お役立ち情報
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昨今、介護施設側が介護職に対し個人目標の提出を求めることが増えてきています。何を目標にしたらいいか分からなかったり、会社からの評価に影響するのではないかと悩んだりして困っている介護職の方も多いのではないでしょうか。今回は、個人目標の立て方について具体例を交えて徹底解説していきます。
■目次
介護職が施設側から個人目標の設定と提出を求められる理由は、大きく分けると以下の3つがあります。
介護職が個人目標の設定や提出を求められる理由の1つめは、自分の課題や苦手なことを理解できるためです。
目標を立てるためには、今自分が悩んでいること・困っていること・改善したいと思っていることなどについて考える必要があります。
まず今の現状を把握する手順を踏むことが大切で、自分自身を客観的に見つめ直すことによって自分の課題や苦手なことを理解し、改善につながっていくのです。
具体的に目標を立てて業務に当たったり勉強をしたりすることで、介護職としてのスキルがアップします。
ただ漫然と日々の仕事をしているとやる気までなくなってしまいます。
明確な目標があればモチベーションも維持できるため、自己研鑽の励みとなるでしょう。
職員一人一人が立てた目標を確認することで、どの程度自分自身のことを客観的に見つめることができているか評価します。
また、立てた目標に対してどのように頑張っているかを観察し、結果的に達成できたかどうかを人事考課の指標としているのです。
介護職は、頑張れば頑張った分だけキャリアアップに結び付く仕事です。
経営者側に自分の頑張りをアピールし、適切に評価してもらうためにも目標設定は明確に行いましょう。
では、個人目標は具体的にどうやって立てればいいのでしょうか?
設定する上でポイントになるのが、以下の3点です。
介護職の個人目標を設定するときの1つめのポイントは、目標期間を明らかにすることです。
具体的にいつまで何をするかを明確にすることで、どうすれば目標が実現するのかが整理できるようになります。
具体例は、以下の通りです。
年間目標 | 要介護5の方の車椅子への移乗介助を1人でできるようになりたい |
---|---|
前期短期目標(4~9月) | ボディメカニクスの基礎を身に付ける |
後期短期目標(10~3月) | ボディメカニクスを活かした移乗介助を実践し定着させる |
目標期間の設定の仕方で特におすすめなのが、ケアプランや個別支援計画の期間設定の手順を参考にする方法。
いわゆる「ラージステップとスモールステップ」と言われる考え方です。
目標に対して「半年で〇〇までできるようになる」「残り半年で▢▢までを実現する」と、段階的に目標を設定することによって実現可能性を明確にできるでしょう。
介護職の個人目標を設定するときの2つめのポイントは、達成可能な目標にすることです。
通常、目標は年度単位で設定します。
例えば新人の介護職員が「来年度まで介護主任になる!」という目標を立てたとしても現実的ではありません。
無理がある目標を施設に提出しても、「自己覚知ができていない」と判断されて逆効果になってしまいます。
それよりも、「○○の資格を取得する」といったように努力すれば実際に達成できそうな目標を立てることがポイントになります。
介護職の個人目標を設定するときの3つめのポイントは、成否を客観的に判断できる目標にすることです。
達成できたかどうか判断が明確にできない内容の目標では、施設側も評価ができません。
例えば、「半年で利用者を増やす」だけでは具体的な数値目標が分からないため、実際に目標を達成できたかどうか判断に困ります。
具体的に「登録者を○人獲得する」「稼働率を○%まで上げる」など数字で目標設定することがおすすめです。
実際に介護職が個人目標を立てるときは、業務経験や仕事の習熟度に応じた内容で立案する必要があります。
この章では、新人・中堅・ベテランに分けて個人目標の具体例についてご紹介します。
ここでは、新人の介護職員を【新人〜実務経験3年の者】と定義します。
仕事で失敗しても怒られない・分からないことがあったら聞くことができることが新人職員の特権です。
教わったことは素直に受け止め、慣れないことにも積極的にチャレンジする姿勢を大切にしましょう。
【新人介護職が身に付けるべきスキル】
●基本的なボディメカニクスの知識
●認知症対応の基礎的な知識
●疾病ごとの特性に関する知識
