介護施設の特定施設とは?特定施設の特徴やサービス内容を解説

更新日:

介護施設には行政から「特定施設」と認められている施設があります。特定施設とは、厚生労働省が定める「人員配置」「設備基準」「運営基準」の3つの基準を満たしていると都道府県知事から事業指定を受けた施設です。本記事では特定施設のサービス内容や入居するメリット・デメリットをご紹介します。

介護施設の「特定施設」とは?

特定施設とは、厚生労働省が定める「人員配置」「設備基準」「運営基準」の3つの基準を満たしていると都道府県が認めた介護施設のことです。

特定施設と呼ばれている介護施設は、利用者に対して介護保険法に基づいた安全なサービスを提供しているという意味でもあります。

特定施設のサービス内容は?

介護相談 ・施設専属ケアマネジャーによるケアプラン作成
・要介護認定申請や介護認定区分変更の手続き代行
・立ち合い
身体介護 ・食事、入浴、排泄などの身体介助
・レクリエーションや体操の参加促進
社会生活の促進 ・ボランティア団体や地域との交流の促進
・保育園や幼稚園、学校との交流の促進
リハビリ ・機能訓練指導員(理学療法士、柔道整復師など)による身体機能の向上を目的としたリハビリテーションの実施

特定施設の対象となる施設形態

特定施設の対象となる施設形態は、以下の4つです。

特別養護老人ホーム
 介護付き有料老人ホーム
 サービス付き高齢者向け住宅
 ケアハウス(軽費老人ホーム)

有料老人ホームは特定施設の認可を受けていない場合、施設のパンフレットやホームページなどで「介護付き」と名乗ることができません

特定施設の認可を受けていない有料老人ホームは、「有料老人ホーム」や「住宅型有料老人ホーム」という名称で運営しています。

特定施設にも種類がある?

特定施設は介護サービスを提供する対象者によって正式名称が異なります。

要介護者への介護サービス提供を行っている→「特定施設入居者生活介護
要支援者への介護サービス提供を行っている→「介護予防特定施設入居者生活介護

正式名称は異なりますが、どちらも特定施設として介護が必要な高齢者に対して介護保険サービスの提供を行っていることが特徴です。

また、特定施設の指定種別と入居対象者はさらに細かく分類されています。

特定施設の指定種別入居対象者
特定施設入居者生活介護(介護専用型) 要介護1~5の方
特定施設入居者生活介護(混合型) 自立・要支援1~2・要介護1~5の方
地域密着型特定施設入居者生活介護 施設と同じ市区町村に住民票がある要介護1以上の方
介護予防特定施設入居者生活介護 要支援1~2の方

特定施設の人員配置基準

特定施設では、利用者の介護に携わる職員の人員配置基準が定められています

特定施設の認可を受けていない有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、事業所が委託している外部の訪問介護事業所が介護サービスを提供します。

そのため、特定施設では施設専従の介護職員から24時間体制での手厚い介護サービスが受けられるという利点があることが特徴です。

特定施設に従事する職員の「職種」と「配置基準」

特定施設では、以下の表に記載してある人員配置基準か遵守されています。

しかし、特定施設の中には人員配置基準を上回る手厚い人員配置の施設も。
基準より多い人員配置の場合、人件費が上乗せされる可能性があるため要注意です。

介護費用や人件費加算については、各施設に確認するようにしましょう。

職種配置基準
管理者 専従1名
(管理上の支障がない場合、同一施設内での兼務可)
介護計画作成担当者(ケアマネジャー) 入居者:介護計画作成担当者=100名:専従1名以上
(管理上の支障がない場合、同一施設内での兼務可)
生活相談員 入居者:生活相談員=100名:常勤1名以上
介護職員 入居者:介護職員=3名:常勤1名以上

<入居者が要支援1の場合>
入居者:介護職員=10名:常勤1名以上
看護職員 <入居者が30名以下の場合>
入居者:看護職員=30:常勤1名以上

<入居者が31名以上の場合>
入居者50名ごとに看護職員常勤1名
機能訓練指導員 1名以上(多職種と兼務可)
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・柔道整復師・あんまマッサージ指圧師・看護師・准看護師・はり師・灸師のいずれかの国家資格を持つ者であること

