ノーリフティングケアって何?広まった背景や活用メリットとは?

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ノーリフティングケアという言葉をご存知ですか?介護士の負担軽減・離職防止のために今、ノーリフティングケアを積極的に取り入れている介護施設が増加しています。この記事では、ノーリフティングケアとは何か、広まっている背景やメリット・デメリット、使用される福祉用具と使用場面例について解説します。

ノーリフティングケアとは

ノーリフティングケアとは、かつて看護師の身体疲労による離職が増加したオーストラリアから広まったケアの考え方です。

日本でも看護師や介護士の腰痛は増加しています。
そこで利用者を持ち上げない・抱え上げない・引きずらない介護を提供することをノーリフティングケアといい、今そのケアを取り入れる介護施設が増加しているのです。

介護士が身体介護に慣れていなかったり、正しい介護技術を身につけていないまま仕事を続けていると、やがて腰痛など身体の不調を引き起こします。

また介護を受ける利用者にも、不安定な介護による恐怖や身体の負担を与えてしまうことにもなりかねません。

そこで必要に応じて福祉用具を使用したり、正しい介護技術を学ぶことで介護士・利用者の身体に負担がかからない介護を提供できるようにすることが、ノーリフティングケアの目的です。

ノーリフティングケアがより広まっている背景

ノーリフティングケアを取り入れる介護施設が増えている理由のひとつに、令和3年度に厚生労働省から発表された介護報酬改定があります。

介護人材の確保・介護現場の革新というテーマの中で、職員の離職防止・定着に資する取組の推進が求められているのです。

そこで触れられている処遇改善加算・特定処遇改善加算の対象サービス具体例は以下の通りになります。

職場環境等要件に定める取組について、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、以下の取組がより促進されるように見直しを行う【通知改正】

職員の新規採用や定着促進に資する取組

職員のキャリアアップに資する取組

両立支援・多様な働き方の推進に資する取組

腰痛を含む業務に関する心身の不調に対応する取組

生産性の向上につながる取組

仕事へのやりがい・働きがいの醸成や職場のコミュニケーションの円滑化等、職員の勤務継続に資する取組

○ 職場環境等要件に基づく取組の実施について、当該年度における取組の実施を求める。【告示改正】

上記の中のひとつに挙げられた、腰痛を含む業務に関する心身の不調に対応する取組を実施した介護施設は処遇改善加算の対象となります。

そこで腰痛予防対策として有効なノーリフティングケアが注目・推進されています。

ノーリフティングケアのメリット

ノーリフティングケアのメリットは3つあります。

介護士の身体的な負担が軽減される

ノーリフティングケアで福祉用具を使用したり、正しい介護技術を学ぶことで、腰痛予防や身体の負担が軽減されます

腰痛によって介護の仕事が続けられなくなったり、年を重ねたときこのまま介護の仕事は辛いだろうと諦めざるをえない方もいます。

しかしノーリフティングケアで身体の負担が軽減されれば離職防止になり、長く勤められる職員も増えるでしょう。

利用者の安心につながる

力任せな介護・不安定な介護をされることは、介護を受けている利用者の精神・身体的不安を引き起こします。

また自分のせいで介護士に負担がかかることも、利用者によってはストレスを感じてしまうかもしれません。

しかしノーリフティングケアの提供により、福祉用具での安定した介護、介護士に負担を与えない介護を受けられるようになるため、利用者の安心につながります。

身体介護にかかる人員が最低限になり効率よく働ける

福祉用具がなかった場合、2人介助せざるを得ない場面があります。

しかし2人介助が必要な場面というのは、腰痛リスクの高い場面でもあります。

また2人の息があっていないと、介護士・利用者の身体の負担や事故につながる恐れも。

しかし福祉用具を正しく使えれば、2人介助の場面も1人の介護士で実施することが可能になります。

結果として身体介護に割いていた職員数が削減でき、他の業務にゆとりを持って効率よく取り組むこともできるようになるのです。

ノーリフティングケアのデメリット

ノーリフティングケアのデメリットは2つあります。

福祉用具の導入が難しい場合もある

移乗用の大きな福祉用具は、身体の負担は減りますがかかる費用が高くつきます

またスペースをとるため、必要な数を揃えるのは施設によって難しい場合もあるでしょう。

さらに使い方が現状と合っていないと、福祉用具を使うことを手間と考え、結局人力での介護に戻ってしまうこともあるのです。

職員に学ぶ姿勢がないと浸透しない

身体の間違った使い方を直し正しい介護技術も学ぶことが大切ですが、職員が必要性を感じていなかったり、学ぶ姿勢がないと現場で浸透しないでしょう。

福祉用具の使用に関しても同じことです。

なぜノーリフティングケアを推奨するのか、理由やメリットを管理者などが根気よく説明し理解してもらわなければうまく機能していかないかもしれません。

ノーリフティングケアで使用される福祉用具と使用場面例

実際にノーリフティングケアで使用される福祉用具や使う場面を一部紹介します。

スライディングシート

スライディングシートは筒状の布のようになっており、おむつ交換などで発生するベッド上の移動や、ベッドからストレッチャーの移乗の際に寝たまま移乗ができることが特徴です。

保管に場所もとらないため取り入れやすい福祉用具になっています。

スライディングボード

スライディングボードは長方形の板のようになっており、ベッドから車椅子への座位移乗などで使います。

スライディングシートと同じく保管に場所もとらないため比較的導入しやすい福祉用具です。

介助グローブ

介助グローブは滑りやすい素材になっており、ベッド上での移動や褥瘡予防の体位交換などで使用します。

こちらも持ち運びしやすい点から導入しやすい福祉用具です。

床走行式リフト

これまで紹介した福祉用具と違い大型のものになります。

利用者に吊り具を装着し、ベッドから車椅子などの移乗介助に使用できます。

介護士の負担なく移乗が可能です。

スタンディングリフト

こちらも大型の福祉用具になります。

立ち上がりをサポートするなど、ベッドから車椅子などへの移乗介助で使用します。

介護士の負担なく移乗が可能です。

 

まとめ

ノーリフティングケアは介護士・利用者双方の負担を軽減する介護の方法のひとつです。

介護施設でもノーリフティングケアに取り組んでいる施設は増加しており、人材確保や職員の負担軽減に積極的に取り組んでいる施設ともいえます。

就職や転職をする際には、ノーリフティングケアを取り入れている介護施設もチェックしてみることをおすすめします。
 

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