【介護士必見】介護施設で冬に気を付けたい感染症や健康トラブル

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高齢の利用者様が集まる介護施設では、冬に流行りやすい感染症対策が必須です。寒くなると気温や湿度の関係から感染症が流行りやすいだけでなく、なかには高齢者が感染すると重症化リスクがあるものも。今回は冬に介護施設で感染症が流行りやすい理由や主な感染症、感染症以外の冬の健康トラブルや対策方法について解説します。

冬に介護施設で感染症が流行りやすいのは何故?

寒い冬は、介護施設で感染症が流行りやすくなってしまいます。

冬に感染症が流行する理由には、以下の点が挙げられます。

空気が乾燥している

ウイルスの種類にもよりますが、湿度が40%以下の乾燥した空気中では、ウイルスの生存期間が長くなります

またウイルスが空中に浮遊しやすく、感染症に罹患する人が増えてしまうのです。

さらに空気が乾燥すると咳やくしゃみの飛沫が小さくなり、より遠くまで飛んでウイルスが伝播しやすくなります。

感染症を防ぐためには、50~60%程度の湿度が必要です。

気温が低い

ウイルスは15℃以下の低温の環境を好むため、気温の低い冬には活動が活発になります。

そのため夏季よりもウイルスの生存期間が長く、感染症が流行りやすくなるのです。

外気だけでなく施設内の室温にも気を遣い、22~26℃程度の室温を保つようにしましょう。

免疫力が落ちる

空気が乾燥し気温が下がることは、人の免疫力の低下にもつながります。

人は体温が1℃下がると免疫力が30%下がるといわれており、体の冷えやすい冬は感染症に罹患しやすい状態になるのです。

また寒い冬は水分摂取量が下がることから、体内でウイルスを排出する機能が鈍くなり、ウイルスを容易に侵入させてしまうことも理由として挙げられます。

冬に介護施設で流行りやすい感染症

冬に介護施設で流行りやすい感染症について解説します。

どのような感染症が流行りやすいかを把握し、施設内での流行を未然に防ぐ取り組みを行いましょう。

インフルエンザ

冬に流行する感染症として最もよく耳にするインフルエンザ。
インフルエンザウイルスの飛沫を吸い込んだり、ウイルスが付着した場所に触れることで感染します。
感染力が強く、施設内で一人が感染するとたちまち周囲に伝染しやすいという点も特徴です。

<主な症状>
発熱(38℃以上の高熱)、悪寒、全身倦怠感、のどの痛み、鼻水、せき、関節痛など

ノロウイルス(感染性胃腸炎)

冬の感染性胃腸炎の主な原因であるノロウイルス。
ウイルスを持っている貝類を生あるいは十分に加熱しない状態で食べると感染するだけでなく、人から人への飛沫感染や接触感染も発生します。
非常に強力なウイルスで、高齢者が罹患すると重篤化し緊急搬送や入院に至ることもあります

<主な症状>
腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、発熱など

細菌性肺炎

細菌性肺炎はインフルエンザの合併症として発症しやすく、高齢者は特にその確率が高くなります。
インフルエンザのように空気感染しやすいだけでなく、口内に蓄積された細菌や微生物が肺に侵入することで感染することもあります。
そのため、日頃から口腔ケアを行うことが重要です。

<主な症状>
発熱、せき、たん、息切れ、全身倦怠感など

溶連菌感染症

溶連菌感染症は、溶血連鎖球菌と呼ばれるウイルスによる感染が原因で発症します。
子どもに多くみられる感染症ですが、高齢者が感染する可能性も否定できません
のどが腫れて痛くなる急性咽頭炎を引き起こしやすく、治療には抗生物質の内服が必要です。

<主な症状>
発熱、のどの痛み、いちご舌、手足の発疹など

RSウイルス感染症

RSウイルス感染症は2~3歳までのほぼ100%の子どもが罹患するといわれており、大人は抗体があることから感染例がほとんどありません。
しかし免疫力が低下した高齢者は感染リスクがあり、RSウイルス感染症により重症化した例は大半が高齢者であるというデータも。
またRSウイルスへの感染が介護施設の高齢者の入院と死亡を増加させていたとの報告もあるほど、軽視できない感染症です。
出典:国立感染症研究所|高齢者のRSウイルス感染