特定施設の設備・運営基準

特定施設では職員の人員配置だけでなく、厚生労働省が定める施設の「設備基準」や「運営基準」を遵守していることも大前提です。

特定施設の「設備基準」

施設設備とは、利用者が安心・安全な生活をする上で必要とする設備のことです。

車椅子を使用していても自由に身動きがとれる居室面積であるか、居室やフロアの近くにトイレや洗面台が設置されているかなどが項目として挙げられます。

利用者のプライバシー確保のため、大部屋から個室への入れ替わりが進んでいる介護施設では特に、設備基準が遵守されているかチェックされています。

必要設備条件
利用者個人の居室 ・個室または4人以下の多床室であること
・仕切り壁やカーテンがあり、プライバシーが保護できていること
・介護を行うための十分な広さがあること
施設全体 ・車椅子でも自由に移動や身動きがとれる十分な広さがあること
・地階でなく、緊急時に避難できること
浴室 ・身体が不自由かつ介護を必要とする高齢者が安全に入浴するのに適した浴室であること
トイレ ・利用者個人の居室やフロアがある階ごとにトイレが設置されていること
・緊急用、非常用のナースコールの設備があること
食堂 ・身体が不自由かつ介護を必要とする高齢者が安全に食事や身動きがとれる広さであること
機能訓練室 ・マッサージやリハビリなどの機能訓練が十分に行える広さであること

特定施設の「運営基準」

特定施設の入居契約時は、契約担当者から施設の運営基準についての説明を受けます。

施設の運営基準やサービス内容に同意した上で、入居契約を行う仕組みです。

特定施設の「運営基準」には、利用者へ提供される介護サービスの内容はもちろん、苦情窓口の設置についてや介護記録の取り扱いについても含まれています。

以下に、特定施設の運営基準の具体的な内容をご紹介します。

利用者一人ひとりに合わせた介護サービス計画(ケアプラン)の作成を行う
 利用者の入居契約時には、重要事項説明書を交付して事前説明を行う
 利用者の入居契約時は、重要事項説明書の説明と同意を経て、書面で契約を締結する
 1人での自立した入浴が困難な利用者に、週2回以上の入浴または清拭を行う
 介護職員の技能スキル向上のため、研修や教育の機会を確保する
 利用者に提供した介護サービスの内容を詳細に介護記録に記載する
 苦情窓口を設置し、利用者及びご家族の苦情に迅速かつ適切に対応する

特定施設に入居するメリット・デメリット

特定施設では介護が必要な利用者に、24時間体制で手厚く介護サービスを提供します。

しかし、サービス付き高齢者向け住宅に入居されている介護度非該当の自立した方や、要支援者は手厚い介護サービスが不要です。

自立者や要支援者の場合、特定施設以外の施設や外部サービスを利用した方が介護費を安く抑えられるケースもあります。

まずは特定施設のメリット・デメリットを理解し、介護サービスの利用検討者やご家族の介護ニーズと合致しているかを確認しましょう。

特定施設に入居するメリット

介護職員や看護職員が24時間常駐しており、容態急変時や緊急時も安心できる

定められている人員配置またはそれを上回る職員が常駐しており、手厚く介護サービスが受けられる

介護費用の自己負担が毎月定額で費用の変動がない

特定施設に入居するデメリット

介護費用が定額のため、介護がほぼ必要ない人にとっては高額となるケースがある

介護が必要ない自立した人の場合、住宅型の施設の方が自分のペースで過ごせる

特定施設入居後は、以前利用していたデイサービスやデイケアなどが利用できない

まとめ

特定施設では、施設専従の職員が24時間体制で利用者のケアプラン作成や身体的介助、リハビリテーションなどの手厚い介護サービスを提供しています。

しかし、自立者や要支援者にとっては、特定施設の手厚い介護サービスが不要な場合も。

介護サービスの利用検討者やご家族の介護ニーズに沿ったご提案ができる用、特定施設の特徴をよく理解しましょう。

職場の選び方に迷ったら【介護求人ラボ】

【介護求人ラボ】では専門のアドバイザーがあなたの希望に合った求人をご提案いたします。職場選びに迷った際はぜひ【介護求人ラボ】へご相談ください!入職までしっかりとサポートさせていただきます。

お電話で無料お問い合わせ 簡単!WEBで無料お問い合せ

 

介護系ハイキャリア転職なら【介護求人ラボ+】

介護求人ラボ+(介護求人ラボ プラス)は、介護系管理職(管理者・施設長)限定のハイキャリア向け転職サービス。ハイキャリア専門のアドバイザーが、次のステージに挑戦するサポートを提供いたします。「自分の市場価値が知りたい」「現状のキャリアで管理職は可能か?」などの相談からでもOK!まずはお気軽にお問い合せください。

【完全無料】60秒で簡単登録!


Instagram
Twitterにてお役立ち情報更新中!
フォロー・いいね・コメントよろしくお願いします♪