お役立ち情報
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介護士であれば一度は耳にする「老人性円背(えんぱい)」のこと。老人性円背は肩や背中、腰などの脊椎が大きく曲がって猫背になっている状態です。進行することで歩行や姿勢保持が困難になるため、悪化・進行させないために、介護士が適切なポジショニングケアを行う必要があります。本記事では、介護士にできる老人性円背のケアや対応についてご紹介します。
■目次
老人性円背(えんぱい)とは、高齢者の脊椎が大きく変形し固まっている状態のこと。
女性の方が発症率が高く、よく「腰が曲がっている」という表現をされます。
普段の生活で痛みが生じることはありませんが、脊椎に負担がかかる姿勢をとると強く痛んだり、症状が進行してしまったりということも。
老人性円背が進行すると、「仰向けになれず、左右への寝返りが難しい」「顔が下向きになり、前が見えにくい」といった支障が生じてしまいます。
老人性円背の原因には、以下のようなものが挙げられます。
脊椎や椎間板の変形や骨粗鬆症、胸椎・腰椎圧迫骨折が生じ、適切な治療を行わずに放置していると脊椎が潰れた状態で固まってしまいます。
特に、骨粗鬆症は本人が気づかない間に骨折を起こしている場合も。
円背や骨粗鬆症を予防するためには、日光に当たりながらウォーキングを行うことや、食事でカルシウムやビタミンDを補うことが大切です。
日中、高齢者の方が生活を送る上で1番とることが多い姿勢は、座位姿勢です。
椅子や車椅子に座ってテレビを見たり、お茶を飲んだり…円背の方が安楽に日常生活を送るためには、まず座位姿勢を整えることが重要です。
円背の方は脊椎が湾曲しているため、姿勢が不安定。
つま先からかかとまで、足底をしっかり床につけることで姿勢が安定します。
足底が床についていない場合は台座を使用しましょう。
足底が床につき、姿勢が安定することで食事も摂りやすくなります。
円背の方は頭が下向きになっているため、前が見えにくくなります。
頭を無理のない範囲で後ろへゆっくり倒し、少し浅座りになるように姿勢を整えましょう。
脊椎の湾曲により、椅子や車椅子の背もたれ部分に隙間が生じやすくなります。
小さめのクッションや折りたたんだタオルを背もたれ部分と腰の間に挟みましょう。
身体と椅子の隙間を埋めることで、姿勢が安定し、筋肉への負荷が軽減できます。
円背の方は食事や寝返り、立ち上がりなどの日常生活動作にも配慮が必要です。
脊椎が湾曲していることによる動作の制限や姿勢の不安定さなど、日常生活に制限があるからこそ、円背の方を支える介護士には介護知識が欠かせません。
円背がある方は頭が下向きになっているため、飲み込みにくさや誤嚥のリスクがあります。
そのため、食事介助を行う際は、以下のような配慮をしましょう。
円背がある方は脊椎の湾曲により、仰向けの姿勢で寝ると背中に強い痛みが生じます。
そのため、寝返り介助・体位交換を行う際は、以下のような配慮をしましょう。
円背がある方は頭が下向きになっているため、前傾姿勢のまま前に倒れる恐れがあります。
そのため、食事介助を行う際は、以下のような配慮をしましょう。
現在使用している杖やシルバーカー、車椅子などの福祉用具が本人の体型に合っていない場合、円背が進行してしまうリスクがあります。
福祉用具の専門家に相談し、体型や円背の状態に合った福祉用具を選びましょう。
円背の方の杖選びで確認するポイントは、以下の通りです。
杖選びで重要なのは、杖の高さ。
上記のポイントを確認して選ぶことで、杖をつく時の安定性が高まります。
杖の高さが低すぎる場合、円背が進行してしまうリスクが生じます。
円背の方のシルバーカー・歩行器選びで確認するポイントは以下の通りです。
シルバーカー・歩行器選びで重要なのは本人の立位や歩行の状態。
シルバーカーにはキャスターが付いており、歩行器にはキャスターが付いていません。
そのため、歩行状態や立位が不安定な円背の方がキャスター付きのシルバーカーを使用すると、前傾姿勢や円背が悪化するリスクがあります。
円背の方の車椅子選びで確認するポイントは、以下の通りです
車椅子選びで重要なのは、車椅子が体型に合わせて調節できるかどうかです。
円背の方にオススメなのは、モジュールタイプの車椅子。
背中や腰の形状に合わせて車椅子の座面や背もたれが調節でき、車椅子からのズレ落ち予防や褥瘡(じょくそう)の予防効果も期待できます。
円背の方がベッド上で過ごす際には、特に配慮が必要になります。
間違ったケアを行うことで、苦痛や褥瘡が生じてしまうことも。
円背の方の臥床介助を行う際、介護士が注意するポイントは以下の3つです。
円背の方がリクライニングベッドを使用する際、車椅子への移乗介助やベッド上での水分補給のため、ベッドの頭部をギャッジアップすることがあります。
しかし30度以上のギャッジアップを行うと、腹部に強い負荷がかかってしまいます。
また骨粗鬆症の方の場合、30度のギャッジアップで圧迫骨折を起こすことも。
移乗介助やベッド上の水分補給でギャッジアップが必要になった場合でも、30度以下のギャッジアップで介助を行うようにしましょう。
円背がある方は、背中や腰に湾曲した脊椎が突き出た状態になっています。
そのためマットレスに脊椎が沈み込みやすく、褥瘡のリスクが高い状態です。
円背の方がベッドで休む際には、必ず圧抜きを行いましょう。
圧抜きとは、介助者の腕を高齢者の背や腰に入れ込み、圧迫感を緩和すること。
圧抜きを行うことで、背や腰などの一点に集中していた圧が抜け、褥瘡(じょくそう)予防に繋がります。
円背の方の圧抜きを行う際は、圧抜き用のマルチグローブの使用をオススメします。
円背の方に柔らかいマットレスやエアマットを使用すると、脊椎の突き出た部分が「く」の字状に沈み込んでしまいます。
円背の進行につながってしまうため、身体が沈み込むような柔らかいマットレスやエアマットの使用は避けるようにしましょう。
また、褥瘡予防や褥瘡ケアが必要になった際は、身体とマットレスの隙間を柔らかいクッションで埋めることをオススメします。
老人性円背には骨粗鬆症や圧迫骨折など、さまざまな背景要因があります。
円背の方のケアを行う際は、まず円背を引き起こす原因となった既往症を確認しましょう。
またその方の身体状態や関節可動域を確認しながら、介助を行うことが大切です。
無理のない範囲でポジショニングを行いながら、安楽な姿勢を見つけていきましょう。
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