<主な症状>
発熱、鼻水、せきなど

新型コロナウイルス

ここ数年全世界で猛威をふるう新型コロナウイルス。
日々報道されていることから周知の人も多いように、高齢者が感染すると重症化するリスクの高い感染症です。
介護施設によるクラスター発生例も多く、施設全体で感染症対策に取り組む必要があります。

<主な症状>
発熱、悪寒、鼻水、せき、のどの痛み、息苦しさ、味覚障害、全身倦怠感など

冬に介護施設で気を付けたい健康トラブル

感染症の他にも、冬は介護施設で気を付けたい健康トラブルがいくつかあります。

低体温症

低体温症とは、体の深部体温が35℃以下になった状態のことを指します。

低体温症になると体の震えや意識障害などの症状が起こります。

さらに重症化すると呼吸困難や致死性不整脈に陥り、最悪の場合死に至ることも。

高齢者は体温調節機能や筋肉量が低下することから、低体温症のリスクが高くなります。

<介護士がチェックすべき低体温症の前兆>

体が激しく震えている

顔が蒼白い

会話がおかしいなど意識レベルの変化がある

そもそもの体温が低い

指先や頬に触れると冷たい

脱水症

夏によく起こるイメージのある脱水症ですが、実は冬場も要注意。

冬は発汗が少なく気温が低いことから、無意識のうちに水分を摂取する量が減ってしまい、その結果脱水症に陥ってしまうというケースは決してめずらしくありません。

高齢者はのどの渇きに気付きにくく、自ら水分を摂取しなくなってしまうこともあるため、冬場は介護士が水分補給の管理を行うことも大切です。

ヒートショック

ヒートショックとは、気温差の激しい場所を行き来することで血圧が激しく変動し、体に不調が現れること。

主な症状としてはめまいや失神、心筋梗塞、脳梗塞などが挙げられます。

主に浴室やトイレで発生しやすいため、脱衣所やトイレにヒーターを設置する、脱衣所では1枚羽織るなどの対策が求められます。

>>>あわせて読みたい「【介護士必見】寒さで引き起こされる健康上のリスクと対策を解説」

低温やけど

低温やけどとは、やや熱いものに長時間触れていることで起こる低い温度のやけど。

介護施設における低温やけどは、カイロや湯たんぽなどが原因として発生します。

特に寝返りがご自身でできない利用者様など、長時間同じ場所にカイロや湯たんぽが触れていないかチェックしましょう。

介護施設で冬を健康的に過ごすポイント

介護施設で冬を健康的に過ごすためには、施設でどのようなことができるでしょうか。

手洗い・うがいの徹底

感染症予防の基本である手洗い・うがい。

施設外から施設内に入ったときはもちろん、利用者様の排泄物や吐瀉物に触れた後、感染症に罹患した可能性がある方への接触などを行った際は、必ず入念に手を洗うようにしましょう。

また介護職員だけでなく、利用者様にもご協力いただくことでより感染対策が強化されるでしょう。

消毒の徹底

手指の消毒はもちろん、自分の服などの持ち物、また施設内の空間や備品も消毒することが大切です。

特に感染者が一人でも出た場合は、感染者の周辺の環境などを消毒しましょう。

消毒・除菌方法モノ手指
水及び石鹸よる洗浄
熱水
アルコール消毒液
次亜塩素酸ナトリウム水溶液(塩素系漂白剤)
手指用以外の界面活性剤(洗剤) -
次亜塩素酸水(一定条件を満たすもの) -
亜塩素酸水 -

出典:厚生労働省|新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について

ヒートショック対策

高齢者の死亡リスクが高いヒートショックは、介護施設においても発生を防ぐ取り組みが必要不可欠。

ヒートショックを防ぐために、以下のような対策を講じてみましょう。

入浴前後に水分補給する

食後1時間は入浴を避ける

脱衣所や浴室、トイレに暖房を設置する

浴槽の温度を低くする

半身浴をする

寒い場所では常になにかを羽織る

運動不足の解消

感染症や冷えによる体調不良を防ぐには、日頃から適度に体を動かすことが大切です。

運動をすることで血流を促進させ、筋肉量を増やすことができます

また身体能力の低下によるフレイルを防止するためにも、定期的な運動が効果的です。

まとめ

冬に介護施設で流行りやすい感染症には、インフルエンザやノロウイルス、肺炎などが挙げられます。

これらは高齢者が感染すると重症化や合併症リスクが高くなるため、高齢の利用者様が多く集まる介護施設では、集団感染に気を付けなければなりません。

本記事を参考に、感染症対策を講じながら健康的に冬を過ごしましょう。

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