介護施設でできる冬の寒さ対策|冷えが高齢者にもたらす影響とは

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介護施設で冬に気を付けたい寒さ対策。冬の寒さは高齢の利用者様にとって危険なものであり、寒さが原因でさまざまな体調不良を引き起こしてしまうことも。今回は、介護施設でできる寒さ対策について解説します。

寒さが高齢者に与える影響

高齢になると体温調整機能が衰え、周りの気温に影響されやすくなります。

そのため、寒さによる冷えやヒートショックを起こしやすい状態になるのです。

介護施設では利用者様が寒さにより体調を崩されないよう、しっかりと対策を行う必要があります。

まずは、寒さが高齢者に与える影響を知り、冬の寒さの危険さについて再認識しましょう。

低体温症

低体温症とは、身体の深部体温が35℃を下回った状態にあること。

高齢者が低体温症になると、けいれんや意識障害を起こし、最悪の場合死に至ることもあります。

長時間寒い場所にいることで引き起こされることが多いため、利用者様が過ごす環境の室温管理に注意が必要です。

感染症

冬はインフルエンザをはじめとしたさまざまな感染症が流行します。

ウイルスは15℃以下の低温の環境を好み、さらに湿度が40%以下の乾燥した空気中では生存期間が長くなります

そのため、寒く乾燥した場所は感染症のリスクが高くなってしまうのです。

施設内の室温は22~26℃程度、湿度は50~60%程度を保つようにしましょう。

>>>あわせて読みたい「【介護士必見】介護施設で冬に気を付けたい感染症や健康トラブル」

皮膚の乾燥トラブル

高齢になると皮脂の分泌量が減り、皮膚のバリア機能が低下してしまうことから、外部からの刺激を受けやすくなります。

皮膚が乾燥したり炎症を起こすなど、冬の乾燥した環境ではさまざま皮膚トラブルが起こりやすくなるのです。

乾燥した皮膚は傷つきやすかったり細菌に感染しやすくなるため、乾燥を未然に防ぐための対策が必要です。

>>>あわせて読みたい「介護士が気を付けたい高齢者の皮膚トラブル…スキンケア方法は?」

脱水症

夏に注意したい脱水症ですが、実は冬場でも気を付けたい症状。

高齢になると喉の渇きを感じづらくなるだけでなく、冬場は寒さで水分補給を積極的に行わなくなってしまうことから、脱水症に陥ってしまう利用者様も少なくありません。

また冬場の乾燥した環境では、皮膚や粘膜など身体の水分まで失ってしまうため、より脱水症のリスクが高まってしまうのです。

>>>あわせて読みたい「高齢者が気を付けたい脱水症とは?症状や介護現場でやるべき対策」

血行が悪くなる

冬の寒い環境では血液の巡りが悪くなり、血行不良を起こしやすくなります。

血行が悪くなると肩や腰、膝の関節が痛んだり、頭痛やむくみ、自律神経の乱れなどを引き起こしてしまいます。

また血行不良は身体の末端の冷えにもつながるため、冬場は血行が良くなるような取り組みが大切です。

【設備編】介護施設でできる寒さ対策

介護施設でできる寒さ対策において、施設の設備面からできることについて解説します。

施設面での寒さ対策におけるポイントは、寒さがどこからきているのかを把握するということ。

窓や扉、床など、寒さが発生している場所を特定することで、直接的な対策を講じることができるでしょう。

暖房器具の設置

施設内の室温を適切に保つために、暖房器具の設置を行います。

利用者様が過ごす場所には常設されていることがほとんどですが、トイレや脱衣所には設置されていないことが多いです。

トイレや脱衣所の室温が周りに比べて低すぎるとヒートショックの原因にもなるため、寒さを感じるけど暖房器具がない場所には、積極的に設置しましょう。

小型のヒーターやホットカーペットなどがおすすめです。

断熱シートの貼り付け

窓からの冷気が原因で寒さを感じる場合は、窓に断熱シートを貼り付けることがおすすめです。

窓にシートを貼るだけの簡単な作業で、リフォーム工事の必要もありません。

また種類によっては目隠し効果があるものもあるため、外から施設内が見えることに抵抗がある場合でも活用できるでしょう。

 

