介護職がすぐ辞める問題…デメリットからアドバイスまで徹底解説

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介護の仕事をしていて、就職や転職をしたばかりなのに辞めたくなった経験はありませんか?一緒に働く人がすぐに辞めてしまい、困った経験をしてた方もいるでしょう。今回は、現在進行形で介護職を辞めたいと思っている人・身近に辞めたがっている(辞めそうな)職員がいる方に向け、対処法を解説します。

転職者に聞く介護職を辞めた理由

公益財団法人 介護労働安定センターでは、例年介護に携わる職員に対して「介護労働実態調査」を実施しています。

この中で令和3年8月22日に公表された「令和2年度介護労働実態調査」の中で実施した「介護労働者の就業実態と就業意識調査」において、介護関係の仕事から転職してきた人が前職を辞めた理由を以下のようにまとめています。

退職理由割合
職場の人間関係に問題があった 23.9%
結婚・妊娠・出産・育児 19.9%
法人や施設・事業所の理念や運営の在り方に不満があった 17.2%
他に良い仕事・職場があった 16.9%
収入が少なかった 15.6%
自分の将来の見込みが立たなかった 15.0%
新しい資格を取った 12.5%
人員整理・勧奨退職・法人解散・事業不振等 6.8%
自分に向かない仕事だった 6.6%
家族の介護・看護 4.6%
病気・高齢のため 4.3%
家族の転職・転勤、または事業所の移転のため 3.9%
定年・雇用契約の満了のため 3.2%
その他 11.4%

参考:公益財団法人介護労働安定センター 「介護労働者の就業実態と就業意識調査」結果報告書 資料編 【前職(介護関係の仕事)をやめた理由】

介護職は仕事内容の割に給料が低いことがよく課題として挙げられますが、実際に退職した理由のトップ5は「職場の人間関係」「家庭環境の変化」「法人の運営体制に対する不満」「よい転職先が見つかった」「給料が低い」という順番でした。

このことから、介護職が辞めたくなる理由の多くは給与以外の部分が影響していることが分かります。

介護現場への不満

上記の「令和2年度介護労働実態調査」によれば、介護職員と訪問介護員のうち1年未満で退職した職員は全体で36.2%でした。

それでは、現在働いている人の介護現場に対する不満にはどのようなものがあるのでしょうか?

同調査で明らかになった結果は下表の通りです。

内容割合
人手が足りない 52.0%
仕事内容の割に賃金が安い 38.6%
身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある) 30.6%
有給が取りにくい 26.8%
業務に対する社会的評価が低い 26.0%
精神的にきつい 25.6%
休憩が取りにくい 21.1%
健康面(感染症、ケガ)の不安がある 20.5%
夜間や深夜時間帯に何か起きるのではないかと不安がある 16.7%
福祉機器の不足、機器操作の不慣れ、施設の構造に不安がある 11.1%
労働時間が不規則である 10.0%
労働時間が長い 8.0%
職務として行う医療行為に不安がある 5.9%
雇用が不安定である 5.8%
不払い残業がある・多い 5.2%
仕事中の怪我などへの保障がない 4.2%
無期雇用職員になれない 1.0%
その他 3.8%

参考:公益財団法人介護労働安定センター 「介護労働者の就業実態と就業意識調査」結果報告書 資料編 【労働条件等の悩み、不安、不満等(複数回答)】

現在の職場に対する不満は「人手不足」が最も多く、「賃金や休暇に関する不満」「心身への負担」「社会的評価の低さ」も目立つ結果となっています。

介護職に向かない人とは?

ここまでは、実際に辞めたいと思っている人が共感する内容が多かったのではないでしょうか。

介護の仕事をしていて向いていないと感じれば、尚更辞めたい気持ちに拍車がかかることは明らかです。

れでは、実際に介護職に向いていない人にはどのような特徴があるのでしょうか。

以下にまとめました。

自分の想いや意見のみを優先する人

介護の仕事はチームケアです。

介護職の仕事は、利用者毎に作成された支援計画に基づき、複数の職員が同じ支援内容を提供する必要があります。

例え支援方針に納得がいかないとしても、身勝手に独自の方法で支援を行ってしまうと利用者に悪影響を与えかねません

人によって態度を変える人

介護職は常に公正中立でなければなりません。

また、利用者の障がいや認知症の状況によって差別することも許されません。

お金がない人だろうと、社会的地位が高い方だろうと同じ一人の人間です。

自分の損得勘定や差別心から人によって態度を変えてしまう人は、介護職としての信頼を失ってしまうでしょう。

潔癖症の人

介護の仕事の中には、排泄介助や入浴介助・衛生環境が悪い生活空間の掃除などがあります。

利用者の排泄物や不衛生になりがちな陰部や頭髪に触れたり、虫が湧いたり尿臭がひどいところの片付けが必要になったりすることもあります。

潔癖症の方は精神的に負担に感じる場面があるので、仕事上のストレスになると考えられます。

短気な人

特に認知症の方と関わる際、なかなか自分の思い通りにはいかないものです。

何かあるとすぐに怒ってしまう場合、自分の感情をコントロールできずに仕事を投げ出してしまったり、カッとなって利用者に手を上げてしまったりすることもあるかもしれません。

