お役立ち情報
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ADLやIADLといった言葉が介護の現場ではよく使われますよね。どちらも日常生活動作を指す用語であるため、違いがいまいちわからないという方もいるのではないでしょうか。今回は、ADLとIADLの意味の違いと維持するポイントを中心にお伝えします。
■目次
ADLとIADLはどのような意味があるのでしょうか。
それぞれの意味について確認してみましょう。
ADL(日常生活動作)は、Activities of Daily Livingの頭文字を略した言葉であり、日常生活を送るために必要な動作をいいます。
IADL(手段的日常生活動作)とは、Instrumental Activity of Daily Livingの略で、日常生活でおこなう複雑な動作をいいます。
動作とともに正しい判断・意思決定ができるかどうかの目安でもあります。
ADLとIADLには、どのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの動作の違いを具体的にご紹介します。
●起居動作(起き上がり・寝返り・立ち上がりなど)
●移乗(車椅子へ乗り移るなど)
●移動(歩行・車椅子での移動など)
●食事
●整容(洗面・歯磨き・ひげ剃り・化粧など)
●入浴(洗髪・洗身など)
●更衣(衣類の着脱など)
●排泄
●掃除(掃除機をかける・水拭きをするなど)
●洗濯(洗濯機を回す・洗濯物を干す・洗濯物を畳むなど)
●料理(献立を決める・調理するなど)
●買い物(買う物をリストアップする・買い物へ出掛ける・料金の支払いなど)
●交通機関の利用(適切な交通機関を選ぶ・料金の支払いなど)
●服薬管理(適切なタイミングで服薬するなど)
●金銭管理(銀行で手続きをする・自分でお金を管理するなど)
ADLは日常生活を送るための基本的な動作であるのに対して、IADLは日常生活動作の中でも応用的で複雑な動作をいいます。
病気や老化によって認知機能などが低下すると、まずはIADLが低下し、その次にADLが低下します。
ADLに支障をきたす場合は、要介護度が高いと判断される可能性が高いでしょう。
自立支援を行うにあたって、利用者様のADLとIADLの状態は把握しておく必要があります。
それぞれの動作がどこまで可能なのか、どのような動作ができないのかを観察し、過剰なサポートは避けましょう。
ADLとIADLはどうやって評価されるのでしょうか。
複数の評価方法の中から、代表的な評価方法をご紹介します。
代表的なADLの評価方法に、Barthel Index(バーセルインデックス)があります。
おおまかに日常生活動作を評価することを目的に使用されており、以下の10項目を100点満点で評価します。
●食事
●移動
●整容
●トイレ動作
●入浴
●歩行
●階段昇降
●着替え
●排便コントロール
●排尿コントロール
各項目を自立、部分介助、介助のいずれかの状態かで判断し、合計点数が高いほど自立度が高い状態です。
Barthel Indexは評価時や訓練時に発揮される最大能力を見て評価をしており、普段は行なっていない動作でも評価時にできた動作はできるADLとして評価します。
Barthel Indexの採点方法について、以下で解説します。
10点の判断基準が、適切な時間内で食事が終わることであることから、一人で食事を食べることができても時間が掛かりすぎてしまう場合は、5点の部分介助です。
Barthel Indexは世界共通の評価基準であり、誰でもすぐに実施できます。
一方で、評価内容がおおまかであり、評価者によって結果が変わるといった面もあります。
代表的なIADLの評価方法に、Lawton(ロートン)の尺度があります。以下の8項目を3~5段階で評価します。
●電話を使用する能力
●買い物
●食事の支度
●家事
●洗濯
●交通手段
●服薬の管理
●金銭管理能力
それぞれの項目のレベルの中で最も当てはまっているものを選び、そのレベルに紐づけされた点数が1点なら1点、0点なら0点で計算し、合計8点中何点かで評価します。
合計点数が高いほど自立度が高い状態です。
Lawtonの尺度の採点方法について、以下で解説します。
例えば、誰かが一緒でないと買い物ができない場合、右側の欄の点数は0点であるため、買い物の項目は0点です。
IADLの評価はその人の性別、年齢、生活スタイルによって差が出るため、Lawtonの尺度では対象者を高齢者に限定しています。
また女性は8項目全てで評価するのに対し、男性は食事の支度・家事・洗濯は除外して評価します。
なお、それぞれの項目は、その時の環境や体調によって結果に差があるということを理解する必要があるでしょう。
ADLの低下に繋がるIADLの低下には、どのような原因があるのでしょうか。
IADLの低下には、認知機能や身体機能の低下のほかに、生活環境や精神面も影響します。
例えば、頑張れば自分でできていた食事の支度も代わりにやってくれる人がいて、任せていて気が付いたらできなくなっていたなどのケースもあります。
老化や病気によってできないことが増えることもありますが、工夫により今ある認知機能や身体機能は維持できるでしょう。
利用者様が自立した生活を送るには、ADLとIADLの低下の予防が重要です。
具体的にどのような支援が望ましいのでしょうか?
周囲から過剰に介護を受け、本人が1人でできる動作が減るとADLとIADLが低下してしまいます。
そのため、できる動作とできない動作を把握して介助をおこなう必要があります。
自分でできる部分はやってもらい、できない部分を介護士がサポートするという意識が必要です。
利用者様の身体状況に応じて生活環境を整備したり、補助具を活用するとADLとIADLの低下を防ぐことができます。
歩行が難しい場合に使用する補助用具として代表的なのは車椅子ですが、他にも杖や歩行器などもあり、種類もさまざま。
ご利用者様の残存機能を活かしつつ安全に生活ができるように、利用者様の気持ちや身体機能などを考慮して検討する必要があります。
また、QOL(生活の質)を高く保つことにより、ADLとIADLを維持・向上する手助けになるでしょう。
家族や友人と外出したり食事することにより、生活の満足度も高まる傾向があります。
また、目標ができると、ADLやIADLの維持・向上に意欲的になるケースもあり、QOLとの関わりは深いといえるでしょう。
ADL維持加算とは、2018年度の介護報酬改定で新設された加算です。
利用者様のADLを一定期間評価し、維持または向上しているという結果が見られた事業所のみが算定できます。
該当する介護サービスの種類は、主に通所介護や介護老人福祉施設などです。
ADL維持加算を算定することにより、利用者様やケアマネージャーに対して、事業所で提供している介護サービスの質の高さを示せます。
ADLとIADLの意味の違いや、維持するポイントを中心にお伝えしました。
ADLとIADLの意味をしっかりと理解し、ご利用者様のADLとIADLを維持できるよう、適切な介助を意識してみましょう。
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