介護施設で介護士が一人で夜勤を行う「ワンオペ夜勤」の実態とは

更新日:

介護業界では慢性的かつ深刻な人手不足問題を抱えており、その影響で介護士一人で数十名の利用者の見守りを行う「ワンオペ夜勤」が当たり前になっている介護施設が存在しているのが実情です。本記事では、ワンオペ夜勤の実情やワンオペ夜勤のメリット・デメリットをご紹介します。

介護士のワンオペ勤務とは?

介護人材の不足により、「ワンオペ勤務」を行っている介護現場が数多く存在します。

ワンオペ勤務とは、介護士が一人で数名~数十名の利用者の介護を担うこと
最も人手が不足しやすい夜勤に行われることが多いです。

なお「ワンオペ」は「ワンマン・オペレーション」の略で、すべての業務を一人で行わせている状態のことを指します。

ワンオペ勤務は公的に認められているの?

介護施設では施設の形態ごとに人員配置基準が定められています。

特別養護老人ホームと短期入所生活介護(ショートステイ)の人員配置基準は「利用者3人に対して一人以上の介護職員を配置すること」と定められています。
しかし、その他の施設形態については人員配置基準が曖昧です。

「利用者一人以上に対して一人以上の介護職員を配置すること」と定められており、ワンオペ勤務を行うことは法律上問題ありません

いくら法律上問題がなくとも、ワンオペ勤務では緊急時や利用者の容態急変時に適切な対応を行うことができるのでしょうか。
安全面を配慮すれば、夜勤帯でも2名以上の人員配置が適切であるといえるでしょう。

ワンオペ夜勤の実態と仕事内容

介護施設の多くは、日勤スタッフと夜勤スタッフが2交代制で勤務に入り、24時間体制で利用者に介護サービスの提供を行います。

しかし、以下のように人員配置や仮眠設備が不十分なのが現状です。

24時間運営の介護施設の半数以上が、夜勤者を一人体制で配置している
 グループホームや小規模多機能居宅介護事業所、定期巡回随時対応型訪問介護のほとんどはワンオペ夜勤
 夜中に徘徊する利用者の見守りを兼ねてフロアのテーブルに伏して仮眠をとったり、仮眠場所が男女混同になっていたりと、仮眠設備が整っていない施設が多い

