お役立ち情報
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深刻な人手不足の対策として政府が対策を発表したことで話題となった外国人介護士「まだウチにはいない」と思っている自分の施設でも、近い将来受け入れる時がくるかもしれません。そこで、今回は外国人介護士について在留資格や外国人でも働きやすい環境整備のポイント、外国人介護士を指導するポイントについて解説します。
外国籍の人が日本で暮らしながら働く場合に必要になるのが、「在留資格」です。
外国人が介護職として働く場合は、全部で33種類ある在留資格のうち、下記のいずれかを取得する必要があります。
まずは、外国人介護士が取得している在留資格の概要についてご紹介します。
在留資格「特定活動(EPA)」の概要は以下の通りです。
対象者 | EPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補者 |
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制度の趣旨 | 二国間の経済連携の強化 |
条件 | 介護福祉士の資格を目的としている者 (母国の看護系学校の卒業生もしくは母国政府により介護士として認定を受けている者) |
就労可能期間 | 原則4年。介護福祉士取得後に永続的な就労が可能となる。 (一定の移管中に取得できない場合は帰国しなければならないが、一定の条件を満たせば「特定技能」の在留資格に移行し最長5年間まで延長が可能) |
法人・事業所の制限 | ・特別養護老人ホーム ・介護老人保健施設 ・介護療養型医療施設(介護療養病床) ・認知症対応型共同生活介護 ・特定施設入居者生活介護 ・通所介護 ・通所リハビリテーション ・認知症対応型通所介護 ・短期入所 など ※訪問系サービスは不可(一部例外あり) |
受入に必要な対応 | 介護福祉士国家試験に合格するための研修及び研修を支援する体制の整備 |
受入調整機関の支援 | JICWELS(公益社団 国際厚生事業団)による受入れ調整・支援 |
在留資格「介護」の概要は以下の通りです。
①養成校ルート
対象者 | 介護福祉士養成校の卒業生 |
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制度の趣旨 | 専門的・技術的分野の外国人の受入れ |
条件 | 介護福祉士の資格を有する者 |
就労可能期間 | 永続的に就労が可能 |
法人・事業所の制限 | 制限なし |
受入に必要な対応 | 日本語学校、介護福祉士養成校との連携 |
受入調整機関の支援 | 雇用主の自主的な取り組みが必要 |
②実務経験ルート
対象者 | 他の在留資格からの移行者 |
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制度の趣旨 | 専門的・技術的分野の外国人の受入れ |
条件 | 介護福祉士の資格を有する者 |
就労可能期間 | 永続的に就労が可能 |
法人・事業所の制限 | 制限なし |
受入に必要な対応 | 在留資格「介護」への移行に向け、介護福祉士国家試験に合格するための在留支援体制 |
受入調整機関の支援 | 雇用主の自主的な取り組みが必要 |
在留資格「技能実習」の概要は以下の通りです。
対象者 | 技能実習制度を活用した外国人(技能実習生) |
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制度の趣旨 | 本国への技能移転 |
条件 | 介護福祉士の資格を有しないが、送出国において介護業務の経験がある者 |
就労可能期間 | 最長5年 (介護福祉士を取得すれば在留資格が「介護」に移行し永続的な就労が可能) |
法人・事業所の制限 | 設立後3年を経過した施設の中で、介護福祉士国家試験における実務経験対象の施設 (訪問系サービスを除く) |
受入に必要な対応 | ・技能実習生5名ごとに1名以上の技能実習指導員を配置(うち1名以上は介護福祉士等) ・入国時の講習(専門用語や介護の基礎) |
受入調整機関の支援 | 管理団体による受入れ調整支援 |
在留資格「特定技能」の概要は以下の通りです。
対象者 | 在留資格「特定技能1号」をもつ外国人 |
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制度の趣旨 | 人手不足対応のための一定の専門性・技能を有する外国人の受入れ |
条件 | 介護福祉士の資格を有しないが、介護技能評価試験・介護日本語評価試験に合格した者 |
就労可能期間 | 最長5年 (介護福祉士を取得すれば在留資格が「介護」に移行し永続的な就労が可能) |
法人・事業所の制限 | 介護福祉士国家試験における実務経験対象の施設 (訪問系サービスを除く) |
受入に必要な対応 | ・特定技能協議会への入会手続き ・1号特定技能外国人受入れの10の必須支援項目の遵守 |
受入調整機関の支援 | 登録支援機関によるサポート |
外国の人が日本で介護の仕事をする上で障害となるのが、言語や文化の違いです。
働く外国人が日本の生活に慣れることが大事なのはもちろんですが、受け入れる介護施設側も外国人から安心して働いてもらうために支援体制を整える必要があります。
外国人が文化の違う異国で働くということは、想像する以上にストレスがかかること。
