【2024年最新版】介護報酬改定の内容を分かりやすく徹底解説

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介護報酬改定とは、介護サービス提供の対価として介護施設・介護事業所に支払われる介護報酬に関する制度を改定することです。介護事業所や、そこに従事する介護職員に支払われる介護報酬は、年ごとに国による見直しが行われています。本記事では、2024年現在の介護報酬改定の情報をご紹介します。



介護報酬改定とは?

介護報酬とは、介護サービスを提供している介護施設または介護事業所が、利用者様と行政からサービス提供の対価として受け取る報酬のことです。

介護施設・介護事業所が受け取った介護報酬は、介護職員の給与に反映されます。

また、介護報酬の金額は、利用者様の介護度や、利用者様が必要とする介護サービスの具体的な内容によって細かく増減します。

介護施設・介護事業所に支払われる「介護報酬」の金額は、3年ごとに見直される仕組みです。

介護サービスの質向上や、介護職員の離職防止を目的として、介護報酬の金額は引き上げられている傾向にあります。

 

介護報酬には「改定率」がある

介護報酬の「改定率」とは、3年ごとの介護報酬改定で生じる「上げ幅」や「下げ幅」をパーセンテージで示したものです。

2024年度介護報酬改定の改定率は、「+ 1.59%」になることが公表されています。

その内訳は、以下の通りです。

介護職員の処遇改善分「+0.98%」
その他「+0.61%」

さらに、処遇改善加算の一本化による賃上げ効果や、光熱費の基準費用額の増額による介護施設の増収効果として「+0.45%」の上げ幅が見込まれています。

そのため、2024年度の介護報酬改定率は、合計で「+2.04%」相当になる見込みです。

引用:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定と賃上げについて」

 

2024年度介護報酬改定の実施日

2024年度に行われる「介護報酬改定」で決定した内容は、いつから各介護施設・介護事業所で実施されるのでしょうか。

厚生労働省の「第236回介護給付費分科会」では、2024年度介護報酬改定はサービス種別によって「2024年4月」と「2024年6月」に分けて実施されると示されました。

2024年6月に実施される介護サービス種別

2024年6月に「介護報酬改定」が実施される介護サービス種別は、以下の4種類です。

訪問看護

訪問リハビリテーション

通所リハビリテーション

居宅療養管理指導

2024年4月に実施される介護サービス種別

2020年4月に「介護報酬改定」が実施される介護サービス種別は、以下の20種類です。

訪問介護

訪問入浴介護

通所介護

短期入所生活介護

短期入所療養介護

特定施設入居者生活介護

福祉用具貸与

居宅介護支援

介護老人福祉施設

介護老人保健施設

介護医療院

定期巡回随時対応型訪問介護看護

夜間対応型訪問介護

地域密着型通所介護

認知症対応型通所介護

小規模多機能型居宅介護

認知症対応型共同生活介護

地域密着型特定施設入居者生活介護

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

看護小規模多機能型居宅介護

引用:厚生労働省「第236回社会保障審議会介護給付費分科会資料」



2024年度「介護報酬改定」のポイント【前半】

2024年度の介護報酬改定では、以下の4つのポイントの見直しが行われました。

地域包括ケアシステムの深化・推進

自立支援・重度化防止に向けた対応

良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり

制度の安定性・持続可能性の確保

引用:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」

ここからは、この4つのうちの前半2つ(①と②)について詳しくご紹介します。

地域包括ケアシステムの深化・推進

2024年度介護報酬改定では、「地域包括ケアシステムの深化・推進」について議論が行われた結果、以下の改定内容について審議報告が行われました。

①質の高い公正中立なケアマネジメント ・居宅介護支援における特定事業所加算の見直し
・他のサービス事業所との連携によるモニタリング など
②地域の実情に応じた柔軟かつ効率的な取組 ・訪問介護における特定事業所加算の見直し
・豪雪地帯等において、急な気象状況の悪化等があった場合の通所介護費等の所要時間の取扱いの明確化 など
③医療と介護の連携推進 ・専門性の高い看護師による訪問看護の評価
・患者の状態に応じた在宅薬学管理の推進
・総合医学管理加算の見直し
・療養通所介護における重症者への安定的なサービス提供体制の評価
・円滑な在宅移行に向けた看護師による退院当日訪問の推進
・医療関連のリハビリテーション計画書の受け取りの義務化
・特定施設入居者生活介護等における夜間看護体制の強化
・配属医師緊急時対応加算の見直し
・介護老人福祉施設等における緊急時等の対応方法の定期的な見直し
・協力医療機関との連携体制の構築 など
④看取りへの対応強化 ・訪問入浴介護における看取り対応体制の評価
・訪問看護等におけるターミナルケア加算の見直し
・短期入所生活介護における看取り対応体制の強化 など
⑤感染症や災害への対応力向上 ・高齢者施設等における感染症対応力の向上
・新興感染症発生時等の対応を行う医療機関との連携
・業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入 など
⑥高齢者虐待防止の推進 ・高齢者虐待防止の推進
・身体的拘束等の適正化の推進 など
⑦認知症の対応力向上 ・訪問系サービスにおける認知症専門ケア加算の見直し
・訪問リハビリテーションにおける集中的な認知症リハビリテーションの推進
・(看護)小規模多機能居宅介護における認知症対応力の強化
・介護老人保健施設における認知症短期集中リハビリテーション実施加算の見直し など
⑧福祉用具貸与・特定福祉用具販売の見直し ・一部の福祉用具に係る貸与と販売の選択制の導入
・モニタリング実施時期の明確化 など