万が一トラブルを起こすと社会的信用を失ってしまいます。

世話焼きな人

介護保険制度の目的は「その人の自立を支援すること」です。

よかれと思ってついつい本人ができることまで介護職がやってしまうと、利用者の“できること”を奪うことになり、心身機能の悪化や意欲の低下を招いてしまいます。

「何でもかんでもお世話してあげたい、やってあげたい」と考えている人は、介護の仕事よりも家事使用人やお手伝いさんの方が向いているかもしれません。

介護職をすぐ辞めてしまうことのメリット・デメリット

介護職をすぐ辞めてしまうことに関して、次のようなメリット・デメリットがあります。

<メリット>

パワハラや嫌な人間関係から脱出できる

心身を休めることができる

他の種類の施設を経験できる

<デメリット>

キャリアアップが望めない

辞めグセがつく

転職時に不利になる

介護職をすぐ辞めることのメリット

介護の仕事を辞める原因の多くが、人間関係です。
例えば上司や先輩からのパワハラや職員内での派閥問題がこれに当たります。

自分自身が無理をして体調を崩したら何にもならないため、その場合は速やかに退職を考えましょう。

介護職は体力的にも精神的にも負担がかかる職業です。
万が一疲労が蓄積して腰痛がひどくなった、精神的に不安定になってしまったという場合は一旦職場から離れ、体調の回復を待つことも大切です。

また、介護の仕事には大きく施設系と在宅系の2種類がありますが、それぞれによって業務内容の特性や勤務形態が変わります。
「在宅系の仕事は直接家族と関わる場面が多く、プレッシャーがかかる」「施設系は相手にする利用者の数が多くて仕事が追いつかない」など、自分に合わないと思ったら無理をせず、他の種類の施設を探してみると自分に合った働き方が見つかるでしょう。

介護職をすぐ辞めることのデメリット

介護職が年収を上げるためには、キャリアアップすることが必要です。
しかし、キャリアアップに必要な介護福祉士やケアマネジャーなどの資格はどれも実務経験が必要です。

すぐに辞めてしまうと介護技術が身に付かないだけでなく、実務経験を重ねることができないため資格を取ることができません。
介護職としてキャリアアップを考えているのであれば、すぐに辞めずにひとつの施設で働き続けることが大切です。

また、短期間に退職を繰り返すと「次の施設ならいいかも」「ここよりあっちの方がよさそう」などと目移りしてしまうようになり、次第に退職に対する罪悪感が薄れてしまいます。
こうなると短期間で辞めることに抵抗を感じなくなり、周囲からも「あの人は辞めグセがある」と思われます

当然ながら、転職の際にも面接官に「転職を繰り返しているから、そのうちここも辞めるんじゃないか」という悪印象を与えてしまいます。

介護職として成長していきたい・キャリアアップしたいと考えるのであれば、すぐに辞めない努力や工夫が必要になります。

介護職を辞めたくなった時の対処方法

実際に介護職が辞めたくなった時、周りに辞めたがっている人がいるときに効果的な対処方法について、以下の6つをご紹介します。

なぜ辞めたいのか書き出してみる

「もう辞めたい!」と思ったときは、どうしても感情的になってしまうものです。

一旦気持ちを落ち着け、自分がなぜ辞めたいと思っているのかを書き出してみると冷静になれます

実際に紙に書き出してみて、その具体的な理由を解決する方法がないか考えてみましょう。

解決方法が見つかれば、その施設を辞める必要がなくなりますよね。

周囲の人に相談してみる

もし仕事のことで悩みがあって辞めたいと考えているのであれば、周囲の家族や友人・頼りになる職場の先輩などに相談してみることがおすすめです。

自分ではどうしようもないことでも、第三者の意見を聞くことで悩みが晴れたり、問題解決の糸口が見つかるかもしれません。

悩んでいることや困っていることは、独りで抱え込まないようにすることが大切です。

気分転換してみる

介護の仕事にストレスを感じているのであれば、思い切って有給を取って気分転換を図ってみてはいかがでしょうか。

自分の趣味や旅行など、好きなことをして心も体もリフレッシュすれば新たな気持ちで仕事と向き合えるかもしれません。

ストレスは万病の元です。

定期的に気分転換をしてストレスを溜めないようにすることが、長続きするポイントです。

検討する期間を設ける

辞めたいと思ったときに絶対にやってはいけないことは、無断欠勤です。

まずは「〇月までは頑張ってみよう」などと期間を定めて、時間を設けながら考えてみましょう

冷静になって検討することができるはずです。

配置換えや異動を相談してみる

今の上司や同僚と合わない・勤務形態が家庭の都合で難しい・今の配属先は自分に合わないなどの理由で悩んでいる場合は、配置換えや異動によって解決する可能性があります。

無理に我慢せず、思い切って上司に相談して検討をお願いしてみましょう。

思い切って転職する

ここまでご紹介した方法を試しても「辞めたい!」という想いが消えない場合・上司が改善に協力してくれない場合、思い切って転職することも必要になります。

職場環境や仕事上の人間関係をリセットすることで、新たな気持ちで介護職を続けられるかもしれません。

人手不足の昨今、介護職の求人は非常に多いです。

転職の際は自身の希望をしっかり整理し、自分に合った職場を探してみて下さい。

まとめ

ここまでは、介護職がすぐに辞めてしまう問題について以下の通りご紹介してきました。

介護職を辞めた理由を調査すると、人間関係や運営方針・待遇面など職場環境によるものが多かった

介護現場での不満を調査すると、人手不足の問題や給料・社会的評価の低さ、心身への負担が大きいと答えた人が多かった

「自分の想いを優先する人」「人によって態度を変える人」「潔癖症の人」「短気な人」「世話焼きな人」は介護職に向かない

介護職をすぐに辞めてしまうことのメリットは職場環境を変え、休息できること。デメリットはキャリアアップや転職に不利になること

介護職を辞めたくなった人へできるアドバイスは「理由を書き出す」「相談する」「気分転換する」「検討期限を設ける」「配置換えや異動を相談する」「転職する」の6つ

これらの情報が、少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

 

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