ワンオペ夜勤では、以下の業務内容を一人でこなす必要があります。

その大変さと緊張感から、退職や転職を考える介護職が多いこともひとつの課題です。

日勤者からの引き継ぎと夕食介助

夜勤者は日勤者から「転倒した」「嘔吐した」など、日中に変化があった利用者の報告を受けます。

そして日勤者と共に利用者の夕食介助や口腔ケア、居室誘導を行います。

巡回・コール対応

夜間1~2時間おきに、就寝している利用者の安否確認のために巡回を行います。

また、利用者からナースコールがあれば都度対応を行います。

利用者に必要な身体介護

就寝時でもおむつ交換や体位交換など、介護が必要な利用者の身体介護を行います。

朝食準備

朝5時~6時の時間帯に利用者の起床介助と朝食の準備、服薬介助を行います。

施設によっては夜勤スタッフが朝食の調理・配膳・介助を全て行う場合も。

記録と日勤者への引き継ぎ

業務の合間に介護記録を記入し、日勤者に引き継ぎを行います。

ワンオペ夜勤のメリットと向いている人

ワンオペ夜勤は一人で数多くの業務をこなす大変さや、緊急時に一人で適切な判断をしないといけない緊張感が付き物です。

しかし介護職員の性格によっては、ワンオペ夜勤の方がやりやすいという意見も。

ワンオペ夜勤のメリットとワンオペ夜勤に向いている人の特徴をご紹介します。

収入アップが見込める/収入アップを目指す人

夜勤に入ると、1回につき5,000円~8,000円の夜勤手当が支給されることが一般的。

夜勤に入る日数を増やしたり、夜勤専従職員として従事することで収入アップを目指せるのが夜勤の大きな魅力です。

日勤に比べて平穏/自分のペースで仕事したい人

夜間は利用者が就寝しているため、コールがなければ日勤よりも仕事量が少なくなります。

また、ワンオペであれば自分のペースで落ち着いて仕事ができるというメリットもあります。

人間関係に悩みにくい/人間関係トラブルを避けたい人

ワンオペでは一人で仕事を行うため、職員同士の人間関係トラブルに巻き込まれません

2人体制の場合でも、一緒に夜勤に入る同僚とは仲良くなりやすいのがメリットです。

ワンオペ夜勤のデメリット

ワンオペ夜勤は「向いている人」と「向いていない人」に分かれることも大きな特徴です。

しかし、多くの人は「昼夜逆転」や「体内時計・体調の乱れ」を感じて敬遠しがち。

ワンオペ夜勤のデメリットや大変さについてご紹介します。

長時間勤務で体調管理が難しい

2交代制の夜勤では、夕方から翌朝まで約16時間の長時間勤務を担います。

そのため昼夜逆転や体内時計の乱れ、体調不良を引き起こしやすくなります

緊張や不安によりメンタルの不調を起こしやすい

ワンオペ夜勤では、夜間の巡回やコール対応、朝食の準備など全ての業務を一人で行います。

また、地震や火災などの災害時や利用者が転倒してしまった場合なども一人で対応しなければいけません。

そのため、緊張や不安が長時間の勤務時間中ずっとつきまとうことにより、メンタルの不調を引き起こして退職する人も珍しくないのです。

プライベートとの両立が大変

連続で夜勤に入ると、平日の日中に仕事をしている家族や友人との予定が合いづらくなってしまうことも。

子育てをしている場合、子どもの学校行事に参加しづらいというデメリットもあります。

また代わりに出勤できる職員がおらず、急用で休みづらい点もデメリットといえるでしょう。

ワンオペ夜勤のリスク

ワンオペ夜勤では、利用者の急変時や災害時も一人で対応することが求められます。

そのため、以下のような場面における対処方法を熟知しておく必要があります。

利用者が転倒し、強い痛みの訴えがあるもしくは骨折の疑いがある
 利用者が朝食を食べている最中、窒息を引き起こした
 危篤状態の利用者が息を引き取った
 地震や火災、津波などの緊急避難が必要な災害が起こった

利用者の急変時は、まず救急搬送や心肺蘇生が必要かどうかの判断を行います。

医師や看護師、利用者のご家族など、緊急時の連絡先を事前に確認しておきましょう。

自分でしっかり状況を判断し、必要な連絡先にスムーズに連絡を行うことが大切です。

従業員や利用者の生命をおびやかすことも

2022年1月に大手牛丼チェーン店で、ワンオペ夜勤をしていた女性従業員が朝方に倒れて亡くなっていたという事案が発生しました。
その事案を受け、全ての業界・業種において「ワンオペの廃止」が勧められています。

大手牛丼チェーン店では、早朝勤務及び夜勤のワンオペが廃止されていますが、介護現場では未だにワンオペ夜勤が行われているのが実情です。

しかし、介護現場の「ワンオペ夜勤」というのは極めて危険です。
介護職員が体調不良を起こして生命を損ねる可能性があるだけでなく、体調不良を起こした介護職員が、利用者の容態急変に気づかない可能性があります。

人の命に関わる仕事だからこそ、介護現場での「ワンオペ夜勤」は早急に廃止・改善する必要があると指摘されているのです。

まとめ

介護現場では、慢性的かつ深刻な人手不足が続いています。

そのため、ワンオペ夜勤の廃止や改善ができていない介護現場が多いのが現状です。

ワンオペ夜勤に強い緊張や不安を感じている場合は、無理せず日勤のみの介護事業所や2人以上で夜勤を行っている介護施設に転職することをおすすめします。

職場の選び方に迷ったら【介護求人ラボ】

【介護求人ラボ】では専門のアドバイザーがあなたの希望に合った求人をご提案いたします。職場選びに迷った際はぜひ【介護求人ラボ】へご相談ください!入職までしっかりとサポートさせていただきます。

お電話で無料お問い合わせ 簡単!WEBで無料お問い合せ

 

介護系ハイキャリア転職なら【介護求人ラボ+】

介護求人ラボ+(介護求人ラボ プラス)は、介護系管理職(管理者・施設長)限定のハイキャリア向け転職サービス。ハイキャリア専門のアドバイザーが、次のステージに挑戦するサポートを提供いたします。「自分の市場価値が知りたい」「現状のキャリアで管理職は可能か?」などの相談からでもOK!まずはお気軽にお問い合せください。

【完全無料】60秒で簡単登録!


Instagram
Twitterにてお役立ち情報更新中!
フォロー・いいね・コメントよろしくお願いします♪