 

自立支援・重度化防止に向けた対応

2024年度介護報酬改定では、「自立支援・重度化防止に向けた対応」について議論が行われた結果、以下の改定内容について審議報告が行われました。

①リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組等 ・訪問・通所リハビリテーションや介護保険施設におけるリハビリテーション、口腔、栄養の一体的取組の推進
・リハビリテーション・個別機能訓練、口腔管理、栄養管理に係る一体的計画書の見直し
・退院直後の診療未実施減算の免除
・ケアプラン作成に係る「主治の医師等」の明確化
・介護老人保健施設における短期集中リハビリテーション実施加算の見直し
・介護保険施設や特定施設入居者生活介護における口腔衛生管理の強化 など
②自立支援・重度化防止に係る取組の推進 ・通所介護等における入浴介助加算の見直し
・ユニットケア施設管理者研修の努力義務化
・介護老人保健施設における在宅復帰・在宅療養支援機能の促進 など
③LIFEを活用した質の高い介護 ・科学的介護推進体制加算の見直し
・アウトカム評価の充実のための「ADL維持等加算」「排せつ支援加算」「褥瘡マネジメント加算等」の見直し
・自立支援促進加算の見直し など

 

2024年度「介護報酬改定」のポイント【後編】

ここまでは、2024年度の介護報酬改定で見直しが行われた2つのポイントをご紹介しました。

ここからは、4つのポイントのうちの後半2つ(③と④)について詳しくご紹介します。

引用:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」

良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり

2024年度介護報酬改定では、「良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり」について議論が行われた結果、以下の改定内容について審議報告が行われました。

①介護職員の処遇改善 ・介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の一本化 など
②生産性の向上等を通じた働きやすい職場環境づくり ・テレワークの取扱い
・介護ロボットやICT等のテクノロジーの活用促進
・外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いの見直し
・介護老人保健施設等における見守り機器等を導入した場合の夜間における人員配置基準の緩和 など
③効率的なサービス提供の推進 ・管理者の責務および兼務範囲の明確化
・訪問看護等における24時間対応体制の充実
・通所介護、地域密着型通所介護における個別機能訓練加算の人員配置要件の緩和
・ユニット間の勤務体制に係る取扱いの明確化
・小規模介護老人福祉施設の配置基準の見直し など

 

制度の安定性・持続可能性の確保

2024年度介護報酬改定では、「制度の安定性・持続可能性の確保」について議論が行われた結果、以下の改定内容について審議報告が行われました。

①評価の適性化・重点化 ・訪問介護における同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬の見直し
・理学療法士等による訪問看護の評価の見直し
・短期入所生活介護における長期利用の適正化 など
②報酬の整理・簡素化タイトル ・運動機能向上加算の基本報酬への包括化
・定期巡回随時対応型訪問介護看護の基本報酬の見直し
・「認知症情報提供加算」「地域連携診療計画情報提供加算」「長期療養生活移行加算」の廃止 など

 

まとめ

本記事で紹介した内容以外にも、特別地域加算の対象地域の見直しや、基準費用額(居住費)の見直しなど、さまざまな改定が行われました。

介護報酬改定の詳細内容や最新情報が気になる方は、ぜひ厚生労働省の公式サイトをチェックしてみてください。

最新情報は常に更新されるため、適宜確認することが重要です。

 

筆者プロフィール
りんか
保有資格:介護職員初任者研修/介護福祉士
経歴:福祉系高等学校にて介護福祉士の資格を取得後、特別養護老人ホームと訪問介護事業所に各2年勤務。高齢者グループホーム・デイサービス・障がい者支援センターでの実習・ボランティアの経験と介護事務の経験もあり。現在は介護福祉士Webライターとして活動中。
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