お役立ち情報
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介護士が行うグリーフケアとは、大切な人を亡くした家族・遺族の精神的サポートを行うことです。大切な人を亡くし、悲しみに沈む家族・遺族は、ショック期・喪失期・閉じこもり期・再生期などのさまざまなプロセスを経て、回復へと向かいます。本記事では、介護士にできるグリーフケアの目的や方法についてご紹介します。
■目次
グリーフケアとは、大切な人を亡くした家族・遺族の精神的サポートを行うことです。
「グリーフ(grief)」という英単語は、「悲嘆」や「深い悲しみ」を意味し、大切な人・愛する人を亡くしたときの悲しみを指す言葉です。
また、「グリーフケア」とは、大切な人・愛する人を亡くし、悲嘆に悩む人を「世話する」「ケアする」という意味を持っています。
グリーフケアは「遺族ケア」「悲嘆ケア」とも呼ばれており、介護現場では、利用者を亡くして悲しむ家族・遺族の心のケアとして行われます。
グリーフケアの基本は、悲嘆的な感情や言動を否定せず、受け入れること。
無理に悲嘆的な感情を取り除こうとするのではなく、家族・遺族に寄り添いながら、自発的に悲嘆から立ち直るプロセスを見守ります。
「グリーフケア」の考えが発祥したのは、1960年代のアメリカです。
日本では1970年代からグリーフケアの研究が始まりました。
2009年、上智大学に「グリーフケア研究所」が設立され、現在も同研究所にて、グリーフケアの研究や講演会などが行われています。
現在の日本では、核家族や生涯未婚者の増加が進んでいます。
それと同時に、大切な人を亡くしたとき「悲しみに寄り添ってくれる人が身近にいない」と悩む人が増加し続けているのが現状です。
グリーフケアでは、大切な人を亡くした「辛さ」や「悲しみ」を傾聴し、悲嘆の感情を1人で抱え込むことを防ぐことが重要とされています。
大切な人・愛する人を亡くした悲しみは強いストレスとなり、身体・精神・行動/認知など、さまざまな部分に悪影響を及ぼします。
ここでは、グリーフケアが必要な人に見られる症状を「身体」「精神」「行動/認知」の3つに大別してご紹介します。
大切な人を亡くした辛さや悲しみによる強いストレスは、身体的症状として、目に見えた身体の不調に現れる場合があります。
グリーフケアが必要な人に見られる身体的症状は以下の通りです。
大切な人を亡くした辛さや悲しみによる強いストレスで精神に不調をきたし、その状態が長期にわたって続く場合があります。
グリーフケアが必要な人に見られる精神的症状は以下の通りです。
大切な人を亡くした辛さや悲しみによる強いストレスが原因で、行動や認知に大きな支障が生じる場合があります。
グリーフケアが必要な人に見られる行動/認知的症状は以下の通りです。
大切な人・愛する人を亡くし、悲嘆に悩む家族・遺族は、「ショック期→喪失期→閉じこもり期→再生期」の4つのプロセスをたどります。
プロセスをたどる期間は個人差が大きく、人によっては進行せず、後退してしまうことも。
ここでは、4つのプロセスに沿って、グリーフケアが必要な人の心理状態をご紹介します。
ショック期とは、大切な人が亡くなったことを知って驚き、呆然としている状態です。
ショック期では、「驚き」や「ショック」が強いため、悲しみや辛さ、不安などの悲嘆的感情は麻痺しています。
また、大切な人が亡くなったという事実を受け入れられず、パニック状態になったり、号泣したりする方もいます。
喪失期とは、時間の経過とともに、大切な人を亡くしたことの悲しみや辛さ、気分の落ち込みが生じている状態です。
大切な人が亡くなったという現実を受け入れてはいるものの、「もう一度会いたい」という気持ちが強くなり、夢に故人が出てくるということもあります。
閉じこもり期とは、喪失期で生じた悲しみや辛さ、落ち込みなどの気持ちが強くなり、混乱や絶望、漠然とした不安などが生じる状態です。
この時期は睡眠障害や摂食障害に陥ったり、家に引きこもりがちになったりという身体症状・行動/認知的症状が現れます。
再生期とは、「ショック期→喪失期→閉じこもり期」の3つのプロセスを経て、心身の状態が回復した状態です。
大切な人を亡くす前の心身状態に回復するものの、再び喪失期や閉じこもり期に戻ってしまう可能性もあります。
そのため、再生期が来ても、心身の状態が乱れないように注意が必要です。
グリーフケアの方法は明確に決められていませんが、「悲しみを傾聴する」「心を癒す」「悲嘆の感情に寄り添う」という目的を叶えることが重要になります。
ここでは、介護士にできるグリーフケアの方法を3つご紹介します。
グリーフケアで大切なのは、悲しみや辛さなどの悲嘆的な感情を否定しないことです。
「大切な人や愛する人を失った深い悲しみ・辛さ・苦しみ」
「故人の生前、できなかったことやあのときこうすれば良かったという後悔」
「将来への絶望感や漠然とした不安」
こういった悲嘆的感情や故人への思いを吐き出す場を設けましょう。
介護士は利用者の看取りを行うことが、全てではありません。
利用者を亡くした家族・遺族の話を傾聴し、寄り添うことが求められます。
人が亡くなったとき、通夜・葬儀・火葬・納骨を行い、故人を偲ぶことが一般的です。
しかしながら、通夜・葬儀・火葬・納骨は、遺体の安置期間が限られているため、時間に余裕がないままバタバタと終えてしまいがちです。
介護施設で行うグリーフケアの一例として、「お盆の法要」や「セレモニー会」など、定期的に故人を偲ぶ会を設けるという方法があります。
介護施設で亡くなった方々の供養を行うと同時に、家族・遺族が抱える悲しみや辛さを癒していく効果が期待できます。
大切な人を亡くすことで、精神や身体にさまざまな不調を起こす方は少なくありません。
近年、「グリーフケア外来」や「遺族外来」がある精神科・心療内科が増えています。
悲しみや辛さ、気分の落ち込みがあまりに激しく、日常生活に支障をきたしている場合は、グリーフケアに対応している精神科・心療内科を勧めることも重要です。
臨床心理士によるカウンセリングや専門医による投薬治療が受けられます。
また、精神科や心療内科、日本グリーフケア協会が開催する「悲嘆回復ワークショップ」では、「グリーフケアアドバイザー」という専門職のケアを受けることができます。
介護士は必要に応じ、グリーフケアの専門機関や専門家を紹介しましょう。
介護士が行う看取りケアの対象は、利用者本人だけではありません。
利用者を亡くし、強い悲しみや不安を感じている家族の心のケアも必要不可欠です。
グリーフケアでは、家族・遺族の悲嘆的感情を傾聴し、回復へ向けてサポートします。
看取りケアを行う介護士は、同時にグリーフケアについて理解しておきましょう。
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