隙間テープの貼り付け

窓や扉のすきま風によって寒さを感じる場合は、隙間テープの貼り付けがおすすめです。

窓や扉が老朽化している場合、わずかな隙間から風が入り込み、部屋が寒くなる原因になります。

これらの隙間をテープで閉じてしまうことで、寒さの原因を解決させることができるでしょう。

厚手のカーテンに取り替える

カーテンを厚手のものに変えるだけでも、十分な暖房効果を得ることができるでしょう。

またカーテンのついていない窓は外からの冷気を取り込みやすいため、カーテンを取り付けるだけでも効果が期待できます。

カーテンは窓より大きすぎると隙間ができてしまい、小さすぎると冷気をカバーしきれないため、適切な大きさのものを選ぶようにしましょう。

カーペットを敷く

床の底冷えが寒さの原因となっている場合は、カーペットやラグを敷いてみましょう。

足元から冷気が上がってくるのを防ぐことができます。

また現在カーペットを敷いているのに底冷えする、といった場合は、今より厚手のカーペットやホットカーペットの活用がおすすめ。

他にも、カーペットの下に敷く断熱マットを使用してみてもいいでしょう。

加湿をする

冬の介護施設内の環境は、室温だけでなく湿度も重要です。

先述した通り、湿度が40%以下の環境ではウイルスが活発になり、感染症のリスクが高まります。

また湿度を上げることは、体が暖かさを感じることにもつながります。

暖房をつける際は、同時に加湿器も稼働させるようにしましょう。

2段階換気や換気扇で換気

新型コロナウイルスの対策として定期的な換気が必要とされていますが、窓を開けて外の空気を取り込むことで寒さを感じてしまうことは否めません。

利用者様にできるだけ寒さを感じさせずに施設内を換気させるには、2段階換気や換気扇の活用がおすすめです。

2段階換気は、以下の方法で実施します。

誰もいない廊下などの窓を開け、外気を取り込む
外気を施設内の室温で少しあたためてから、部屋の中に外気を入れて換気する

【ケア編】介護施設でできる寒さ対策

介護職員によるケアの面でできる寒さ対策について解説します。

適度に運動レクを取り入れる

冬の寒さで外出する機会も減り、運動不足になっている利用者様も少なくありません。

運動不足になると血行不良で冷えの原因になったり、体調不良を引き起こすことも。

運動することで血行を促進させ、冷えを防止できるだけでなく筋肉量を増やすことにもつながります。



防寒着を工夫する

利用者様の身体が冷えるのを防ぐには、防寒着を工夫することも大事。

寒さを感じる方にはいつもより厚手の服やネックウォーマー、アームウォーマーなどの防寒着、ひざ掛けなどで冷えを防ぎます。

身体に触れたときに冷たいと感じた場合は、介護職員のほうから積極的に防寒着を勧めましょう。

>>>あわせて読みたい「介護士におすすめの冬の服装とは?仕事着でもできる寒さ対策」

あたたかい飲み物の提供

お茶や紅茶などのあたたかい飲み物を提供することは、寒さ対策になるだけでなく脱水症対策にもなります。

身体の内側からあたためることができるため、送迎で外から入ってきた後などにおすすめ。

利用者様がやけどしないように、温度調節には気を付けましょう

入浴や足浴で血行促進する

入浴や足浴で身体をじっくりあたためることは、血行の促進につながります

またリラックス効果を得ることもできるため、緊張した筋肉をほぐし、関節痛を和らげる効果も。

冬場の入浴介助は、身体の芯からあたたまってもらうように、少し余裕を持って入浴してもらいましょう。

>>>あわせて読みたい「入浴介助の注意点とは?安全・快適なケアのためのポイントを解説」
>>>あわせて読みたい「介護士が行う足浴(そくよく)とは?効果や手順、注意点を解説」

まとめ

冬の寒さは高齢の利用者様にとって危険なもの。

冷えが原因でさまざまな体調不良を引き起こす可能性があります。

そのため介護施設では、設備面とケアの面両方から寒さ対策を行うことが大切です。

本記事を参考に、寒い冬もあたたかく過ごしましょう。
 

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