおけるスキンシップとは、手の甲や背中などに優しく触れることを指します。

しかし、会話をしている最中にいきなり手の甲や背中などに触れられると、利用者様は驚いてしまうことでしょう。

利用者様が落ち込んでいる際や悲しい話をしてきた際に、励ますように自然と手の甲や背中に触れることが大切です。

 

聴覚から得られる非言語コミュニケーション

非言語コミュニケーションは視覚から得られるイメージが強いですが、聴覚からも豊富に情報が得られます。

ここからは、聴覚で感じ取ることができる非言語コミュニケーションについて3つご紹介します。

声のボリューム

ご高齢者の多くは耳が遠く、音や声が聞き取りづらいという悩みを抱えています。

しかし、ご高齢者全員が耳が遠いわけではありません。

耳が遠くない利用者様に大声で話すと、恐怖感や威圧感を感じさせてしまいます。

利用者様お一人おひとりの聴力の状況を把握し、適切な声のボリュームで話しかけることが大切です。

口調

介護職員のもともとの性格上、いらいらしていないのに強い口調になってしまうという悩みを持つ方もいます。

また、大きな声ではきはきと話そうとするあまり、口調がきつく聞こえてしまうこともあります。

多忙な介護現場での業務に疲れ、利用者様に命令口調で話しかけている介護職員がいれば、それは大問題です。

どのような状況であっても、利用者様に親しんでもらえるように、優しく穏やかな口調で話しかけることが大切です。

話すスピード

深刻な人手不足問題を抱え多忙を極める介護現場では、ついついスタッフ同士の申し送りや報告・連絡・相談が早口になりがちです。

メモの準備をしている間に申し送りを終えて、帰ってしまう夜勤者もいるほどです。

しかし、利用者様やご家族に早口で話すと、伝えるべきことが正確に伝わりません。

伝達ミスを防ぐためにも、相手が誰であれ、ゆっくりと丁寧に話すことが大切です。

 

まとめ

人と人とのコミュニケーションは、必ずしも言語だけで成立するものではありません。

介護現場において、表情やしぐさ、姿勢や声のトーンなどの非言語的コミュニケーションは必要不可欠です。

利用者様やご家族と信頼関係を構築し、安心した気持ちで介護サービスを受けてもらうためにも、日ごろから非言語的コミュニケーションを活用しましょう。

筆者プロフィール
りんか
保有資格:介護職員初任者研修/介護福祉士
経歴:福祉系高等学校にて介護福祉士の資格を取得後、特別養護老人ホームと訪問介護事業所に各2年勤務。高齢者グループホーム・デイサービス・障がい者支援センターでの実習・ボランティアの経験と介護事務の経験もあり。現在は介護福祉士Webライターとして活動中。
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