●上司からの指示に従って着実に業務をこなす力
【新人介護職が取得すべき資格】
●認知症介護基礎研修(2024年から、無資格の介護職に受講義務が発生する)
●介護職員初任者研修
●介護福祉士実務者研修
●福祉住環境コーディネーター2級・3級
●福祉用具専門相談員
【新人介護職員の個人目標の具体例】
●〇月までに介護職員初任者研修(実務者研修)を取得する
●オムツ交換後に横漏れを起こさないように上手く装着できるようになる
●〇月までに、▢▢様の介助をひとりでできるようになる
●〇月までに、フロア全員の顔と名前を覚えて失礼のないようにする
●〇月までに、シフト毎の業務手順を把握してマニュアルなしでも動けるようにする
ここでは、中堅介護職員を【実務経験4年〜9年の者】と定義します。
実務経験が3年を超えると介護福祉士の受験が視野に入るため、次の段階へと成長することが期待されるようになります。
さらには介護福祉士取得後更に5年の経験を積むことで介護支援専門員の試験を受けられるようになるため、キャリアアップの方向性が定まってくる時期です。
現場では新人職員の手本となり、分からないことを尋ねられるようにもなります。
業務内容をしっかり理解して正しい情報を伝えられるようになりましょう。
【中堅介護職が身に付けるべきスキル】
●ボディメカニクスを応用した介護技術
●認知症介護の実践的な知識
●疾病ごとの特性に応じた介護技法
●上司の指示を待たずに行動できる習熟度
【中堅介護職が取得すべき資格】
●介護福祉士
●社会福祉主事
●介護支援専門員
●喀痰吸引等研修(2016年度以前に介護福祉士に合格した者)
●認知症介護実践者研修
【中堅介護職の個人目標の具体例】
●介護福祉士を取得する
●喀痰吸引等研修を受講し、医療的ケアができるようになる
●腰痛予防と利用者に不安を与えないケアのため、ボディメカニクスを活用した身体介護を実践する
●入浴拒否をする〇〇さんの対応を工夫し、成功率80%達成を目指す
●生活相談員に職種変更したいため、社会福祉主事の資格を取得する
ここでは、ベテラン介護職を【実務経験10年以上の者】と定義します。
ベテランの介護職になると主任などの役職を任されるようになったり、新人職員の指導係になったりします。
直接身体介護に当たるだけでなく、サービスの質の向上や業務改善などの施設運営に関わる業務も期待されるようになります。
個人的な目標の中にも施設全体の底上げを図る目標設定が求められます。
【ベテラン介護職が身に付けるべきスキル】
●他の職員に指導できる知識と介護技術
●他職種間・家族や外部との連絡調整能力
●施設全体を俯瞰して客観的に対応できる判断力
●業務改善やサービスの質の向上に資する提案・発想力
【ベテラン介護職が取得すべき資格】
●認定介護福祉士
●社会福祉士
●認知症介護実践リーダー研修
●認知症対応型サービス事業管理者研修
●小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修
●主任介護支援専門員 ※
※主任介護支援専門員を取得するための条件のひとつに「専従ケアマネとしての実務経験が5年必要」という項目がある。対象となる介護職は極めて少ないため注意。
【ベテラン介護職の個人目標の具体例】
●労働環境や指導方法を見直すことで、3年以内離職率を〇%まで下げる
●介護技術の指導や業務内容の見直しにより、腰痛などの労災認定件数を〇件まで下げる
●〇月まで稼働率を▢%に向上させる
●他職員の模範となり指導力を高めるため、認知症介護実践リーダー研修や認定介護福祉士を取得する
ここまでは、介護職の個人目標について以下の情報をご紹介してきました。
●個人目標を設定することで、「自己覚知」「スキルアップ」を図り人事考課の参考とする
●個人目標を立てるときのポイントは、「目標期間の明確に」「達成可能な目標にする」「成否を客観的に判断できる内容にする」の3つ
●新人介護職の個人目標は、基本的な介護技術・知識の定着を主眼において設定する
●中堅介護職の個人目標は、介護技術・知識の応用やキャリアアップを念頭に置いた内容にする
●ベテラン介護職の個人目標は、施設全体のサービスの質を底上げや、より専門的な知識・技術の醸成を目指す内容にする
これらの情報が、少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
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