介護職が知っておきたい経管栄養の知識|必要な3つのこと

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皆さん経管栄養をご存知ですか?既に施設で経験されている方や、実務者研修で学んだ方もおられるかもしれません。経管栄養は、施設によっては介護職も携わる機会のある医療ケアのひとつです。この記事では、経管栄養とは何か、介護職が実施可能な経管栄養、経管栄養が実施できる介護施設、介護職が経管栄養を実施するために必要なこと、介護職が経管栄養を学ぶメリットを解説します。

経管栄養とは?

経管栄養とは、口から食事(栄養)を摂るのではなく胃・腸・鼻からチューブを通して栄養を摂取する方法のことをいいます。

経管栄養は、主に以下の症状がある場合に適用されます。

  • 嚥下・摂食障害がある
  • 誤嚥性肺炎を繰り返す
  • 炎症性腸疾患がある

口から食事を摂取できなくなった利用者も、経管栄養をすることで誤嚥・褥瘡・肺炎の予防等が可能になります。

しかし過剰に栄養を摂ってしまうなど不適切な経管栄養を実施すると、肥満や高血圧からの糖尿病など新たな合併症を引き起こしてしまうため、注意が必要な行為です。

そのため、経管栄養はどこで誰が行っても良い行為ではありません

以下の3つの条件を満たさなければ、経管栄養は介護施設で実施できないことになっています。

  • 施設が登録事業者に申請・登録している
  • 介護職が喀痰吸引等研修を修了している
  • 介護職が認定特定行為業務従事者認定証の交付を受けている

また介護職ができる経管栄養法は胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養になります。

まずはこの3種類の経管栄養に関して次の項目で解説します。

介護職が実施可能な経管栄養

介護職ができる経管栄養法は3種類です。

それぞれメリットやデメリットも含めて解説します。

胃ろう

胃ろうとは腹部から胃に栄養を送るための穴を作り、そこから栄養補給する方法です。

4週間以上、長期間の経管栄養が必要な場合に適用されます。

胃ろうは経鼻経管栄養に比べ利用者の不快感が少なく、バルーン型のチューブの交換が1~2ヵ月毎、バンパー型のチューブの交換が4~6ヵ月と、交換時期の間隔が長いというメリットがあります。

また食事のリハビリも行いやすいです。

しかし手術が必要なこと、皮膚トラブルや腹膜炎を起こすこともあるというデメリットもあります。

腸ろう

腸ろうとは腹部から小腸に栄養を送るための穴を作り、そこから栄養補給する方法

胃ろうができない場合に適用されるケースが多い方法です。

胃ろうと同じく食事のリハビリも行いやすいですが、手術が必要なことや皮膚トラブルを起こす可能性もあります。

しかし腸ろうは胃ろうと比べて栄養剤の逆流が少ないというメリットがあります。

デメリットとしてはカテーテル交換が自宅ではできないことや、細長いチューブを使用するため詰まりやすいことがあげられます。

経鼻経管栄養

経鼻経管栄養とは、鼻からチューブを入れて栄養補給する方法です。

経管栄養が短期間必要な場合に適用されます。

この方法は胃ろう・腸ろうよりチューブの挿入がしやすいことや、介護者の負担が軽くなることがメリットです。

しかし鼻からの挿入には違和感があり、認知症の方などは引き抜いてしまう可能性があること、見た目が目立ってしまうこと、1~2週間ごとの交換が必要であること、チューブが抜けやすく事故につながりやすいというデメリットもあります。

経管栄養が実施できる介護施設

経管栄養という医療ケアを実施するには、施設が登録事業者に申請・登録しておかなければなりません。

登録の対象となる介護施設は、主に以下の施設があります。

特別養護老人ホーム

老人保健施設

グループホーム

有料老人ホーム

通所介護

短期入所生活介護

また生活介護やグループホームなどの障害者支援施設や、訪問介護、重度訪問介護も登録可能です。

施設の登録だけではなく、介護職にも経管栄養を実施するための条件があるため、次の項目で説明します。

介護職が経管栄養を実施するために必要なこと

介護職が経管栄養を実施するためには、

  • 喀痰吸引等研修を修了すること
  • 認定特定行為業務従事者認定証の交付を受けていること

上記2つの条件を満たさなければいけません。

介護職がこの2つを満たし、施設が登録事業者になっていることで経管栄養を実施することが可能になります。

喀痰吸引等研修とは?

喀痰吸引等研修は各都道府県や登録研修機関で実施されており、以下の3つに分類されます。

第1号研修

第1号研修を受けると不特定多数に、以下の実施が可能になります。

口腔内の喀痰吸引

鼻腔内の喀痰吸引

気管カニューレ内部の喀痰吸引

胃ろう又は腸ろうによる経管栄養

経鼻経管栄養

介護施設職員や障害者施設職員の多くはこの研修を選択します。

第2号研修

第2号研修を受けると不特定多数に、以下の実施が可能になります。

口腔内の喀痰吸引

鼻腔内の喀痰吸引

胃ろう又は腸ろうによる経管栄養

基本研修内容は第1号研修と同じですが、実地研修に気管カニューレ内部の喀痰吸引と経鼻経管栄養が含まれていません。

第3号研修

第3号研修を受けると特定の者(ALS等神経難病者、重度心身障害者、脊髄損傷など)に、以下の実施が可能になります。

口腔内の喀痰吸引

鼻腔内の喀痰吸引

気管カニューレ内部の喀痰吸引

胃ろう又は腸ろうによる経管栄養

経鼻経管栄養

第3号研修は9時間と短くなっており、第1号研修・第2号研修と比べて修了までに日数がかかりません。

重度障害児・者に関する内容なども学びます。

認定特定行為業務従事者認定証とは?

喀痰吸引等研修で学んだことを実施できる認定証です。

受講後に修了証明書証を都道府県庁に申請し、認定書の交付を受ければ施設での喀痰吸引や経管栄養が可能になります。

介護職が経管栄養を学ぶメリット

転職に有利になる

多くの介護職が喀痰吸引等研修を修了しているわけではありません。

喀痰吸引・経管栄養が可能であるということは、そのスキルを必要としている施設には即戦力となるでしょう。

また、高齢者だけでなく障害者福祉分野でも活躍できます。

給与面でも手当がつく場合があるため、求人票などで確認してみましょう。

介護職としてスキルアップできる

介護業務だけでなく医療ケアに携われ、自身のスキルアップにつながります。

可能になる仕事の幅が広がるため、長く介護の仕事に携わっていくのであれば取得しておくことをおすすめします。

まとめ

介護施設で経管栄養を実施するためには

  • 施設が登録事業者に申請・登録している
  • 介護職が喀痰吸引等研修を修了している
  • 介護職が認定特定行為業務従事者認定証の交付を受けている

これら3つの条件を満たす必要があります。

経管栄養が業務に必要な施設は、喀痰吸引等研修に必要な費用が支給されるところもあるため、興味のある方はご確認ください。

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