お役立ち情報
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利用者様の清潔保持に、爪のケアは欠かせません。伸ばしっぱなしは、本人・介助者ともに怪我のもとです。介護現場では日常的に行われている、爪切りの介助。「爪切りは介護職がやっても良いの?医療行為にあたらないの?」このように悩んでいる方も、多いのではないでしょうか。この記事では、介護職が爪切りをしても良いのか、また、安全な爪切りの方法を解説します。
結論としては、介護職の爪切りは条件付きでOK。
ある条件をクリアすることで、医療行為にはあたらないということです。
医師法によると次のとおり。
医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)
以下に掲げる行為も、原則として、医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とする必要がないものであると考えられる。
(1)爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がなく、かつ、糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合に、その爪を爪切りで切ること及び爪ヤスリでやすりがけすること
(2)重度の歯周病等がない場合の日常的な口腔内の刷掃・清拭において、歯ブラシや綿棒又は巻き綿子などを用いて、歯、口腔粘膜、舌に付着している汚れを取り除き、清潔にすること
(3)耳垢を除去すること(耳垢塞栓の除去を除く)
(4)ストーマ装具のパウチにたまった排泄物を捨てること。(肌に接着したパウチの取り替えを除く。)
(5)自己導尿を補助するため、カテーテルの準備、体位の保持などを行うこと
(6)市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器(※)を用いて浣腸すること
※挿入部の長さが5から6センチメートル程度以内、グリセリン濃度50%、成人用の場合で40グラム程度以下、6歳から12歳未満の小児用の場合で20グラム程度以下、1歳から6歳未満の幼児用の場合で10グラム程度以下の容量のもの
医師法から爪切りについてまとめると、
上記3つの条件を満たしている場合、介護職が爪切り・爪やすりをしても良いということです。
3つの条件と利用者様の状況を照らし合わせ、問題ないことを確認してから、爪切りをしましょう。
利用者様が安心して爪切りをまかせられるよう、正しい準備と知識を身につけましょう。
爪切りの準備準備は3つ。
道具は、爪切りとやすりを用意しましょう。
忘れてはいけないのが、利用者様に同意を得ること。
心の準備と言うと大げさに聞こえますが、いきなり爪切りを始められては精神的に負担になる可能性があります。
例えば、声かけに反応の得られない利用者様の場合でも、尊厳保持のために、必ず声かけは行うようにしましょう。
また、爪切りのタイミングは入浴後がベスト。
入浴後は爪が柔らかくなっているため、ヒビが入りづらいです。
足浴や蒸しタオルで爪を柔らかくする方法もありますよ。
正しい姿勢で、安全に爪切りをしましょう。
手と足、それぞれのポイントを解説します。
次のように姿勢を整えましょう。
❶利用者様のとなりに座る
❷爪を切りたい側の腕を自分の両腕で軽く固定する
利用者様のとなりに座れば、自分の爪を切る姿勢に近い状態で爪切りができます。
逆に、対面(向かい合い)での爪切りはおすすめできません。
普段、自分の爪を切るときとは逆向きのため、切りづらくなります。
また指先の皮膚が見えにくく、ケガを負わせてしまうことも。
次に、爪を切りたい側の利用者様の腕を自分の両腕で挟み、軽く固定しましょう。
利用者様の腕が安定することで、指先がよく見え、爪切りがしやすいです。
不安定な状態で爪切りをした場合、利用者様の急な動き・不随運動によりケガの恐れがあります。
足の爪を切る際の、姿勢のポイントは次のとおり。
❶利用者様の隣に膝をついてしゃがむ、もしくは低い椅子に座る
❷介助者の太ももに利用者様のひざから上をのせる
❸介助者の片腕を利用者様の足の上から回し、太ももとはさんで固定する
まず、介助者が低い位置に姿勢をとりましょう。
この際、介助者の膝を床につくことで、ふらつきを防止できます。
次に、利用者様の足を介助者の太ももにのせる際は、足つきの良い場所で、ゆっくりと足をあげましょう。
急に足をあげると、利用者様の姿勢が後ろにのけぞる危険があるためです。
足(ひざ)が伸ばせない利用者様の場合は、足を曲げたまま爪切りをします。
無理に足を伸ばそうとしないでください。
また車椅子の利用者様は転落に注意しましょう。
フットレストから足をおろし、足裏がしっかりと床についた状態で行ってください。
安定した姿勢がとれたら爪切りをします。
ポイントは3つ。
❶切りたい指の皮膚を下に引く
❷少しずつ切る
❸爪やすりで仕上げる
まずは、切りたい指の皮膚を下に引きます。
爪と指の間の薄い皮膚を、切らないようにするためです。
爪を切る際は、少しずつ切るようにしましょう。
一度に長く切ると、爪にヒビが入りやすいです。
特に、足の爪は厚い分、ヒビが入りやすいため要注意。
また、深爪は禁物です。
巻き爪になり、強い痛みを感じたり、傷になって細菌が入る恐れがあります。
深爪をしないためには次の2つに注意して爪切りをします。
指の形に沿って切ると爪が丸くなり、巻き爪の原因に。
爪が四角になるようイメージして切るようにしましょう。
仕上げに、爪やすりで角になっている部分を軽く削ります。
爪を細かく切る分、角ができやすいです。
靴下や布団に引っかかったりケガをする恐れがあるため、なめらかに仕上げましょう。
また、変形した爪やボロボロの爪は、無理に切ると痛みを感じることがあります。
そのような場合は、爪やすりで削る方が安全で確実です。
方法はわかっていても、実際に利用者様の爪を切るとなると緊張しますよね。
また、爪が変形していて切るのが難しい・怖いと感じる人も多いのではないでしょうか。
そのような場合におすすめの対処法を、2つ紹介します。
「この爪を切るのはちょっと怖いな…」という場合、無理はしないことが一番。
具体的には、看護師に相談したり、他の職員に切ってもらい、その様子を観察するところからスタートするのがおすすめです。
怖がりながら爪切りされたら、利用者様も不安になりますよね。
そこで他の人が切っているところを観察すれば、学ぶ姿勢が評価され、職員・利用者様ともに今後安心して爪切りを任せられます。
周りを頼り、あせらずにスキルアップしていきましょう。
過去、爪切り関係で事故報告書(ヒヤリハット)が出ていないか、確認してみましょう。
誰がどんな時に起こった事故なのかを知ることで、そのまま自分のノウハウにすることができます。
例えば特定の利用者様に事故が多い場合、より注意を払って爪切りをしたり、看護師に相談するなど事前に対策が打てるでしょう。
事故報告書の過去データを見つけるのが難しい場合は、上司や先輩職員に聞いてみると事例が分かるかもしれません。
介護職の爪切り介助は、条件を満たしていれば医療行為にはあたりません。
利用者様の清潔を保てるよう、正しい知識で安全に爪切りができるようにしましょう。
とはいえ、変形した爪など難しいケースもあります。
くれぐれも無理はせず、怖いと感じた場合は周りに相談しましょう。
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