職場に定着してもらうため、仕事がしやすい環境を整えることが重要です。
まずなぜ施設が外国人介護士を受け入れるのか、その目的を施設内で共有しなければいけません。
外国人に接する職員一人一人が目的を理解していないと、外国人労働者を支えていく協力体制を築くことが困難になるためです。
また仕事内容を教えられる側の混乱を避けるために、介護業務のマニュアルをもう一度見直して業務内容の標準化を進めましょう。
さらには、外国人労働者に日本の文化や生活習慣に慣れてもらうだけでなく、逆に外国人介護士の出身国についても知識を深めることも大切。
私たちが外国人介護士に対し日本への理解を求めるだけでなく、同じように相手の国の文化や生活習慣を理解する姿勢も大切です。
外国人労働者の中には、日本での生活環境が整わずに大変な想いをしている方もたくさんいます。
仕事で疲れた体を休めて次の出勤に向けて体調を整えてもらうためにも、生活基盤を整える支援を行うことが必要です。
例えば日常生活上の物品が足りていないときは、職員が使わなくなったものを集めて貸与したり、使用する携帯電話や家具・家電・行政上の手続きなどを手伝うと良いでしょう。
日本と外国では生活上のマナーやルールが異なります。
トイレやお風呂の使い方、公共交通機関の利用方法、ゴミ出しや騒音マナーなどについても教えておくと安心です。
慣れない国での仕事のストレスで、体調や精神面に変調をきたさないように気を配ることも必要です。
少ない収入でお金を節約するため受診を渋ったり、受診しても上手く症状を伝えられないことも考えられます。
定期的に体調確認をしたり受診の手伝いをしたりして、健康面でのサポートも忘れないようにしてください。
慣れない土地に引っ越したときは、なかなか地域に馴染めないものです。
外国人はどうしても周囲から注目されてしまうため、ますます孤立してしまいがち。
介護施設での地域との交流機会をうまく活用し、外国人介護士を紹介することで地域住民と交流するなどの機会を設け、地域住民からも理解を深めてもらう工夫をしましょう。
外国人介護士の中には、家族と共に日本で暮らしている方もいます。
対象となる介護士だけでなく、家族に対しても支援の手を差し伸べることができると、外国人介護士は安心して働くことができるでしょう。
最後に、外国人介護士を指導する上で注意したい4つのポイントをご紹介します。
外国人が安心して仕事を覚えられる環境を整えるためにも、教えるためのポイントをしっかり確認しておきましょう。
国によって違うのは、言語だけではありません。
例えば意見が異なる場合、日本では言葉を濁したり遠回しに言ったりします。
「相手から察してもらう」という考え方です。
しかし国によってはそのような「空気を読む・読んでもらう」という文化がなく、単刀直入に話すことで自分の考え方を明らかにするという考え方もあります。
国により異なるコミュニケーションの方法や国民性の違いについては、入職前にお互いが理解できるように把握しておくことが大切です。
介護業界に限らず、日本の職場で大切だとされているのは「報告・連絡・相談」だと言われています。
しかし、外国人の場合はこまめなコミュニケーションを得意としていない人や必要性を感じていない人もいます。
そのような方でも「報告・連絡・相談」の文化に馴染めるよう、話しやすい雰囲気や気軽に相談できる環境づくりに努めましょう。
また、外国人介護士の人も誰に相談すればいいのか明確になるので、担当者を明確にすることも有効です。
日本の介護施設では、仕事内容を教えるときに未だに「見て盗むように」として一から十まで説明をしない所もあります。
しかし、このような方法では外国人介護士の混乱や誤解を招くだけでなく、コミュニケーションの不足によりついていけずにドロップアウトしてしまうということにもなりかねません。
仕事内容を教えるときは、「なぜこうするのか」という理由を説明するとともに5W1Hを意識しながら丁寧に教えることを心がけましょう。
また、言葉で理解するのが難しい場合は極力簡単な内容で説明するとともに、身振り手振りや実際にやって見せることもポイントです。
指導や教育を行う際には、教えた内容を理解して自分のものになっているかをしっかりと確認することが重要です。
ただ、「分かった?」と聞くだけだと相手が萎縮し、「分からない」「難しい」というような返答がしづらくなってしまいます。
理解度を確認するためには、「教えたことを自分なりの言葉で説明してもらう」「教えたことを実際にやって見せてもらう」などの方法が有効です。
具体的に理解できているかどうか、確認するための工夫を怠らないように気を付けましょう。
ここまでは、外国人介護士の指導に関して以下のようにご紹介してきました。
●外国人介護士の在留資格は4種類あり、人によって在留期間が決められている場合がある
●外国人でも働きやすい環境整備のポイントは、「職場環境の支援」「生活基盤の支援」「地域で暮らすための支援」の3つ
●外国人介護士を指導するポイントは、「コミュニケーション方法の確認」「話しやすい雰囲気作り」「分かりやすく明確に」「理解度を丁寧に確認」の4つ
これらの情報が、少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
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